表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
息抜きで行く異世界旅行~婚約者まじ殺す^^  作者: 月蜜慈雨


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

3/6

聖書って世界で一番発行されているらしいですね




 この世界に来て一週間経った。その間に分かったことがある。

 ここはポフレという国で、私のいる場所は海辺の町ベーリエ、大陸全体でシビラという宗教を信仰していて、教義はとにかく善行を積もうという穏やかなものだ。



 井戸汲みに薪割り、どれもやったことがなく大変だったけど、教えを乞うたら丁寧に教えてくれた。ありがたい。

 井戸汲みし、食堂で質素なご飯を食べ、街を見学、お昼のお祈りをし、教会の雑用、夕飯、就寝。

 お風呂は三日に一回大浴場に入れた。

 街は賑やかで、活気に溢れている。最近挨拶する人も多くなった。

 毎日の生活は穏やかで、どこか落ち着いた様子で過ぎていく。



 海が近いからか、魚が美味しい。

 こんなに何もやらずに過ごしたのは、こどものとき以来かもしれない。

 何かしたくて手がワキワキしてしまう。



 ひとまず私は今巡礼者なので、シビラについて学ぼうと思う。

 宗教があるということは、聖典があるはずだ。

 それで学んでみるなんていうのはどうだろう。



 ルゲラ司祭に頼むと、彼は驚いていた。そしてそのあと、何やら嬉しそうな顔で、懐にある聖書を出した。



「どうぞ。お貸しします。ですが、本は貴重なので、くれぐれも注意を。もし汚してしまったら。必ず報告してください」


「はい、ありがとうございます」



 早速部屋に戻ってページを捲ると、文字も問題なく読めた。そのことが少し気味が悪いが、今は便利さに目を瞑るとしよう。

 そんなに厚くはなかったが、内容はお祈りのときの説教とあまり変わらないようだった。

 ただ、それが物語調になっていただけ。

 それだけのはずなのに。

 なんで私は涙が出ているんだろう。



 控え目のノックされた。ぱっと顔をあげる。

 もうすっかり夕暮れだった。

 ルゲラ司祭が、時間になっても食堂に現れない私の為に、わざわざ様子を見てきてくれたらしい。



「もうそんな時間なんですね。すっかり忘れてました」


「いえいえ、具合が悪いとかじゃなくて良かったです。今まで聖書を読んでらしたんですか?」


「はい。なんか泣いてしまって」


「分かります。私も最初読んだときは泣きそうになりました」


 その言葉に一瞬ドキっとしてしまったけど、ルゲラ司祭からそれ以上の言及はなく、食堂まで一緒に歩いた。

 なんで私は泣いたんだろう。

 


 私はどうしたいんだろう。



 穏やかな会話の間、ぐるぐるとそんなことが頭をよぎった。






評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ