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相手が宜しくないヤツだから、とりあえず婚約破棄したい(切実)  作者: 桜鶯
第2章・婚約破棄は新たなる珍事を招く。
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これはざまぁへの助走かしら?再び。

鮮やかな色彩で会場が埋まる。ヒラヒラとまるで咲き誇る様に、沢山の花々がくるくると回る。それはまるで競いあうようにひしめき合い、そこかしこから漏れでる花々の放つ甘い香り。さらにはその花の蜜を求め蝶々たちが飛び回っている。


日中の色褪せた城下町の風景が嘘の様ね。しかしやはり素材等の質は落ちるわね。王家の方々の宝飾でさえ、我国の伯爵クラスにさえ及びはしない。見た目は豪華だけど、質が悪すぎる。宝石店は良くあの石で作るわね。まさか作らされているの?それとも王家が騙されてるのかしら?地金にもかなりの混ぜ物をしているわよね。あれでは肌荒れの原因にもなりそうよ。必要ならば鑑定すべきね。有害な物質を混ぜていなければ良いけど。


着飾るご令嬢たちを花々と例えるならば、その合間を游ぐ男性方が蝶々ね。咲き誇る薔薇には棘が有るという。しかしその棘は誰に向けられてるのかしら?棘を内面に隠し持ち儚げな花の外面を装う者もいる。恋の駆引きは危険も多い。時には失敗しまたは深みにはまり簡単に己の理性を破壊する。花同士の戦いもし烈だけど、花をめぐる蝶々たちの争いも激化する。


大丈夫。野に咲く花々だって美しい。己を磨き信じれば負けやしない。偽りを纏っても何時かははがれ落ちる。真実は一つだけなのだから。


一部逆も見られるけど……


食虫花に狙われ魅いられ喰われる。己が信じたまま喰われたかねならば、虫も花も幸せなのだろうか?


でも信じられなくなったらお仕舞いなのよ。ローズマリー。いい加減に気付きなさいな。侯爵子息は漸く魅了が抜けたそうよ。かなり深みにはまっていたわね。父親と共にマリエンヌに土下座したそうだけど、今更どうこう出来る筈もない。両家の婚約には既に国王の裁きが出ている。更にはパーティー会場での失態。侯爵の仕出かした事は立派な詐欺行為に当たる。侯爵家は国に恥をかかせた責任を取らされた。もう二度と貴族社会には戻れぬでしょう。


勿論ローズマリーには指名手配がかかった。普通ならあの場で不敬罪で首チョンされても仕方がなかったのよ。大袈裟かもしれないけれど、普段リーダーの言うことは正しいの。勿論私のせいで、リーダーを不敬罪で首チョンに何てさせないけどね。


我が国は既に国をすてた四人を切り捨てた。貴女たちはもう二度と故郷には戻れない。亡命すると言う事はそいう事よ。おバカ二人は、理解してるのかしら?魅了がかかったままなら可愛そうだけどこれは自業自得。魅了解除や予防の魔道具など、または解除そのものの魔法も有るの。なのに周囲に気づいて貰えずに、助けても貰えなかった。それはつまり人望がないという事。ブライアンの様に自力で解除も出来なかった。つまりそれまでなの。それらをなせぬという事は、貴族社会では致命傷なのだから。


お互いに夢を見たまま……あるいは真実を知らずに騙されたままだったのならば……


きっと幸せだったのでしょうね。


*****


今晩の舞踏会はこの国の姫さまと我国の公爵家嫡男との婚約を歓迎する会。また来賓で有る魔法大国のドレイク様とグレイシー様との親睦を深める為の会でもある。もちろん私たちはオマケ。でもモテモテなの。我が国はお金持ちだと思われているからね。


「おい……あまり寄るなよ。後から恐ろしい目にあいそうだ」


リーダーが隣に座る私を、肘でぐいぐい押して引き離そうとする。


「イヤねー。同僚で婚約者なしの仲良し同士じゃない。そんなに離れてる方が不自然よ。キチンと隣に座りなさい」


「本当に大丈夫だろうな? 不敬罪は免れたのに焼きもち妬かれて首チョンは嫌だぞ。それにドレスを汚したりしたら恐ろしいわ!認識阻害をかけてのその存在感! どんな豪華なドレス何だよ! 」


もー。心配性よね。そんなにエドワードは不気味だったのかしら?


「キチンと王様の許可を取って貰ったわ。私たちも伯爵家を名のる以上はヘマ出来ないからね。でもまさか父が味方になってくれるなんて思いもしなかったわよ。しかもまさか王家まで口説いてくれるなんてね。公爵家の当主は古の当主の日記を引き継いでるんですって。いきなり父が出てきて驚いたわ」


夜会は私たちもドレスアップして参加しています。侍従に侍女でも身分は伯爵家(仮)だからね。ロジャースも我が国の大商会の代表として参加している。更に最後にネタばらしするから、私ってば凄いお高いドレスにお飾りなのよ。確かにリーダーが、値段を聞いたら腰抜かすかも。一応はまだ皇太子様の婚約者らしいからね。全くエドワードが破棄したんじゃないの?正直イラつくわ!本当はこっそりのつもりだったしネタばらしもなしだった。しかし父が出ばって来てしまい、何故か国王も知りえる堂々の参加になってしまったのよ……


更には王直筆サイン付き。押印付きの正式な裁決&捕縛委任状まで、父たる公爵様は戴いて来た。脱獄者のローズマリーと脱国者共の処分を私に一任するそう。何故私が?まあ他国で犯罪者を捕縛するには必要な書類。処分は差し置き、堂々と捕縛できるのは助かります。


実は桜の前でユリウス様と話をしていたら、公爵である父が現れたの。私は家を出奔した身。すかさず逃げようとしたら止められてしまった。


父は私と桜とユリウス様を見て、ユリウス様が龍治君だと気付いたそう。そして公爵家当主に代々伝わるという、昔の当主の日記を渡されたの。それはあの突如未来日記になったという日記だったのよ。


日記を残した公爵様。つまり私の前世であるという、クリスティーネの父親は引退後、沢山のひ孫に囲まれ亡くなったという。公爵家は双子の兄が継ぎ王家の姫を妻に迎えていた。双子の妹は王弟の公爵家へと嫁いだ。以降我が公爵家は王家との婚姻の縁が深まった。


双子はクリスティーネとリュウの子だと周囲には思われていた。リュウは此方の世界で転生した為、周囲は異世界人だとは思わなかったのだという。侯爵はこれ幸いと否定をせず、周囲にはそれが真実であるかの様に思わせた。つまり双子の父親が異世界人で有る事を隠蔽したの。


何故なら双子が大きくなる頃、異世界人との子が優秀だと騒がれたから。高魔力持ちだと噂が立ち始め、誘拐や取り込み等が増えてきていた。


案の定、双子の魔力量は多かった。


特に王家は血筋に高魔力持ちを欲していた。条件に合う公爵家の娘ならば、王家が嫁にと強制するだろう。しかし公爵はそれを望まなかった。娘のクリスティーネが死ぬ間際に、子供たちには幸せになって貰いたいと願ったから。異世界人が父親だからと、婚姻の選択肢を狭めたくはなかった。


だが二人共に王家と婚姻を結んだ。公爵は驚き問いただしたという。


「「決めたのです」」


「私はあの方を愛せますわ 」


「私も姫を愛せます 」


「「愛は育めます。互いに尊重しあえる方を選びました」」


公爵は二人の固い意思を尊重し、それ以上は追求しなかったという。


この夜に公爵は、神からの啓示を夢に見たと日記には記載されていた。


『全ての根源を埋めねばならない。我が介入出来るのはここまでだ。人間が召喚と言う禁忌を犯した罪は消えぬ。遺跡を封印出来るまで、人は贖罪し続けねばならぬ。遺跡を封印する鍵を得る為、双子はゆく道を選択をしてくれた。優しき双子の魂に神の祝福を授けよう』


双子たちは神と交渉したのだという。神は双子の未来に願いを託した。王家と血を混ぜ将来的に、遺跡を封印出来うる魔力量を確保する。かわりに孫息子には公爵家の末永い繁栄を。孫娘には死後の魂の在り所をと。


孫娘は芯の強い娘で、己の本当の父親で有る佑真を絶対に許せないといっていたという。クリスティーネを愛していたからと、死して後を追うなんて最低だ!母がそんな事を喜ぶ筈がない!私たち双子をこの世界に存在させたくせに、無責任すぎると罵倒したと……


だからこそ広い心を持つ龍治君にに引かれたのだろう。龍治君が亡くなった時孫娘は泣かなかった。今は泣けないからと、涙を懸命に堪えていた。しかしクリスの死後佑真君は瀕死の双子を見もせず泣いていた。己の子を一度も抱きもせずクリスの後を追った。子を望まぬなら何故!病弱なクリスティーネを辱しめたのだ!と憤慨し、公爵は死ぬまでその父親である佑真への怒りを収めなかったという。


「お父様。ユウは家族に恵まれず孤独だったの。私も悪かったの。二人で遺跡に行ったのに一人で戻ってきたからつい聞いてしまった。ううん。強く問いただしてしまったの。だからユウは私にすがり付いた。私はユウが好きよ。だからその弱さを許したの。だからお願いもう責めないであげて。ユウも己の子を抱いたなら、きっと変われると思うわ。だから私はユウの家族を生みたいの。宿った命を無下には出来ない……」


そう言いながら双子を産み落とし、双子を父に託し死地へ旅立ったクリスティーネ。しかしクリスティーネの気持ちは佑真へはまったく伝わってはいなかった。佑真はクリスが妊娠したと知るとクリスの身が一番大切だからと堕胎を迫った。しかし堕胎にも死の恐れが有る。何よりクリスが望まなかった。そして最後には真剣な、クリスの言葉に折れた筈だったのに……


父と娘。まるで反面教師の様だったと、公爵の日記にはそう記載されていた。


己はこの世界で生を全うする。己は実父の様にはなりたくはない。生きたくても生きられず、それでも私たちをこの世界へ送り出してくれた母の為にも死ねない。私たち双子の誕生を心待ちにしてくれ、命がけで生んでくれた母。憎い実父だけどその父の孤独を埋めたいと私たちを身籠り生んだ母。その願いは報われなかったけど……


私は寿命までしっかり生きたい。そして死した魂は自由になり。今度こそ貴方の側へ行きたい……


公爵は孫娘の強い意思を知り、娘と孫娘の意思を尊重した。それ故大事な秘密としてすべてを日記にのみ記したという。公爵家に異世界の血が混じった事。そして神が介入した事。これらは王家にも秘密にされたという。


*****


「ほらほら。そろそろ始まるわよ。ほら始まった。ん? ローズマリーに二バカに父親までいるわよ。うわー。ブライアン吊し上げじゃない。負けるなブライアン! ガンバレー」


ローズマリーは必死ね。もう後がないからね。でもこれだけの人前でのあの演技。大根では有るけど度胸は買うわ。努力すれば劇団に入れるんじゃないかしら?


「まるで人ごとだな……」


「人ごとよ。私の事じゃないもの。でも可愛い弟の為だから頑張るわよ。リーダーもパーティー代をなしにする為にも頑張るのよ。家族の為にもね。打倒魔術師団長よ! あっ。もう元魔術師団長ね。仮に元に面倒臭いわねー」


ん?大事な所よね。因みに宣言しているハゲ親父は誰?


「ブライアン殿! 貴殿と我国の姫との婚約は破棄させて貰う! 理由は簡単だ! ローズマリーとの不義密通だ! しかも無理矢理だそうだな! 証拠はあがっとるぞ。そんな輩に大事な姫は渡せん! 」


えー?あれが姫さまの次の婚約者予定なの?まるで美女に野獣じゃない。ううん。野獣なんて野獣に失礼だわ。野獣の様な逞しさも野性味すらない。悪いけど、三重苦以上のヒヒオヤジよ。仕方がないわね。さあ行くわよ!


でもあら?どうしたのかしら?


何故か突然姫さまが走り出した。しかまお父様ご指名?まさか下衆王?


しかも姫様の台詞が意味不明だわ。いったいどういう事なの?姫さまの進行方向にはブライアン。お父様ってのは、やはり聞き間違いだったのね。って……あれれ?


「お父さま大好きー! 」


再度響く姫さまの声。やはりお父様呼び?姫様は入口近くに控えていたユリウス様に飛びつき抱きついた!でもユリウス様がお父様?な訳がないわよね。まさか!もしかして前世の記憶?なら姫さまは……


「リュウ! 私はリリアンよ。リリーとまた呼んで欲しいわ」


「まさか貴女にも記憶が? 」


「たった今思い出したの。でも昔から貴方を見るとなぜか懐かしかったの。思い出せて嬉しいわ。神様は約束を守って下さったのね。私は貴方の側にいたいの。最初は娘でも良いわ。でも今回はそんなに年は変わらないわよね? 直ぐに私にメロメロにさせちゃうわ」


たった今……ロジャースと会ったからなのかしら?姫さまは多分双子の妹。前世での私の娘。異世界の魂ではないけれど、半分は異世界産となるのかしら?だからロジャースの枷に反応したの?しかしキャラが変わりすぎ!でも何故此方の国に転生をしたの?


「おい! 神官等が姫に触れるな! 姫との婚姻は王も認めている! 姫! 貴女は私の花嫁だ! 約束を違えばこの国への援助を打ち切るぞ! 」


うわー。ゲスの極みね。下衆王まで頷いてるし。しかも一緒にイスにふんぞり返ってるいのは、本妻腹だという王子と姫なの?失礼だけど皆さま……お座りになってるイスが軋んで反り返っています。大丈夫なのでしょうか?


さあ!では盛大にざまぁ行くわよ!


グレイシー様、ドレイク様、ユリウス様は無理かな?リーダー!ロジャース!配置を宜しく!


さあ出陣よ!


*****


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