51話 洞窟内へ!
下級兵士はヒューイと言う姿を模している。
そして、ヒューイという男にも知り合いはいる。
つまり、この姿でいると、他の人に絡まれる。
絡まれれば絡まれるだけ、自分の身が危険に晒される。
即解除!
森の中で迷彩烏に変身した所で、
「正体を現したな! 合成魔!」
王国兵5人に囲まれた。
安定のタイミングの悪さである。
あーあ、変身するところを見られたら、言い訳出来ないじゃん。
もしかして、見張られてたのでは?
「何故ここに?」
気になったので、一応聞いてみると、
「合成魔に喰われて、行方不明になっているヒューイ様を見た、と聞いてな。気になって追いかけて行ったんだ」
意外にも、兵士の1人がわかりやすく解説してくれた。
やっぱり、ヒューイの顔のせいか………。
うん、これからは、下級兵士に変身する時は仮面でも着けるかとも思ったが、逆に目立ちそうなので止めておこう。
そんな事を考えていると、
「合成魔の弱点は火魔法だ! 放てー!!」
1人の兵士の掛け声に合わせて、火球が飛んできた。
やはり、魔法が弱点なのは知れ渡っているようだ。
【土魔法】で壁を作りつつ、飛翔して空に逃げる。
さて、どこに逃げようか?
追撃を避けつつ、逃げる先を考える。
森に逃げれば、逃げ切る事は容易だろう。
しかし、ここが《合成魔出没地点》として警戒され、アース大空洞に入る事が困難になるかもしれない。
それなら一層の事、今洞窟内に逃げ込めばいいんじゃね?
早速、洞窟入り口に向かう。
足が付かないように、【超光学迷彩】を使って。
………
……
…
洞窟内なう。
「ギルドで手配されている合成魔が現れたらしいぞ!?」
「賞金は俺のもんだ!」
冒険者達が、威勢良くそんな事を言っている。
あの後直ぐに、
『緊急クエスト! ギルド手配中の合成魔が現れました!! 発見次第、早急に討伐の方をお願いします!! 相手の弱点は魔法です!』
なんて放送が流れたのだ。
取り敢えず、ギルドで指名手配されている事がわかった。
これからは、人間に近付く時は細心の注意を払わないとな。
今はそんな事より、冒険者達から逃げるのが最優先だ。
洞窟内を飛んで逃げていると、巨大な縦穴があった。
下を覗いてみるが、真っ暗でどこまで続いているか見えない。
ここなら人間は入るのも厳しいだろう。
縦穴を降下した。
………
……
…
縦穴の一番下に到着した。
真っ暗で何も見えない。
【探知】を全開にして、周りを確認するが、どうやらこの辺りには魔物は居ないようだ。
適当に歩き回る。
ここ広いな。
【探知】を使えば、ある程度の地形は分かるはずなのだが、俺の【探知】の届く範囲はすべて平地…………。
あ、魔物の反応発見。
早速【鑑定】してみる。
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種族:ケーブスパイダー
危険度:F
Lv:16
HP:121
SP:26
ATK:29
MATK:3
DF:24
MDF:5
PS:立体移動Lv.3、糸生成Lv.5、暗視Lv.3
AS:毒Lv.2
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弱いなー。
ただ、【暗視】のスキルがあるのは嬉しい。
頭目掛けて、鉄剣を【射出】する。
【ケープスパイダーを倒しました】
【経験値を獲得しました】
【ケープスパイダーを吸収しました】
【立体移動Lv.3を手に入れました】
【立体移動Lv.3が空中移動Lv.3に吸収されました】
【糸生成Lv.5を手に入れました】
【暗視Lv.3を手に入れました】
【毒Lv.2を手に入れました】
【毒Lv.2が猛毒Lv.8に吸収されました】
【暗視】を手に入れた事により、洞窟内でも視界が開けた。
周りを見回してみると、想像以上に広かった。
洞窟とは思えない。これならば閉所恐怖症の人でも難なく来れるな。
【暗視】の感動に浸っていると、洞窟の奥に動く影があった。
それは、こちらに進んでくる。
何だあれ? じっと目を凝らして見ると、超巨大なムカデが、ワシャワシャ無数の足を動かして近付いてくるのが見えた。
うわ、きめぇ!!
急いで洞窟の端に移動し、【超光学迷彩】を発動して息を潜める。
横を通り過ぎていく巨大ムカデ…………。
うわ、終わりが見えない。
………
……
…
やっと通り過ぎていく。
一応【鑑定】してみた。
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種族:タイラントセンチピード
危険度:A−
Lv:466
HP:190.820
SP:68.092
ATK:25.999
MATK:6500
DF:42.926
MDF:12.900
PS:感知、速度超強化Lv.3
物理攻撃大強化Lv.6、物理防御超強化Lv.9、
身体大強化Lv.6、異常状態大耐性Lv.6、
衝撃耐性Lv.6、魔力操作Lv.7、自動超回復Lv.6
AS:防御力強化魔法Lv.6、防御結界Lv.5
土魔法Lv.5、威圧Lv.7、クイックLv.6
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いきなり、ステータスのインフレが起こった。
強過ぎだろ……。
つか、十万の桁も有るんだね。
あれに勝てる気はしないし、うん、逃げて正解。