接触
西アジアからメキシコのチワワ州にあるシウダー・ファレスまで高速貨物船を使って2週間弱かかる。大型甲板に戦闘ヘリを格納し、武器もたくさん積んでいる。
リーダーのアハマド・ハサンが指揮を取り、クルーに指示を出す。リーダーの横にはティーナ・フスが立っていた。
アハマド「我々がThe Code Diversを討ち、SSBRの野望を砕く!奪われた民の怒りだ」
ティーナ・フス「このミッションのコードネームは『バヌ―・ファントム』よ。みんな覚えておいて」
コードネーム『Banu Phantom』=慈悲の民の幻影という名のミッションが始めった。
通信が傍受されても外部には、その意味を知ることはできない。リーダーが声高く叫んでいたThe Code Diversを討ち取るという大義はテロ組織の仲間にしか共有されていないのだ。
これから生死をかけた戦いに挑む。世界各国で起きた爆発テロや軍事産業メーカーの幹部を狙ったハニートラップなど多彩な戦略を展開していたが、彼らが求めていたのは一体なんだったのだろうか?
世界大戦によって国を滅ぼされ、命からがら生き残った人々がテロ組織を結成した。しかし、彼らが求めていたものは「平和」と「安全」だったはずだ。
力がなければ国を守れない、国を守れなければ明日はない、それを思い知らされた勇姿たちが決戦に臨む。
本末転倒とも思える行動だが、身内を殺され、権利を奪われ、口を封じられた者たちが見せる最後の悪足掻きだった。それは誰かに気づいてほしいという儚い希望でもあった。
――― 航空母艦 ―――
航空母艦3隻が近い距離で海上に留まっている。コンテナハウスの生活は快適で、そこでも人々は仮想現実に溶け込んでいた。少ないスペースに箱詰めにされているにも関わらず誰もストレスを感じていなかった。ゲーミングウェアとコントローラーさえあれば、いつでもお気に入りの空間にダイブできる。
せっかくの海上生活ということもあって釣りを楽しんでいる人たちもいた。街が戦火に覆われて、大惨事だったが避難民たちは落ち着きを取り戻しつつあった。
太平洋側は水平線が見えるほど海以外、何もない。そんな避難生活だったが、ある日、とんでもないスピードで航空母艦に近づいてくる一隻の船があった。それは大型甲板に戦闘ヘリを乗せた高速貨物船だった。やけに物騒な雰囲気がある。
コニック博士「レーダーに反応がある。急速に近づいてくる船が一隻、みんな警戒してくれ」
スピーカーを通してコニック博士が警戒を呼び掛ける。避難民たちはコンテナハウスに入って自室のカギを締めた。少なからず武器もある。
ノア「なんだ?高速貨物船なんてどこからやって来たんだ?まさか太平洋を横断したのか?」
レナータ「そうみたいね、争いにならなきゃいいけど・・・」
ふたりはハンドガンを両手に持ち、万が一に備える。航空母艦3隻の圧倒的なスケールの大きさを前にして高速貨物船が攻撃を仕掛けてくる様子はなかった。
さすがに物量で勝てる相手ではないと判断したようだ。
ただ減速して、通りすぎる際に様子を見ていた。
アハマド「これは街が襲撃されて行き場を失った人々が避難しているのか?」
ティーナ・フス「どうやらそのようね、戦闘機がなくコンテナハウスに一時避難しているわ」
双眼鏡を覗き、一般人が乗っていることを確認した。
それと同時に航空母艦に乗っているコニック博士たちも高速貨物船の動きを厳重に警戒しながらモニターで観察していた。
ラファエラ「ノア、レナータ、ここはあなたたちに任せるわ」
ノア「任せるってどういうこと?まさか・・・」
ラファエラ「心配しないで。仮想現実でいつでも会えるわ」
ラファエラは小型ドローンの上に乗り、高速貨物船のほうへ飛んでいった。
テロ組織『バヌ・ラヒーム』と『Lumen Ark』が接触したが、どちらも敵ではないと認識して事なきを得た。
減速した高速貨物船は、徐々にスピードを上げて通りすぎてゆく。ラファエラが高速貨物船に乗り込み、コニック博士に報告した。ドローンから位置情報が発信される。
コニック博士「あとはラファエラの偵察に任せよう。もしかしたらSSBRに関する手掛かりがあるかもしれない」
アンジェリカ「そうね、彼女がきっと情報を掴んでくれるわ」
窓の外に見えていた高速貨物船はみるみる遠ざかり、やがてその姿は見えなくなった。
https://note.com/hiroumimetavarse/n/n103506efcc23?app_launch=false
画像はnoteに置いています。




