-50- 修理
最近は使い捨ての風潮が世に蔓延っている。理想は修理できることですが、部品の保管期間が過ぎたとかなんとかで、まだ十分、使用出来るものが買い替えねばならないのは残念至極です。^^
町尾は傷んだ掃除機をお隣の電気店で修理してもらおう…と、店へ持ち込んだ。
「こりゃ、買われて十年は経ってますよ…。最近は、修理するより買い替えた方が安くつく時代ですからな…」
店主の東風は、ジワァ~~っと修理を否定した。
「ですか…」
「それに、修理部品の保管期間が製造中止から、長くて十年です…」
「買い替えですか…」
「最近、安くてコンパクトなのが出てます。アレなんかどうです?」
東風は展示品を指さした。
「おいくらで?」
「いつも買ってもらってるお得意の町尾さんのことだ。コレ! でどうです?」
東風は指を数本立て、間を置いてまた数本立てた。
「あとの指は引いて下さい…」
「ははは…かないませんな、町尾さんにはっ! ではそれで…」
かくして、町尾は幾らかの金に流動性を持たせ、手放すことにした。経済でいうところの流動性選好の三動機の一つ、取引的動機である。^^
理想は修理できることですが、今の時代、まあ仕方ないですかねぇ~。^^
完




