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雨天訪問1

「なるほどね……手を握っていた成り行きは分かったわ。だけど! ジークも少しは気をつけなさいよ!」


 私はシャフリの眼鏡を奪い、自分に掛け、ヘッドロックを決めてジークに注意喚起する。


 シャフリが「ぐおぉぉ……!!」と喚いていたが、しばらく解放する気はなかった。


「申し訳ございません。今後は気をつけます」


「全く……それよりも何よ。この眼鏡は? ボヤけて見えるじゃない。欠陥品?」


 シャフリが説明したいのかジタバタし始め、私は仕方なくロックを解く。


「だあぁぁ……し、死ぬかと思った……酷いよミーナちゃん」


 何が酷いよだ。私のジークに手を出して。


「ところでこの眼鏡は何?」


「あ! 返してくれる? 見えすぎて気持ち悪くなる……」


「え? アンタ目が悪いんじゃないの?」


 私から半ば強引に眼鏡を奪い取ったシャフリは、頬を膨らませて説明する。


「私は生まれつき目が良すぎるの。だから視力を抑える眼鏡を掛けているの」


「あー。そういうことね……なるほど」


 目が良すぎると言われて思い出した。


 シャフリの血を取り込んだ時、よく見えていた気がする。攻撃魔法コントロール以外にも、シャフリの特性が使えていたのね……。


「ミーナちゃん? どうしたの?」


「いや……少し考え事をしてしまったわ。気にしないで。あー、騒いだらお腹が空いたわ」


「ミーナちゃんが勘違いして怒ってただけじゃん」


 黙れシャフリ。


「何かないの? ってカレーがある。ちょうど良いわね」


 たまたま近くにあった鍋の蓋を開けると、カレーが入っており、スプーンで掬って食べようとする。


「あ! お嬢様! それは!」


 ジークが止めようとしていたが、遅い。


 2人だけ美味しいものを食べようなんてズルい。私も……。


「いただきま〜す」


 躊躇うことなくカレーを頬張り、噛み締めようとした瞬間、舌に痛みが走り、顔が一気に熱くなる。自分の意思とは無関係に体が震え、私は背中から床に倒れる。


「お嬢様ッ!!」


「ひぁ……に? こひょカレぇー?」


「あー、そのカレー。ジークさんが私好みに作ってくれたカレーなんだけど……」


「限界まで辛さを引き上げた特性カレーです。辛味が苦手なお嬢様には食べられないかと……」


 なんでそんなカレー作ったの? と言うかシャフリこれ食べられるの? あり得ない……人間辞めてるわ。


 あまりの辛さに私はそのまま意識を失う。


「ミーナちゃん!」

「お嬢様ッ!!」




 ◇◇◇




 王宮に辿り着いたエディックとカーリーは、正門の前で馬から降り、通過許可を取ろうとする。


「しばし待たれよ。何用ですか?」


「ミストレーヴ家のエディック・ミストレーヴだ。アポイントは取ってないが、ヨハネス・アルカディアに会って話がしたい」


「申し訳ないですが、国王様は多忙です。用件はここで聞ます」


 門番たちは確認を取ることなく、エディックたちの要望を断る。


「すまないが、君たちでは話にならない。頼む。ヨハネスに会わせてくれ」


「ですが自分たちも命令で、来客の方々にはそう伝えろとヨハネス国王様から……」


 埒が開かないと判断したエディックはカーリーに目を向け、強行突破を試みようとする。


 その時、門番たちの背後から声が聞こえ、エディックとカーリーは目を細める。


「一体どうしたのだ?」


『く、クロノ様!? どうしてここに?』


 突如、傘を持つ付き人と共に現れたクロノに驚き、反射的に跪く門番たち。


 エディックとカーリーは真剣な眼差しでクロノを見つめ、クロノはその視線に応える。


「雨の中、門の前で止めてしまい失礼した。中に入られよ。自分で良ければ話を聞きます」


 エディックはコクリと頷き、カーリーを連れて王宮の中に入る。


 客間に導かれたエディックとカーリーは、差し出された紅茶を飲み、一息つく。


「急な訪問、お詫び申し上げます」


 2人は同時にクロノに頭を下げるが、クロノは首を横に振る。


「いや。先日、自分もアポイントなしの訪問をしています。おあいこということにしておきましょう。ところで、今日は何用で?」


 エディックは真剣な表情を浮かべて、ティーカップをゆっくり置く。


「失礼ながら本題を口にさせていただきます。先日から我々ミストレーヴ家はアルカディア兵士たちの攻撃を受けております」


「何? 一体どう言うことだ? 兵士が?」


 何も知らないクロノは眉を吊り上げ、話の続きを待つ。


「現在確認している攻撃回数は3回。1回目は我らの主、サロミア・スカイ・ミストレーヴの祖父、ジアス・エフ・ミストレーヴが撃退。それ以降の攻撃は私の娘、ミーナ・アリスト・ミストレーヴを始めとし、従者たちが兵士たちを無傷で撃退しています」


「そんな……」


 信じられないと言わんばかりに目を見開くクロノ。そんなクロノを見て、エディックは更に口を開ける。


「我々だけならば我慢のしようもあり、このような訪問をすることはなかったでしょう。しかし……」


「しかし?」


「クロノ様のお父様、ヨハネス・アルカディア様を心から慕っている竜人族に、アルカディア兵士たちが攻撃したとの一報がありました」


「竜人族にまで……何がどうなっているのだ?」


 エディックはスッと瞼を閉じて、クロノに対し、話すか話さないか、迷っていたことを口にする。


「竜人族の調査に向かった我が主の話によりますと、一連の攻撃指揮を取っていたのは……リギル・アルカディア。クロノ様のお義兄様である可能性が高いとのことです」


 外で鳴る雷と共に、クロノは立ち上がり、息を乱す。

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伊澄ユウイチです!


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