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13.5話 実は知り合いだった

追加で新たな設定ができましたw


「よう、久しぶりだな。セドル…いや、

ラディス王国軍、3番隊、隊長さん?」


スキンヘッドで、やたらガタイの良い男が現場で指揮を取っていたリーダーの男に話しかけた。


「ああ、オベスか。

久しいな。」


リーダーの男、セドルはぶっきらぼうに応じる。


「『ああ、オベスか?』は、ねぇだろ。

突入してきた時、バッチリ目があったじゃねーか」


その塩対応さに、オベスがツッコんだ。


「そう言えば、相手が魔物だと気が付かない、間抜けなスキンヘッドがいたな」


セドルは、久しぶりに会う戦友に笑顔を向けながらも、嫌味を言った。


ちなみに、オベスとセドルは、冒険者の時一緒にパーティーを組んでいた。


「は、痛い所を突くね〜。

で、ムトウ…いや、あいつは本当に合成魔なのか?」


さっきまでの、ゆるい雰囲気とは打って変わって、オベスが真面目な顔になる。


「ああ、間違いない」


「何かの間違いじゃないのか?

話した感じ、あいつは、そんなに悪い奴に見えなかったぞ?

それに、『アース大空洞』に遠征に行った時に、負傷して、王国軍を解雇になったって」


オベスは、あの合成魔が話していた事をセドルに伝える。


「あの遠征の時にか?

確かに、負傷者はかなり出てしまったが、

『喉をやられて指揮に支障が出るから』なんて理由で解雇された兵は居ないはずだが?」


セドルは王国軍の、一隊のリーダーを勤めているのだ。

多少なりとも、そう言う情報は把握してておかしくは無い。


「そうか………」


心なしか、オベスが落ち込んでいるように見えた。


「はぁ、わかったよ。

遠征時のリストを一回確認してみる。

報告は夜の11時に、ここで良いか?」


「おお!頼む!」


戦友が、少しだけ元気を取り戻したのを見ると、セドルは再びため息をついた。


「それにしても、大丈夫なのか?

取り逃がした責任とか」


「一番の問題点はそれなんだよな。

流石に手ぶらで帰るのはマズイから、おまえが体験した事を、一語一句間違えず俺に教えろ。それで交渉してみる」


そう言って、セドルはメモとペンを取り出した。


「ああ、わかった。

どこから話したものか…」



◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇



夜の11時過ぎ、


時間通り集まった2人は、ギルドにある酒場の隅の席を陣取った。


「やはり、ムトウと言う男は居なかった」


先に口を開いたのは、セドルだった。


「そうか、あの話はデタラメだったのか……。はは、俺の勘も鈍ったものだな」


「お前は単純だからな」


自嘲するオベスに追い打ちをかける。


「うるせぇ、ほっとけ」


オベスのいじけた様子を見てか、


「まぁ、今回は相手が悪かったと思うぞ」

セドルはフォローを入れた。


「? どういう事だ?」


どういう事かさっぱりわからない、といった具合に首をかしげる。


男が、首を傾げてわからないアピールをしても花が無いなと思ったのは秘密である。


「お前の話を聞いた時に思ったのだが、合成魔は、深い所まで聞かれないよう先に牽制をしているんだ」


「確かに、話している時も、地雷を踏んだかも? と思って急いで話題を変えた気がする」


「まぁ、そこで気を遣って話を止めてしまう、お前の人の良さを利用したんだろうよ」


人間は、自分が感じた疑問より、相手がその質問をされてどう感じるかを重視する傾向がある。


少なくとも、セドルはそう考えていた。


「それが本当なら、合成魔の野郎かなりの知能を持ってやがるな」


知能が高いのもそうだが、それ以上に人間の事を多少なりとも理解している。

それこそ、合成魔は実は人間だったのでは無いか?と疑うほどに。


はぁ、厄介なのが出てきたものだ、と溜息が出る。


「だから、王国軍(こっち)も探すのに苦労している。

話は以上だ。俺はもう行く、まだやる事が沢山あるからな」


オベスは帰ろうとするセドルを呼び止めた。


「ちょっと待ってくれ!

お前に相談したい事があるんだ」


「まだあるのか?

まぁ良いだろう、話してくれ」


「ありがとな。実は本題はこっちなんだが、今回合成魔を取り逃がした原因は、相手が魔物だと気が付かなかった俺だろ?

だから、俺も合成魔討伐に参加させてくれ!」


セドルに詰め寄って頼み込む。


「はあ?お前に責任なんてあるわけ無いだろ?」


セドルはその言葉に、呆れたように返答する。


「そんな事は無い! それに、元とは言え俺も冒険者だ! 危険な魔物は放置しておけない!

報酬なんていらないから、俺も参加させてくれ!」


オベスはこう言い出したら意見を変える事は無い、それを知ってるセドルはこう答えるしか無かった。


「わかったよ。王国軍(こっち)としても、信頼できる戦力が増えるのはありがたいしな。

但し、報酬は受け取れ。

ちゃんとギルドに依頼を出しておくから」



………

……


後日、王国を震撼させるような依頼が、ギルドに入った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【討伐依頼】


依頼内容:王国内で、伝説の怪物『合成魔(キメラ)』目撃された。

この魔物が伝説通りの存在なら、王国の脅威となるのは必至。

レベルが低い今の内に討伐せよ!


討伐対象:合成魔(キメラ)


達成報酬:100.000ユース


特徴:ステータスが非常に低く、

『種族』は合成魔と表記してある。

筆談で会話する。

物理攻撃は通用しないが、火属性の魔法が効果的である。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


もちろんそんな事、当の本人(合成魔)が知る由もなかった。



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