第一部:素敵なふるさと
春の柔らかな光が降り注ぐ「ひだまり広場」。
そこは花や小さな虫たちが幸せに暮らす、とても平和で温かな場所ででした。
そんな広場で、タンポポの子、綿毛だらけの小さな子、フワが生まれました。
お母さんの温かな茎に抱かれながら、フワは周りで踊るチョウや歌うハチたちを眺めて過ごしていました。
ここが素晴らしい場所であることは、フワもよく分かっていました。
大好きな家族がいます。
大好きな温かい風が拭きます。
大好きな仲間がたくさんいます。
けれど、フワの心の中に強い思いが芽生えました。
「きっとこの世界の向こうには、もっともっと素晴らしい場所があるはずだ、このままここで根を張っていいのだろうか。」
誰も知らない素晴らしい世界、フワの気持ちで、未知の憧れが膨らんでいきました。
「ぼく、綿毛に乗って旅に出るんだ!」
ある日、フワが家族や仲間たちの前でそう宣言すると、みんなは一斉に驚き、心配そうな顔をしました。
「おやめなさい、フワ。外の世界はそんなに甘くないよ」とお父さんは言いました。
お母さんも、「ここには優しい仲間たちがたくさんいるのに、どこに行くつもりなの?」と悲しそうな顔をしました。兄弟や仲間たちも「危ないからやめようよ」「ここにいようよ」と口々に反対しました。
言葉は反対ですが、みんなフワを心配してくれています。
みんなの優しさは、フワの心に伝わってきます。
それでもフワの憧れは止まりません。
ついに、強い風が吹いた瞬間、フワはお父さんやお母さんの元を振り切るように、空へと舞い上がりました。
みるみる、地面がみんなが遠ざかり小さくなっていきます。
「いってきます!」風に乗って空高く昇るフワは、まるで小さな雲になったような気分でした。
旅の始まりは期待に胸が膨らみました。
どんどん空高く舞上がっていきます。
すると、ハヤブサが飛んできた。
「やぁ、こんなに高くにタンポポがいるなんて珍しいね。どこに行くの?」
「わからない、でも、ここよりもっと、いいところ。」
「大冒険にでたんだね。おや、人間の街が見えてきた。ボクは、ここで引き返すよ。
それじゃね。いい場所が見つかればいいね。」
ハヤブサは引き返していった。
フワは、また一人旅を楽しんだ。
人間の街の上を飛んでいると、大きな飛行機がすぐ横をかすめるように飛んでいきました。
うわー!凄い風に巻き込まれて、ぐるぐる回って、目が回ってしまいました。
「びっくりしたー!危ないなぁ!」
危機一髪でしたが、無事でよかったです。
街を超え海に出てきました。
周り全てが海です。きらきらと輝く青い太平洋を見下ろすと、小さな島があったり、
低いところに湧き出し、白く輝く雲。
海の青さは、こんなにいろいろあるんだ。
空は蒼く、宇宙が近いような気分がします。
どこまでも行ける気持ちになってきます。
どこまでも続く空、果てしなく広がる海。
未来の可能性は希望に溢れていました。




