第十二話 しゅうまつの夜
台所から慎太郎が紅茶を持ってきてくれた。はいと彩那に手渡す。彩那はありがと、と、ティーカップを受け取った。
しかし、彩那はなぜか心の中にもやもやがあった。
自分でも分からなかった
でも、とてつもない嫌な予感がする。
彩那は心の中を悟られないように慎太郎に声をかける。
『ねぇ、それよりなんで慎太郎までいじめられてるの?』
!!!!!!!!!!
明らかに慎太郎の表情が激変した。
下を向いてしまう…
彩那はしまった!と自分の行動に後悔した。
『ごめん、嫌なら答えなくていいよ、馬鹿なこと言ってごめんね』
慎太郎がそれを聞いて、いいよ、大丈夫!!と答えようとした時に携帯が鳴った。
慎太郎が彩那に目配りすると彩那は快くいいよ♪と言った。
慎太郎は携帯を開けた。
画面には非通知の3文字が…
(今は一人か?)
『いや、』
と、慎太郎は彩那を見て答えた。
(一人になれ!!)
『分かった』
と、慎太郎は席を立ち、部屋を出て、トイレに入る。
『一人になりました、ボス』
ボスと言われた男は冷酷な、まるでこの世の悪を全て、含んだような声で話を続けた。
(少々、予定が変わった。今夜中に実行しろ)
慎太郎は黙った。
(どうした?この世にまだ未練があるか?)
『いえ、必ず成功させます。しかし、こちらからも条件があります。2日、つまり48時間、早くなったので…』
(……。)
今回はボスの方が黙る番だった。
(なんだ?)
『組織に彩那と言う女性を送ります。彩那を傷付けないでください。』
(なんだ、そんなことか…まだ組織は小さい。任務はやってもらうかもしれないが…出来る限りの手を尽くす)
『ありがとうございます。では、午前3時の関西国際空港から出る東京行きの飛行機で実行します。目標は警視庁で』
(失敗は許されないぞ)
『ええ、必ず成功させます。では、ボス、あの世でまた会いましょう』
(…。)
ぱちっと慎太郎は携帯を閉じた。
『ふははは!!この腐った世の中に痛みを』
慎太郎の目が不気味に赤く光った
しゅうまつの夜は
週末の夜
終末の夜
をかけてます。