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オフィウクスの謎―加護を受けたと思ったら存在しない神だった―  作者: 桜皐ゆるり


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5章 蛇使いの星1―別の進化を遂げた星―

 洞窟を抜ければ、明るい日差しが辺りを照らしてた。

 見たこともない光景に絶句する。巨大な建物が並び、空には見たこともない巨大な鳥が飛び、何かがものすごい勢いで走っている。音は常に何かの音を拾い続けて、鼻は嗅いだことのない匂いを訴えている。

「これは……なんだ?」

 思わず呟く。一緒に来た面々も俺と同じように目を白黒させて立ち尽くしている。

「ほう、まったく違う進化を遂げたのか。蛇使いの星は」

 射手の神だけがしたり顔で、頷いていた。

「どういう、ことですか?」

 射手の神を見て、問いかける。射手の神は何かを知っているのだろうか。

「これらは”機械”が進化したものだろう。馬車や、時計などが人間の手によってさらに便利に、加護の力に匹敵するほどになったようだ。オフィウクスは、人間の可能性を信じるヤツだった。手助けをしたのだろうな」

 しみじみという射手の神の言葉に、心臓が大きくなった。

「加護の力じゃない……?」

 空を飛んでいる大きな鳥も、走っている何かも、見たこともないソレが”機械”だなんて、信じられなかった。人は加護の力もなく、空を飛べる。早く走れる。衝撃だった。

「詳しい話は蛇使いの神――オフィウクスに聞くとしよう。まずは居場所を突き止めないといけないな」

 射手の神―サジタリウス様が朗らかに言う。何処にオフィウクス様はいるのだろうか。

 高い建物に祭られてる? でも、高い建物はいくつもあってどれかはわからない。派手に祭られてるわけでもなさそうだ。

 牡羊の神アリエスのように普段は顔を出さないタイプとか? とりあえず情報が足りなさすぎる。

「星の住人に話を聞きに行っこっか」

 俺はみんなに提案する。反対する人はいなくて、みんながそれぞれ話を聞きに行くことになった。

 俺も、ひとつの建物の近くへとやってきた。目の前を通る人に声をかける。

「あの、すみません」

 訝し気な目で見られて、スルーされた。ショックを覚える。なんだろう、すごく変な感じだ。凹んでても仕方ない、別の人に話しける。

「あの、すみません」

「……なんですか?」

 上から下まで見られて、やっぱり怪訝そうに眉根を寄せられる。どうも服装のせいだとわかった。蛇使いの星の人の服装は様々だけど、俺が着ているような麻の服を着ている人はいなかった。それに、俺の服装は長い旅路で薄汚れている。

「えっと、他の星から来たんですが……」

「他の星? お伽噺がお好きなんですか?」

 刺々しい口調で目をすがめられた。思わぬ反応に目が白黒する。

 他の星のことを知らない? 六千年も出入りがなかったから、古くからの言い伝えになってるのか?

 あまり星の話をするのはよくないみたいだ。俺は愛想笑いを浮かべる。

「えっと、神――オフィウクス様のことを知りたくて」

「はあ……昔に科学の一端を担ったオフィウクスのことですか」

 オフィウクス様のことを知っているようでほっとした。俺は、会話に多少の違和感を覚えながらも頷いた。

「オフィウクス様ってどこにいますか?」

 俺の質問で、目の前の相手は一歩引いた。明らかに警戒されている。どうして?

「昔の人がいるわけないでしょう。もういいですよね」

 それだけ言って、踵を返してしまう。あっと思って手を伸ばしたけど、その人が立ち止まることはなかった。

 幾人かに聞いた。けど、みんな似たような反応で、一様にオフィウクス様を昔の人だと認識していた。

 しばらくして、サジタリウス様たちと合流する。

「なんか、居場所どころか昔の人って言われちゃうんだけど」

 肩を落として報告すると、みんな同じだという。

 サジタリウス様が眉根を下げて、顎を摩った。

「力が弱って、雲隠れでもしているのかもしれない」

「所在がはっきりしないということですね」

 スピカが頷きながらいう。でも、星の人たちの様子を見るとオフィウクス様を神様というより同じ人として見ているように思う。

「本当に、オフィウクス様はいるのかな?」

 疑問に思って首を傾げる。

「いないよ」

 聞き覚えのある声が間近で返答した。

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