書見台3 ~組み立て~
自分の頭の中にしかなかったものが、組み上がっていくのが好きです。(挨拶)
それは、完成させてしまえば誰にも分からない。
どんな風に、何を思って、それを作ったかなんて。
作者でさえ、いつしか忘れてしまう。
もう、目の前に『それ』があるから。
……なぜ、作業難易度を見くびるのかなあ、と常々思ってたんですけど、そっか、この苦労を忘れてるんですね。
……作業中の気持ちを忘れないために書いているのに、既にこの瞬間も、残りを「組み立て楽しい組み立て楽しい楽しい楽しい楽したのたのたの」と埋め尽くしたくなるぐらい、大変だったという記憶が薄れて、楽しかった方が支配的に。
……いえ、作業の精神汚染度は低めですよ。
本当にしんどかった作業は、記憶が飛びがちなので……。
(※"古書"本文エイジングなど)
・組み立て(設計)
接合とも言う。
基本は釘。
……に見せかける。
いえ、クギもちゃんと組み立て方法の一つですよ。
あくまで一つですけど。
今回は、破壊を考えない。やりなおしはない。途中のミスはすなわち死。
徹底的に強度を重視する!
接する面に木工用ボンドを塗布!
釘でそれを固定!
そしてグルーを張り巡らせて、徹底的に割れを塞ぐ!
グルーのせいで、やり直したいと思ったなら、釘抜きした後、熱湯に放り込むしかない。
そして、今回は、ボンドはケチらない。
木工用ボンドは『接着剤』じゃない。『構造体』だ。
……はみだしたボンドの処理が大変だったのですが、それはまた別の話。
強度には貢献してくれているから……。(震え声)
釘は以下のような配置になっています。
釘は、全部で17本。
側面に5本×2。(画像では奥は省略しています)
天板の表に4本。
『本留め』の裏に3本。
……となっています。
そんなにおかしな所はないはず。
釘だけでも固定できる事を重視しました。
……釘は、もう少し長い方が良かったかも。(実はこのために買った物ではない)
組み立てのポイントは、「最後にはめるパーツを考える」こと。
今回は、グルースティックを、グルーガンを使用して絞り出します。
つまり、グルーガンを使うだけのスペースを確保する必要があります。
……底板を抜けるなら、多分それが一番いいのですが。
底板はガチで廃材。
積層の合板だし、節穴もあるし、なにより、どれだけ塩水と太陽光にさらされていたのかというダメージ具合……。
……無理。ここに補強がいる。
となると残るは「天板」か「背面板」。
……背面板は『ありえないミス』によって分割されていて強度に不安があり、側面板×2との接合が、やはり絶対に必要。
本を支える「天板」にグルーで補強を入れたい気持ちはやまやまなのですが。
材料が廃材すぎる……。
まず箱形に組まないと、強度を保証できない。
よって、「天板」を最後にはめる事に決定です。
・釘打ち
※天板、『本留め』の裏。
使うのは真鍮の飾り釘、1本2円。
小型の金槌で、コンコンと。
完成形はこんな感じになります。
まず、ボンドを塗って、釘を金槌で打って留めながら箱形に組んで……。
いく、途中、に。
……釘が止まった……。
木の堅い所へ入ったらしい……。
無理矢理進むか破棄か迷ったけど、そもそも一ミリも動かない……。
無理矢理進もうと、金槌を強く打ったら。
釘自体が、少し曲がった。
……破棄を決定。
全力でペンチで掴んで引き抜く。
……全力を出さないと、釘の一本も抜けない非力が悲しい。
丁度、径がほぼ同じだったので、ピンバイスで丁寧に掘り進めて穴を貫通させてから、あらためて釘を打つ。
ちなみに、この過程で一本ロスした釘があるわけですが、この釘は予算計上なしとなっています。
ものづくりにおいては、テストや失敗にこそ、コストを掛けるべきです。
だから、こういった予定外のロスは『製作費用』ではなく、もっと大事な、ものづくりの根幹を成す、挑戦心に支払った代金なのです。
挑戦心(2円)。
・グルーによる内部の補強
次に、内部にグルーで補強を入れていきます。
まず、「割れ」部分をカバーです。
既にあるひび割れと、『これから割れそうな部分』の両方に対処。
全面に塗布する事も考えたのですが、コストがかさむのと、それはそれでグルーを溶かす際の「熱」でどうにかなりそうで怖かったので、今回は見送り。
グルーを蜘蛛の巣のように張り巡らせていくだけの簡単なお仕事です。
底板の補強は徹底的に。
節の穴は塞ぐか迷った……のですが、内部のボンドを乾燥させるための「空気穴」及び、万が一水没したときの「水抜き穴」として生かしておく事に。
……いえ、どんなシチュで水没させるのかは、分からないんですけど。
その未来があり得るなら、備えなければなりません。
……万が一なんて低い確率の備えはなくして、大事な所にリソースを一点集中で注ぐのも大切なんですけど。
『万が一』って意外と高い確率だったり……。
試行回数が多いせいか、万が一なんて言葉に失礼なぐらい元々の成功確率が低い技術を試しているからなのかは不明です。
不明という事にしておきます。
・乾燥
グルーは約10~20秒で完全硬化しますが、木工用ボンドは丸一日置いておきたいです。
とりあえず一息。
一晩寝かせて、朝の光に照らされる書見台……いいですよね。
・やすりがけ
もう一回ちょっとだけ触れます。
組み立ててからは、主に番手が大きい仕上げですね。
「この辺は隠れるかな?」と手を抜いた部分が、出来上がってみると隠れてない場合があるので、そういった所を注意してやすっていきます。
でも、一番は「手が触れる部分」を重点的にやる事。特に天板は丁寧に。
写真では伝わらないと思うのですが、触れた所の感触が優しいと嬉しい。
次に「写真で見せたい部分」も重点的に。側面の彫刻など。
・いろえんぴつ
ものづくりには、しばしば「要るのか要らないのか断言できない工程」が存在します。
"古書"の金具や書名であったような、試行錯誤の過程とも言います。
今回は青の色鉛筆で、側面板の一部に、軽く陰をつけるように青を足しています。
写真だと分かりにくいかな……。
画像クリックで拡大する(みてみんへ飛ぶ)と、分かるようになるかも。
ありえないミスをやらかした背面板は、模様のラインを生かして、青い色鉛筆で陰影をつけているのもあり、統一感を重視しています。
しかし、完成した今でも、この後の工程(ニス塗り)に影響を与えていると断言できない。
……でも、影響を与えているといいなあ、と思ったりする。
・テスト(ニス塗り)
木材と布に、ニスを塗ってテスト。
"古書"、"書見台"、共にテストしてから臨んでいます。
テストは大事です。
……まあ、事前にテストしてても分からない事はありますけどね。
それでも、テストは大事です。
テスト内容は、以下の2種。
「ニス(ウォールナット)+コーヒー」
「ニス(乳白色)+コーヒー」
これを木材2種類と、布1種類に塗って試します。
ブレンド比率は、1:1で、50%ずつです。
最終的に選ばれたのは以下の2パターンとなります。
「木材」×「ニス(ウォールナット)+コーヒー」
「布」×「ニス(乳白色)+コーヒー」
木材は色が白めなのでニスを濃く、表紙布は色が濃いめなのでニスを薄くしています。
・オマケ
なんかコーヒー液に綺麗な模様が。
菊の花みたい。
ザルの上にキッチンペーパーを敷いて、ダシガラを煮込んだ物からコーヒー液を抽出していたら、ぽたぽたと垂れたコーヒー液が、こんな模様を作っていました。
……真ん中は分かるんですけど、この円はなぜできたのか分からない。
ちなみにコーヒー液は何度か追加で作っています。
次回は「書見台4 ~ニス塗り~」。
今回のテストで作ったコーヒーニスを塗って仕上げます。




