4-2 中国国防部の依頼 その1
-------N.A.Y.562年 8月8日12時50分---------
オレの名前はワンシェンメイ。
まあ、チャイナガールズのメンツからは、銀龍なんて呼ばれていらぁ。
生まれたときからはよぉ、人の道ってーもんはよぉ、決められているんだぜ。
けどよぉ、オレはそういうのはなぁ、犬にでも食わせてやればいいだ。
人は人の道があるがぁ、んなもんいくらででも開けると思っている。
やれ政治がわりぃ、やれ所属しているコミュニティが悪いだのよぉ、んなのはぁ、単なる言い訳だ。
そしてな、今回は傭兵集団チャイナガールズの中でも、最も陰湿で、
ドス黒く、ゲロ以下の臭いがよぉプンプンするようなくらい、あれだ、最悪なじたいになっちまった。
きっかけはぁ、いつも通っている、劉龍飯店でチャーハン食っている時だった。
――オレのスマートコンタクトレンズに、一つの着信が入る。
目の前には赤いチャイナドレスを着ているな娘が客に右往左往しているなか、オレの視界の右上に窓枠が開く。
相棒の金龍だ。
オレは、チャーハン食うのをやめ、話しかける。
「んだよぉ、メシ食ってんだぜぇ」
「あらごめんなさい、でも至急の連絡よ、銀龍」
「ったくよぉ、なんだよぉ?」
「中国国防部が、お目見えなんだけど?」
「奴等に機嫌のお伺いたてるのは、ごめんだぜぇ」
「結構、深刻な問題。私だけでも判断できないわ」
「なんだよ、マジか?」
「ええ」
オレは急いでメシを食らい、九龍ドルという、金をおいていく。
目の前の赤いチャイナドレスを着た紫色の髪の女の子が、オレに挨拶する。
「アイヤ!! 銀龍、今日はお酒のまないアルか!!」
「わりぃ、仕事になっちまったぜぇ。劉さんにもよぉ、よろしく言っといてくれや」
「アイヤ!! 了解アル!」
ったくよぉ、毎日コイツは元気で羨ましいぜぇ。
そんな事を思いながら、オレは、劉龍飯店を出ていった。
外を出ると、目の前にはそびえ立つ超高層の、ビルみたいな城がある。
オレが住んでいる場所で、セントラルと呼ばれている。
中央省は、この国の中枢なので、非常に重要だ。
街並みは綺麗だし、住むには便利なんだけどよぉ、不思議とオレにはしっくりこねぇ。
傭兵稼業になれちまったていうのもあるんだけどよぉ、なぜだろうな。
とにかく、オレは「タクシーを呼んでくれ」と、一言告げる。
自動的にAIがオレの声を認識し、地図が開く。
耳の内側からAIの声が響く。
「タクシーを呼びました、どちらまででしょうか?」
「あそこだ、中央省へと向かってくれ」
タクシーもAIが組み込まれているので、3分後オレの目の前にすぐにやって来る。
ドアが開いたので、オレはそれに乗り込んだ。
音声だけの通信は主にパーティカルロイドを利用し、脳波で通信回線を開ける時代だ。
頭の中で金龍に繋いでくれと願う。
再び同じ位置に金龍のアップの顔が出てくる。
オレはすかさず口を開いた。
「金龍、やっこさんなんだってぇ? 」
「そうね、今回はパーティカルロイドがどうのこうのじゃなくてねぇ、テロリストが潜伏したわ」
「あん? マジかよ!! 相手は誰だ?」
「毒ガスコマンダー鷺沼よ」
「なんだ、そのふざけた名前はよぉ」
「彼は、世界をまたにかけるテロリストなんだけど、中国政府の秘密裏の牢獄から脱走したわ。しかも半年ぐらい前の事なの……」
「んなやつぁ、死刑にすればいいだろ?」
「名前、ふざけているけど、鷺沼は博士号を持っていて、中途半端に相手を再起不能にするような毒ガス技術を持っているの。
そして、どんな専門家に見てもらっても直すことができない。たぶん、直せる術は、彼自信がもっているからこそ、厄介なのよ」
「んだよ、世界が人質って訳かよ!! ったく、オレたち以上に大胆だな。あー、ぜってーメンドイ事になるわなぁ」
「そうね、間違いないわ」
30分ほどしてから、オレはタクシーから降りる。
中央省では、全員こぎれいな格好をしていて、服も色々な服をめかしているぜ。
やはり、他の省とも金の流れが違うのは間違いねぇぜ。
オレはタワー手前の入り口で指紋認証、コンタクトID、声紋認証、遺伝子認証をさせる。
非常に手の込んだセキュリティだ。
ここを通れるのは、傭兵関係者か、稼いでいるやつらか、政治家ぐらいなもんだ。
妙にキレイで、落ち着かねぇ。
良く知らねぇやつらも、オレを見るたびに敬礼もしてきやがる。
他の傭兵部隊の奴らだろぉなぁ。
しかも、こざっぱりしたやつらばっかりだ。
スーツはもちろん、オリーブドラブ色の軍服を着ているやつら、黒いレディーススーツをガッチリ決めているやつら。
オレは、銀色のチャイナドレスという、浮きに浮いている姿なんだが。
だが、このチャイナドレスはオレの命といっても過言じゃねぇ。
バトルドレスの中でも最も最強の防御と言っていいほど、硬いバリアだ。
母親から受け継いだものであり、不思議なことにサイズもほぼ一緒だ。
バトルドレスは基本的にはパーティカルロイドと言われている、粒子を使用しバリアを広げる。
バリアは非常に硬く、あらゆる弾丸、ミサイル、火炎などを防いでくれる。
六角形が集まっている構造をしていて、それをハニカム構造なんてぇ、言うらしい。
これは、非常に強く、強固な形らしく、それが無数に集まれば集まるほど、バリアは硬く厚く、壊れにくくなる。
ただし、弱点もあり、初速を超える速度以下の攻撃、近接戦闘によるナイフや、衣服にも組み込まれているパーティカルロイドシェルと言われる、バリアをはるための粒子を溜め込むバッテリーのようなものが故障、もしくは断絶してしまえば、あっという間に使用できない代物へと変化する。
まあ、そこまでに行くまでには時間がかかるんだがよぉ。
オレは、タワーの中段ぐらいにある、オフィスに入る。
オレ達「チャイナガールズ」メインの事務所だ。
大きな窓から金色のチャイナドレスを着た女がオレに振り向く。
「あら、ようやく来たわね」
相棒の金龍だ。
「んで、中国の高官のお客さんはどちらだい?」
待合室へとオレと金龍は足をはこんだ。
張 悠
年齢25才
男性
身長178センチ
髪は黒 七三分け メガネをかけている
肌の色 黄色
瞳 黒
出身 中国(香港)
利き腕 右手
一人称 私は……
誕生日 NAY532年3月8日
BWH 体重 92/69/96 75キログラム
国防部の男。メガネをかけていて、「ですます」口調。
そこら辺の幹部とは異なり、部下の面倒見がよくて、国防のためだったら身を犠牲にしても良いと思っている。
しかし、中国政府との軋轢もあり、そこの狭間で葛藤している。
何事も、フラットにならないと気が済まないくらい、几帳面な性格。
ヨウは、見た目通りの几帳面な性格だ。
そして、中国国防部も一枚岩でもないようだ。




