12話 無敵かと思ったら、そうでも無かった。
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名前: カミル・ラーリア
種族:人間
年齢:20
職業:魔法剣士
ステータス
Lv:42
HP:365
SP:781
ATK:240
MATK:406
DF:112
MDF:329
PS:鑑定Lv.6、魔力操作Lv.5、詠唱短縮Lv.2、
剣術Lv.3、身体強化Lv.2
火属性耐性Lv.6
AS:感知Lv.3、火魔法Lv.4、防御結界Lv.2、
身体強化魔法Lv.3
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あー、鑑定持ちか…厄介な。
「カミル、どうだ?」
「はい!間違いありません合成魔です!」
カミルと呼ばれた女性兵士は、力強く答えた。
その言葉を聞いた、【鑑定】を持つ冒険者達が、俺を【鑑定】し、その鑑定結果に驚きの声をあげていた。
あらら、
「ほ、本当なのか?」
オベスがこっちを向いて聞いてくる。
その顔には、疑いと少し恐怖の色が混じっていた。
これは、言い訳のしようがないな。
ゆっくり頷く
そして、
『ここに居ると危ない向こう行ってろ』
合成魔とバレてしまった以上、戦闘は避けられないだろう。
オベスが巻き込まれない様に、
俺から離れるように促した。
まぁ、ステータスを見た感じ、オベスが一番強いと思うけどな。
それを見るや否や、オベスは俺から全力で距離を取ってきた。
だが、逃げる事はせず一定の距離を開き、
こちらの様子を窺っている辺り、
流石、腕に自信のある元冒険者と言えるだろう。
それにしても、すごい変わり身の早さ。
まぁ、俺が同じ立場だったら、
全く同じことをする所か「ひぃい〜お助け〜」
とか言いながら、全力で背を向けて逃げる自信があるし、責めることはしない。
そんなことは置いといて、
どうやって逃げよう。
戦わないのかって?
兵士達は、ぱっと見、レベル40〜70くらいで編成されている。
ステータスも俺より遥かに高い。
それに、あのリーダー、オベスよりレベルが高い。
ははは、戦うわけないだろ。
勝ち目がなさすぎる。
どうする、トカゲになって逃げる?
いや、トカゲになれるってバレたら、トカゲを警戒される。
俺の【吸収】した物の中で、自由に移動できるのはトカゲだけなのだ。
それを目印にされては、厄介極まりない。
と言うか、何かに変身するにしても、
余り人目のつかない所でやりたい。
俺が『どうやって変身する』とか、『どんなものにも変身できる事』など、下手に情報を相手に渡したくないしな。
そう迷っている間にも、ジリジリと兵士達は寄ってくる。
うわ、寄ってくんな!
腕を前に突き出し、寄ってくる兵士達の足を止めようとするが、
「アレスト!」
突然動いた俺に驚いたのか、兵士の1人が、
とっさに魔法を使ってきた。
その兵士の持っていた縄が、餌に飛びかかる蛇のように飛んできた。
捕縛魔法か!?
ヤバい!
……と初めは思ったのだが、冷静に考えると、全然ヤバくないな。
なぜなら、俺はもともと実体が無い訳だし?
縄でぐるぐる巻きにされても、霧状になれば普通に逃げれるだろう。
案の定、俺が捕まる事はなかった。
だが、回避の方法が、俺の予想の斜め上を行った。
俺を目掛けて飛んできた縄は俺を捕まえなかった。
いや、捕まえる事が出来なかったというのが正しいだろう。
何が起こったかと言うと、縄はそのまま、俺の体を通り過ぎて行ったのだ。
通り過ぎる際、縄と身体の接地面は空間が歪んでいるように見えた。
こんな事になるスキルなんて、
一つしか思い浮かばない。
【物理攻撃無効】
つか、このスキル、霧状じゃなくても発動するのか、なかなかやるじゃないか合成魔。
と言うか捕縛魔法は物理攻撃に属するらしい。
「何で!?捕縛できない!?」
兵士達に騒めきが広がる。
「怯むな!皆で斬りつけろ!」
先頭に立つリーダー的な男は流石だった。
予想外の事態にも、咄嗟に反応し、指示を出す事が出来ていた。
でも、俺、斬撃も効かないよな?
物理の攻撃だろうし。
わざと当たって、一回試してみよう………、
と思ったが、いざ斬られそうになると、
やはり精神的に良くない。
普通に怖い。
全力で避けようとするが、
まぁ、動きの悪い今の身体で、
無数の剣撃など、避け切れるわけもなく、
袋叩きになった。
けど、やはりどの攻撃も、空間が歪んだようになり当たらなかった。
…………はは……ははははは!!!!
そんなもの効かぬわ!!
避けるのをやめ、堂々と仁王立ちで、絶え間なく続く攻撃を受け続ける。
「攻撃が当たらない!?」
兵士たちの顔が引きつる。
「【幻影魔法】か!?カミル!どうだ?」
リーダーが言う。
残念だったな、違うんだよ!
「【感知】では、あそこに反応があります。
それに【鑑定】も出来るので、幻影の類ではありません!」
カミルは【鑑定】のスキルを使って、幻の類かどうかを確認しているようだった。
確かに、【鑑定】は視界にあるものを調べることが出来るというスキルなので、幻影などと言った存在しないものは【鑑定】できないのだろう。
【鑑定】って、そういう使い方もあるのか。
「じゃあ、本当に避けられてるだけなのか…お前ら!一旦引け!」
その言葉に応じるように、兵士たちが俺から離れていく。
おうおう、やっと無駄な努力だと分かったか。
帰れ帰れ。
兵達は、そのまま退散してくれ…ることはなかった。
「くそっ、じゃあ、魔法はどうだ!?」
リーダーは別の種類の攻撃をするよう命令する。
「やってみます!」
カミルが手を前に出す。
無駄無駄無駄無駄無駄無駄!!
そんなの食らわない!
そこでふと思った。
…あれ?俺って【魔法攻撃無効】なんてスキル持ってたっけ?
「ファイアボール!」
その真相を確かめる前に、カミルの詠唱が終わり、魔法が発動する。
そして、バスケットボール大位の火の玉が飛んで来た。
ちょっ待って!
避けようとしたが間に合わず、頭から上半身左半分が消し飛んだ。