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異説鬼退治Ⅲ②

 桃太郎たちはテレビを見ながら昼食をとっていました。

 今日も平和です。

 ニュースといえば、総理大臣が脱税したとか、総理大臣がアメリカのオベマ大統領に鳩をぶつけたとか、総理大臣が消費税を五倍にするとかくらいしかニュースがありません。

「ここで緊急災害速報をお伝えします!」

 美人のニュースキャスターがまじめな顔でまくしたてます。

「大江戸拘置所から脱走者が出ました。脱走者は二名。警察の発表によるとそれぞれ独房に隔離して収監していた某重要人物なのだそうです。彼らはそれぞれ、素手とトマホークミサイルで防壁を破壊して逃走を始めたとのことです」

 桃太郎の背筋に悪寒が走りました。

 いや、まさか。

 そんなことがあるわけがない。

 胸に募る、曇天のような重苦しい不安感を飲み込んでテレビに目を向けます。

「脱走者の一人は頭に女性の下着を被っており、もう一人は首を百八十度ひねって奇声を発しながらバスをジャックし、猛スピードで走り去ったようです。もはや妖怪といってもいいのではないでしょうか。あ! 今現場から中継がつながりました。現場のキタカドさん、お願いします」

 テレビ画面は牛頭の骨を頭に被って、紫色のローブに身を包んだ、怪しげな壮年の男を映し出しています。彼はマイクを握っているので、一応テレビ局の人間なのでしょう。人事ちょっと出てこい。

 ロボ化したお爺さんとお婆さんは平然とオイルを食事代わりに飲んでいます。

 ダイゴロウとポアロは桃太郎の異変に気づいたらしく、食事をやめてテレビを見つめました。

『セコヨネカ、現場のキタカドです。えー、脱走者二人が立てこもったという鬼が島㈱本社ビル前に来ています。緊迫感が漂っています。警官隊は重装備で包囲網を狭めていますが、油断はできません』

「何か、策はあるのでしょうか?」

『はい、イザンバ。切り札として、生まれる時代を間違えたとしか思えない暴力団の藤崎ゴドウ氏の協力を仰ぐことに成功しました。それから、関東随一のヤクザの関東竜胆会も応援をしてくれるということで警察と犯罪組織という夢のタッグが組まれています』

「そこは突っ込むところでしょうか?」

『セコヨカンナ。おおっと、今、藤崎ゴドウ氏が竹槍を構えました! これは必殺の竹槍戦闘機落としが繰り出されるかもしれません! おや、恐れをなしたのか、脱走者二人がビルから出てきました。報告にあった通り、一人は頭にパンティを被っています。変態です。もう一人は……ぴちぴちギャルです! いまどきブルマですよブルマ! こんなギャルになら襲われても本望ですふぉぉぉぉぉ!』

「キタカドさん落ち着いてください」

『我々の業界ではご褒美なのです! これが落ち着いていられるかぁ!』

「えーすみません。当社のキャスター、キタカドが錯乱しましたため一時放送を中断させていただきま……おや、何か異変が起こったようです」

 もうすでにこのテレビ局は経営自体を中断した方がいいと桃太郎は思いました。

『おのれええええええええ!』

「落ち着いてくださいキタカドさん! 一体今度は何があったんですか?」

『吾輩のギャルが空高く放り投げられてしまって、ギャルのいた場所には耄碌したクソババアがいるのです! ああバビロニアの神よ! こんな詐欺とペテンと押しくらまんじゅうを許していいのですか?』

「正露丸飲みますか? とりあえず救急車が先ですか?」

『おのれクソババア! ギャルの恨みを思い知れィ! ディレクター、ゴーヤチャンプルをこれに持て!』

「ごめんなさい。もうどう突っ込んだらいいか分からないので、キタカドさんにお任せします」

『さあ、妖怪ババアかかってこい! 正義の鉄槌を今下してやるぞ! お前のようなババアがげふぁ?』

「映像を見る限りではキタカドさんはゴスロリファッションのヴァヴァアに敗れたようですアーメン。おっと、変態お爺さんとゴスロリお婆さんがテレビカメラに近寄ってきました! もしやカメラを破壊する気でしょうか?

 いえ、違います。何とカメラに向かってダブルピースを決めています。誰かへのアピールなのでしょうか?」

『桃太郎や、見ておるかぐふふ。イケメンの若衆を捕らえて鍋の具にするからの、楽しみに待っておれ』

『桃太郎や、ワシの可愛い貧乳ロリはまだおるのか? まだまだセクハラの真髄を極めておらぬからの。ブルマを履かせて待っておるのじゃぞ』



 桃太郎は頭を抱えました。

 お爺さんとお婆さんが増えたのです。

 いや、このテレビカメラに向かってピースを決めているアホな方が、本物のお爺さんとお婆さんでしょう。では、桃太郎の目の前にいる、人格者のロボお爺さんとロボお婆さんは一体何者なのでしょうか。

 爺婆一組でも天災に匹敵するのに、二組いるとなれば天地崩壊だって簡単に出来そうな気がします。

 桃太郎は決意しました。

 ロボと本物を合わせてはならない、と。

 確率百五十パーセントで『真のジジババ決定戦 ~負けた方は罰ゲームでニトロみたらし団子一気食い~』が起こるからです。

 そんな時です。

 来客を示すベルが鳴りました。

こんばんは、jokerです。


本物のジジババ登場です。


さて、どうなるか。

今回は美少女の貞操の危機はありません多分。


ではまた次回お会いできることを祈りつつ……

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