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17 不思議な日々の始まり

「太郎、何処に言ったんだよ」と俺は空を見上げて呟く。

4日前、太郎の家で一緒にお酒を飲み、あいつが丁度はまっていたエロゲをプレイして、その日はそのまま泊まり込んだ。だが翌日、入社式の当日に目を覚ますとあいつは何処にもいなくなっていた。

入社式をあいつは俺たちЯepLのメンバーの誰よりも楽しみにしていたから、先に入社式の会場に行ったのかと初めは気にしていなかった。


会場に着くと、入り口のすぐ近くにЯepLのメンバーが太郎を俺と太郎を除いて全員集まっていた。俺が近づいていくと「ちょっと、友也、遅いんだけど。私たちみんな待ってたんだから。あれ、太郎は?」と気の強そうな釣り目の女 天海あまみ 千歳ちとせが声を掛けてくる。

「おはよう。千歳、とおる未来みらい、オリビア、それと王子おうじも。太郎は先に来てたんじゃないのか?」

「はあぁ?来てないわよ。あんた昨日太郎の家泊まるって送ってきたじゃない。なんであんたが知らないのよ」

「いや、起きたらもう家にいなかったんだ。だから先に行ったのかと思って」

「何?じゃあ太郎が今どこにいるのかわからないの?連絡は来てないの?」

「ああ、ちょっと待て今携帯見るから」と携帯をポケットから取り出し確認していると「それにしても、大丈夫ですかね。もうそろそろ入社式始まっちゃいますけど」と何故か年中白衣の男 御手洗みたらい とおるが不安げに言ってくる。

「連絡きてないわ。ちょっと今から連絡出来るか試すから。待ってて」と俺が言うと

「じゃあその間に私、ちょっと近く捜してきます」とあっという間に戸村とむら 未来みらいが特徴的なツインテールと豊満な胸を揺らして走っていく。

「まったく。太郎くんには困ったものだよ。この僕を差し置いて、あんな風に未来ちゃんを心配させるなんて」と身振りを交えながら大仰に、近衛このえ 王子おうじが言う。

「オイ、クソ王子きもいから喋るなデス」と日本生まれ日本育ちの金髪のハーフはなぜか所々片言で王子を罵倒する。

「駄目だ、連絡つかねぇ。どこいんだあいつ」

「太郎が入社式に来ないなんてありえないわよ。何か変なことに巻き込まれてるのかも」

「とりあえず、未来さん呼んで会場行かないと僕たちも遅刻になりますよ。それに遅れてくるかもしれませんし」

「そうだね、太郎も後から来るだろう、僕たちは先に会場で待とう。未来ちゃーーん」

「はい、戻ってきました。太郎くんと連絡取れましたか?」

「駄目だった。とりあえず会場に入ろう」

「ソウデスネェーー」

そうして俺たちは会場へと入っていった。


だがその日、結局太郎は現れず、俺たちは太郎の両親に状況を報告して、それぞれ帰っていった。


その後すぐに太郎の両親は警察に捜索願を出したらしいが、3日経った今もそれは受理されていない。

そして今日、俺たちЯepLのメンバーは太郎の家に何か手掛かりはないか探しに来ていた。

部屋に入ると、その様子は、俺が入社式に向かい、ここを出た時と何一つ変わりなかった。

「あれ、なんでゲームがついてるの?」

「ああ、それは俺と太郎で入社式前日にやってたエロゲだな」

「男二人で何やってるのよ」

「あっこれ「桃色コスモス」だよね!私も持ってるよ」

「未来、エロゲやってんの?」

「うん。でも、あれだね。入社式前日にやってたエロゲがそのままついてるって、もしかしてこのエロゲの世界に飛ばされちゃってたりしてね」

「いや、それはないでしょ」

「そんなことはいいから、早く手掛かりを探そうじゃないか」

「ソウですよ、クソ王子の言う通りデス」

「あれっ、ちょっと待って、このゲーム勝手に動いてるよ」

「何言ってるの、見間違いじゃないの?」

「違うよ、テキスト見て」

「ほんとに、動いてるわね。ねぇ、この男子生徒Aってモブにしてはセリフ多くない?」

「ほんとだ、こんなシーン見たことない。ちょっと皆来てもしかしたら太郎君ホントにエロゲの世界行っちゃったかも」

そうして未来に呼ばれ、俺たちはモニター前に集まる。


この日、俺たちの、不思議なエロゲ観察の日々が始まった。

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