13話 慢心ダメ絶対
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HP:24/39
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15も減った。
魔法攻撃は効くのか……ってマズイ!
これが知られたら…。
「効いています!!HPがかなり減りました!」
あ、馬鹿余計なこと言うな!
俺の弱点が露見した瞬間だった。
「見た感じ、火属性魔法がダメージが通りやすいだろう、火属性魔法が使える者は前に出ろ!冒険者達も協力してくれ! 報酬は出す!」
何人かの兵士と魔法使いっぽい人が前に出てきた。
ざっと見て、15〜6人くらいいる。
おお、これ無理じゃね!?
こいつら、全員、さっきみたいな火の玉を撃つんだよな?
はは、避けれるわけが無い。
調子に乗ったせいか………慢心する敵って、
大体そこに付け込まれてやられるよな。
これからは気をつけよう。
これからがあるなら、だけど。
どうする!?
そう考えているうちにも、魔法使いたちが詠唱を始める。
もう時間がない!
周りを見る。
逃げれそうな場所は、自分が背を向けている壁の、上の方にある換気用の小窓しかない。
どうやってあそこに行く?
トカゲになって登る?
そんな事しても、狙い撃ちに会うだけだろう。
体の一部を投げる?
そうするなら、何に変身して投げる?
燃えるものは危険だ。
でも、やはり、宝石系は、拾い人にお持ち帰りされる可能性が、無きにしも非ずだし…よし。
自分の手の中に、『癒しの指輪』を出す。
こんな所で使えるとはな…。
この指輪にも、若干自分だっていう感覚もある。
あとはタイミングだけ、
投げる所を見られると、俺が逃げた事がバレてしまう。
今後の事を考えると、出来れば『ここで、合成魔は死んだ』と思わせておきたい。
タイミングを見計らう。
そして、チャンスが来た。
「放て!!」
その言葉と共に、一斉に火魔法が飛んでくる。
火は光を発する、それ故視界を塞ぐ。
そう、これを待っていた。
火が着弾する直前、
小窓目掛けて『癒しの指輪』(自分の一部)を投げた。
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「どうだ!?やったか?」
煙が消えるのを待つ。
そこには消し炭一つ残っていなかった。
「これで一安心ですね」
みんなが安堵の息を吐く、
伝説上の魔物。
どれだけ苦戦するのかと思ったが、
意外とあっさりとした終わりだった。
本当に、これで終わりだったのか?
リーダーの男は、あまり実感が持てないでいた。
そこでカミルが何てことない疑問を漏らした。
「倒したって事は、経験値が貰えたってことですよね?私は貰えませんでしたが……、
伝説の魔物となれば、どれだけ貰えるんですかね?」
そうだ、倒したなら経験値が入る。
パーティーを組んでいればみんなが貰えるが、
今回は特に組んでいる訳でもなかった。
つまり誰かが経験値を貰えているはず。
「おい!誰か経験値が入ったものは居ないか?」
魔法を放った人全員に聞こえるように、声を上げる
人々は『お前はどうだった?』などと声をかけ始める。
「隊長も気になるんですか?」
カミルが聞いてくる。
「いや、そういう訳じゃないんだが…」
嫌な予感がする。
1人の部下が報告に来る。
「自己申告ではありますが、誰も経験値が入った様子はありません」
その予感は的中した。
「な、どういう事ですか?」
「倒したら経験値が入る、どれだけ弱い魔物でもな。
それが入ってないって事は……」
「倒しきれてないって事ですか!?」
「ああ、そうなるな」
今回は、たまたま向こうから堂々と出てきてくれた。
そして、それを怪しんだギルドの職員が【鑑定】し、通報してくれたおかげで見つかった。
今回は、『偶然』や『たまたま』と言った部分が、
かなり大きかった。
つまり、次見つかる保障はない。
況してや、こっちが追っているのが露見した分、合成魔の方もより警戒するだろう。
「はぁ、どう報告したらいいものか…」
リーダーの男は、天井を見上げて、そう嘆いた。




