表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/5

05




 操作室の明かりはつけっぱなしになっている。

 というか全部の部屋の明かりがつけっぱなしだ。別に電気代を請求されるとは聞いていないので問題ないだろう。

 だって暗いと危ないし、怖いじゃん?


 椅子の前には踏み台が置いてあるのでそれをさくさくのぼって椅子になんとか腰掛ける。

 リンに手伝ってもらえば楽なんだろうけど、せっかく買った踏み台がなんだか悲しそうにしていたので使ってあげたのだ。



「さてさて、いくら入ってるかなぁ~」



 メインメニューを開き補給されたDPを確認すると所持DPが250になっていた。

 3歳児の靴を含む服一式で50DPかかっている。

 とりあえず食事をする分くらいは大丈夫な量だろう。


 さっそくお買い物をするために操作して食材で検索をかけてみた。

 出来合いの物もあるみたいだけどうちにはスーパーメイドのリンがいるんだから、食材を買った方がお得だろう。



「あぁ~意外と安いね。これなら結構買えるかも」


「シエリ様、食材の他にも調味料や香辛料なども必要にございます」


「あ、そうか。そりゃそうだよね。えっとぉ~……」



 色々と検索をかけてみてみたが、補給された250DP内で十分揃えられてしかも大分余る感じだ。

 服は個別になっていたからちょっと高かったようだけど、食材なんかは結構な量で纏め売りされていてしかも安い。

 品質がどの程度なのかちょっとわからないけど、並、特、超とついているので最低の並でもそう悪い物ではないような気がする。

 並で粗悪品が出てきたら詐欺だしね。

 もちろん特と超がついている食材などは値段が跳ね上がっている。具体的には桁が2個以上違う。

 補給されたDPが一気になくなっちゃうよ。



「えっと、リン。どれ買う?」


「ではこれとこれと――」



 料理に関しては全部リンに丸投げ予定なので私が口を挟むつもりもあまりない。

 特に好き嫌いもないし、まずはリンの腕の程も見てみたい。


 一先ず食材やらなにやら必要な物を選択すると結構な量買ったのに30DPで済んだ。

 食材はやっぱり安い。


 残り220DPあるけれど、お腹がきゅーきゅーうるさいのでさっそくリンにご飯を作ってもらうことにした。


 大量の食材等をマナ制御技術で1回で運んでいく姿は凄まじい。

 さっそくキッチンで調理を始めたリンの邪魔をしないように今度は踏み台を自分で持ってきてリビングの椅子に腰掛ける。


 すぐにお腹の虫がさらに騒ぎ出すほどのいい匂いが漂ってくる。

 口の中に唾が溢れて零れそう。


 それから数分経たずに料理は完成した。

 マナ制御技術を持つリンは手が2本しかない人用の通常の調理方法ではなく、同時にたくさんのことを行えるので1人で何十人分以上の働きが出来る。

 その為1度に何種類もの料理を作れるし、同時に洗い物や買った食材の整理も出来る。

 見なくてもマナで作り出した目を通して視界を確保できるので失敗もしない。



「いただきま~す」


「存分にお召し上がりください」



 使用した調理器具の洗浄もすでに終わっているようで脇に控えて目を閉じているリン。

 出された料理はリンのスーパーメイドさんという名に相応しい最高の物だった。

 空腹は最高のなんとかというけど、それを抜きにしても絶品だった。


 夢中になってぱくつき、ちょっと大目に作られたはずの料理を全部平らげてしまった。



「はふぅ……。満足ぅ~。ご馳走様でしたぁ~」


「お粗末様です」


「リンもお腹すいてたでしょう? 一緒に食べればよかったのにぃ~」


「わたくしは一般的な食物を摂取することはできませんので、大丈夫です」


「えぇ……。じゃあどうやって栄養取るの?」


「空気中のマナを吸収していますので栄養はそれで事足ります。

 基本的に妖精種は全てマナを吸収して生きることができますので、食事は必要ありません」


「そうなんだぁ~。そっかぁ~……。一緒にご飯食べれたらよかったんだけど、なら仕方ないかぁ……」


「……シエリ様。一般的な食物は摂取できませんが、蜂蜜ならば食せます」


「ほんと!? じゃあリンは私が食事する時は蜂蜜食べよう!

 うん、それがいいよ! やっぱり美味しいご飯は誰かと一緒に食べるともっと幸せになるからね! そうしよう!」


「畏まりました」



 お腹も膨れてリンと一緒に食事も摂れることになって、満面の笑みを浮かべて操作室で蜂蜜を購入することにした。

 リンは食器の洗い物を片付けてから来るそうだ。



「はっちみつぅ~はっちみつぅ~」



 蜂蜜で検索すると結構色々な種類の蜂蜜が出てくる。

 中には聞いたこともないような種類の蜂蜜もある。どれがいいんだろう。

 蜂蜜なんてローヤルゼリーくらいしか知らなかったので、色取り取りの蜂蜜に見えないような蜂蜜もあり、小首を傾げて眺めてみる。

 品質の違いもあり、その分種類が増える。

 それを抜きにしてもジャムのような蜂蜜やハーブのような蜂蜜もある。

 どうやら食用以外の蜂蜜もあるみたいだ。



「シエリ様、お待たせ致しました」


「あ、リン~。蜂蜜いっぱいだよぉ~。どれがいい?」


「そうですね。ではこちらの種類をお願い致します」


「りょうかーい。コレ1つだけでいいの? そんなに高くないし、もっと買ってもいいよ?」


「いえ、わたくしが食す物だけですのでこれで十分です。

 シエリ様の食事に使用する分に関しては別に致しますし」


「そっか~。リンは小食だねぇ」


「はい、フェアリーですので」


「それもそうだねぇ~」



 リン用の蜂蜜を購入し、そのついでに必要だと思った物を購入していく。

 220DPあった資金がどんどん減っていく。

 必要そうだと思ったものは食材同様にかなり安く、単体ではなく大体が複数セットで購入となる。

 そのせいもありタオル1枚買うにも10枚纏めてとかになったりしたが、予備と考えれば十分だろう。


 予想外に購入した物が大量になってしまったけど、購入していく端からリンがすぐに片付けてくれるので問題もなかった。


 お腹も膨れて大分眠気も押してきていたので続きは明日にすることにした。

 もう目を開けておくのも辛いくらいに眠い。


 3歳児の体で深夜まで起きているのは相当な苦行のようだ。



「シエリ様失礼致します」


「あぅぁ~」



 リンの鈴を鳴らすような綺麗な声が心地良い。

 私の意識はその声に導かれるようにあっさりと落ちた。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ