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-79- 暗転

 世の中の諸事は暗転しやすいから油断がならない。アア~やれやれ…などと喜んでいると、た、大変ですっ! などと連絡が入って、ガックリ! と肩を落とす事態に陥る訳です。

 とある戦国乱世の時代である。ようやく城の在番[城主のような地位]を仰せつかった山内一豊様は、ウキウキした気分で小躍りして屋敷へ帰参した。帰参すると、妻の千代様がいつものように笑顔で出迎えた。

「千代、喜べっ! 殿より城の在番を仰せつけられたぞっ! 在番と申しても、城持ちじゃ! ははは…」

「それは、ようございましたっ!!」

 千代様も大喜びをした。ところが、である。数日して、羽柴様が山内様の屋敷を訪れた。心なしかいつもと違い低姿勢で土下座をして、である。

「も、申し訳ない、一豊っ!! 城の在番じゃが、ダメになってしもうた。も、申し訳ないっ!!」

「…」「…」

 引っ越しの準備をバタバタとしていた面々は、茫然自失したように動きを止めた。

「柴田様がなっ! どうしても長浜をよこせと言うんじゃ! 清州のこともあり、これ以上、柴田様には逆らえんかった…。ゆ、許せっ、一豊っ!!」

 とまあ、このようなことで城番の話はなくなり、話は暗転した訳です。理想どおりとは参りませんねぇ~。^^


                   完

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