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1-33 衝撃の事実

「じゃあ、どんな回復魔法が使えますか?」


「えーと、確か教わったのはまずエクストラ・ヒール。

 体力回復系・解毒系・損傷回復系・状態異常回復系・病状回復系・精神回復系など、その時の用途として願う物を完全に回復させます」


「待った」


 さっそくマリエールさんからクレームがついた。


「それ、もしかして普通の回復魔法と体系が異なる魔法なんじゃないの?

 最後の奴とか、それもう絶対にヒールじゃないです。

 それを誰から習いました?」


「ああ、七色ガルーダという魔獣さんです。

 その界隈では一番凄い魔獣さんの個体のようでしたが」


 そして、ベロニカさん以外の二人が床に崩れ落ちた。


「ああ、さすがは副団長預かりの人だけありますね。

 常識というものをまるで弁えていません」


「なんだよ、そりゃあ。

 ところで、まだ他にも回復魔法を使えるのか?」


 二人からは続けて苦情が出ましたね。

 さすがにもうベロニカさんからは来ません。


「はい、全部で回復魔法は五個習いました」


「言ってみろ」


「えー、後はですね。

 まずホーリー・エクスライト。

 これは集団の全回復だそうです。


 すべての身体的精神的異常を完全回復させます。

 それとアンデッド系の魔物に食らわせると一気に広範囲の魔物が壊滅するそうです」


 うーんと、今度はベロニカさんも含めて全員が唸っていた。


「次が、エリクサー・エクスペリエンス。

 これは蘇生魔法に近い物で、効果はエリクサーという物に相当するそうです。

 身体欠損なんかも瞬時に治るらしいです」


「エリクサーだと?

 そりゃあ伝説というか、神話の中にしか登場しない神薬だああああ」


 ドクターの雄叫びに、思わず片手で顔を覆ってしまうベロニカさんと、呆然としているマリエールさん。


「あと、何があったかなあ。

 ああ、そうそう。

 持続回復魔法のリジェネート・エクスペリエンス。


 敵からのダメージを常時無効化していくもので、戦闘中にかなり不死身化するそうです。

 ああ、私は特に戦闘なんかしませんけどね」


「これで四つか。もう何を聞いても驚かないぞ。

 さあ、残りの一つは何だ。吐け」


 私はそこで少し言い淀んだ。

 だって物凄く言いにくい。

 きっと怒られるのに違いない。


「どうしたの?

 君のお守り役としては是非とも聞いておきたいところね」


「ああ、そのう」


「どうした?」

「今更、勿体なんかつけるなよ」


 仕方がない。ここは往生際よく自白しておくとするか。


「はい。

 実はその……最後の魔法は忘れました」


「え?」


「確かに五個習ったはずなんですが、一つは思いっきり忘れてしまいましたね。

 あはははは。


 いや、習っただけで全然使っていないものですから。

 せめてキーワードとなる魔法名くらいはメモ帳にでも書きつけておけばよかったですねー」


「あ、あのなあ!」

「サヤさん、あなたねえ」

「こ、この大馬鹿者がー!」


「そう怒らないでくださいよ。

 だから言いたくなかったのにー」


 全部覚えていたつもりだったんだけど、今名前を上げていったら、四個しか名前が出てこなかったというお粗末さ。


 確かに五個教えてもらった事だけは、はっきりと覚えているんだよね。


 本当、何だったのかなあ。

 まあ、そのうちに思い出すでしょう。


 もし思い出せなかったら……ふ、その時はそれまでというだけの話よ!


 開き直った私に呆れつつも、ドクターは聖水作成を試すつもりのようだった。


「いいか、とりあえずは『普通の』ポーション作りを試すぞ。

 いいか、何回もしつこく言うようだが、普通のヒールの聖水をな」


「はーい」


 何しろ、やった事が無い事をやるんだから上手くいくはずがない。


「なあ、マリエール。これって」

「ええ、ベロニカ。これはもう」


「なんですか?」


「サヤ。

 これはもう、お前ってもう後天的に聖女化しているぞ」


「聖女?」


 そう言えば、そういう単語もありましたね。

 その後の説明はドクターが引き継いだ。


「ああ、お前みたいなとんでもない回復をやってのけるような、世界を越えて来た者さ。


 普通はユニークスキルとして聖女の能力を持っているものなのだが、お前はそうではなくて魔力量の大きさのせいなのか、人外の者から後天的に聖女的な能力を学んでしまったのさ」


「えー、そうなのですか?」


「そもそも、普通の人間にはそのような事は絶対に出来ない。

 そんな特別の人外が使うような凄まじい能力は、普通なら覚える事さえ出来ない物なのだよ。


 お前は稀人という、場合によっては本物の聖女であってもおかしくないような特別な存在だったから覚えてしまっただけなのだ。

 これはまた非常に珍しいパターンだな」


「そうでしたか。

 教えている方は全く違和感なく教えてくれていましたし、教わる私の方も当然のように覚えていましたしね。


 狩りに出かけたまま帰ってこない、表六玉ガルーダを待っている茶飲み話の合間に。

 そんな話は今初めて聞きましたよ」


 またしても全員に唸られてしまった。


「サヤ、もうわかっているとは思うんだけど」

「この話は」

「絶対によそでしないようにな」


「またですか……」


「「「当り前だーっ‼」」」


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