4-3 中国国防部の依頼 その2
男一人、女一人が椅子に座っていた。
オレは、椅子に座り、挨拶をした。
「傭兵集団チャイナガールズの銀龍だ」
「私は、中国軍国防省のヨウ大佐といいます」
もう一人の女も口を開きやがった。
髪はお上品にまとめられていて、いけすかねぇ。
いかにも、国の飼い犬の雰囲気がますますオレをイラつかせる。
「私の名前はイーといいます」
オレは扇子をポーチから取り出す。
「んでよぉ、とんでもねぇもんが来ちまったわけかい」
二人を目の前に、窓枠が開く。
「失礼します、銀龍さん。コンタクトさせていただきます」
女が一言そう話すと、オレの視界からウィンドウが開く。
ガスマスクを被った男だ。
「名前は、金龍さんから聞いていると思いますが、毒ガスコマンダー鷺沼です」
「妙な名前だぜぃ……」
「名前は妙なのですが、我々の手にも負えないくらいの相手です」
「ふーん、で?」
「一週間ほど前、超危険テロリストが逃亡しました」
「ほいで?」
「そして、逃亡の協力をさせたのは、ドラゴンマフィアです」
オレは頬杖をついて適当に返事をしていた。
「んで、どうすんのよ? うちらは軍でもねぇし、あくまで傭兵だ。それに、この国は残念ながら軍なんてもんはねぇ
つまりだ、己の身は己の拳で守れというルールだ。生易しくねぇぜぇ?」
男と女は互いに視線を合わせ、うなずきやがった。
「そこで、あなたには毒ガスコマンダー鷺沼を捉えてほしいのです!!」
「別にぃ、うちが迷惑被るんだったらよぉ、構わねぇけどよぉ。テメェらオレ達をゴミ扱いしてきた歴史は消えねーわけよぉ。あらゆる手を使って潰そうとしてきてよぉ、更には、テメェらが採取できねぇパーティカルロイドコアをどれだけ輸出してきてやったんだぁ?」
ふん、そんなこったろうと思ったぜぇ。
オレは、言葉を続けた。
「九龍城を幾度となく潰そうとしてきた輩が、うちらに責任を負わせて、なるべく安く済まそうなんざぁ、勝手がいいぜ。
口が汚ねぇのも承知だがよぉ、テメェらあれだろ? 生け捕りにして、かつやつに情報を吐かせて倒れている人たちから薬代ふんだくって、もっと金を儲けようっていう手口じゃねーのぉ?」
男と女二人は案の定黙りやがった。
間違えねぇ。図星だ。
オレは、思わずにやけちまったぜ。
「ヨウさんよぉ、いいか、言っておくぜぇ。これだけ情報開示を回避しているっつーことはよぉ、独占しようとしているわけだ。
別にいつでもやつがいるから情報下さいって、言えばいいじゃねぇかよ。
それができねぇっていう事は、誰かが独占したいっつーことよぉ。
テメェら、ちょいとオレ達舐めすぎなんじゃねぇの?
傭兵だから国との交渉なんて知らねぇとか言わねぇよな?
まあ、全部その行動が言っているようなもんだしなぁ。
悪りぃがうちの国は小っちゃい街から始まったが、国民のほぼ全員が健康的で非常に豊かな暮らしをしているわけでなんでさぁ。
あんたらみたいに、どっかの肥えた豚みたいになっちまった国じゃねぇのよぉ」
思わず、感情的になって挑発しちまった。
中国でも豚は最も最低の意味が含まれている。
ま、別にいつでも断ってやってもいいけどな。
男は、両手拳を握りながら、手を震わせている。
「わ、私は国のためだったら、命を懸けてやります!!」
オレは、依頼を受けるとき、一番受けようかどうか考えていることがある。
それは、割に合うかどうかももちろんのことだが、それよりも相手が本気を出すかどうかで全部決めている。
真っ向勝負のヤツか、どうかだ。
男はオレの前で立ち上がった。
見かけは分からなかったが、割と背が高くてガタイが良いぜぇ……。
「私は国のためだったら、命令次第では高官からの指令も断ります!! 部下もなるべく死なせたくはない!! だからこそ、あなた達に依頼した」
コ、コイツはぁ、何か他の奴らとは違う。
部下や国を、切り捨てるタイプじゃなかったか……。
「そうかい、わかった。テメェの本気伝わったぜぇ。
恐らくだが、その、毒ガスなんちゃらっていうやつはぁ、地下の裏九龍城に潜伏してるぜぇ?
もっとも目立たなく移動できるのは、裏九龍城国だ」
ヨウというやつは、なかなかの男だ。
オレはヤツを、ちょっとだけ認めた。
男は女と視線を再び合わせた。
「そこはどいうところなんだ?」
女は情報を伝える。
「ヨウ大佐。裏九龍城国とは、地下30メーター以上のスラム街となります。地下に行けば行くほど狭くなり、犯罪率も上がってくるそうです」
オレはキセルをくわえる。
「あらゆる九龍城国の闇が凝縮されて集まっている。地下の構造も正直あまり把握できてねぇ。
ドラゴンマフィアやドラゴンテロリストもいまだいるしよぉ、
一応法の整備はないらしいが、あるのは裏九龍城会という組織があることでさぁ」
ヨウはまったくもって、意味不明、ピンときてねぇという感じだった。
「裏九龍城会……」
「そうせぇ。オレ達以上に強いかもしれねぇなぁ。ま、闇に落ちたクンフー使いどもだ。
うちらみたいなバトルドレスを使用せず、全てガチの徒手空拳で、相手を叩きのめす技術。
うちらのバリアクンフーの元祖だ。だが、クンフー使いから見ると、オレは大っ嫌いでぇ。あまりやりあいたくはねぇけどな」
オレも立ち上がり、背の高いヨウの腰に手を回す。
何でぇ、思っている以上にコイツ鍛えていやがるな。
オレは相手を読み取るときは、相手と触れ合って実際にどのぐらいの実力なのか気で読んだりする。
経験が重なれば、それなりに一瞬で読み取ることも可能なんだぜぇ。
オレは5メータ辺りで突っ伏している、金龍に目を運んでみる。
金龍は、ただただ微笑んだまま、立ってみているだけだ。
「なあ、ヨウの旦那ぁ。本当に物事を解決したいときは、金もいるんだぜぇ?」
ヨウは、オレを見下ろしながらメガネの中央を静かに上げる。
「わ、わかっています。かなりの資金を用意しますよ。それと、うちでも人の手は貸しましょう」
「つまりだぁ、裏九龍城国はメチャメチャやばいっつーことよぉ」
「わかった、これで取引成立ですね」
「おう、人手をよこしてくれや、あそこでは一番重要だ。地図を作りながら、進まなくちゃいけねぇんだ」
金龍は、相変わらずオレをみつつ、ずっと微笑させたまま表情を変えねぇ。
ふん、相変わらずだぜぇ。
キャラクター紹介
王 神美(神美) (ワン シェンメイ)
年齢31才
女性
身長155センチ
髪は黒。 セミロングで、ヘアピンで前髪をまとめている。
肌の色 色白
瞳 黒
国籍 中国(九龍城国)
利き腕 右手
クンフースタイル 双辺太極拳(そうへん太極拳)形意拳と八卦掌のミックス+(鉄扇演舞とお香)
得意武器 鉄扇子
一人称 オレ
誕生日 2月1日
部隊 傭兵部隊参謀兼戦略家
BWH 体重 81/57/83 50キログラム
銀色のチャイナドレスを着ていて、膝上よりも長い丈になっている。
背中は、大きく開いていて、銀の龍の入れ墨が覗かせる。
銀色の龍は、上から下へと流れるようにタトゥーが入っている。(降龍)
両耳には扇の形をしたイヤリングをしている。
その姿から、通称「銀龍」とも呼ばれている。
背中のタトゥーは、チャイナガールズの中でも唯一無二の忠誠心のあらわれでもある。
部隊内でも、交渉力が武器となっている、指揮官の役目を担っているキャラクター。
ただし、少々感情的になりすぎて、金龍よりは交渉事が苦手な所もある。
チャイナガールズ発足時にもかかわっていた人間で、初期メンバーでもある。
伝説の傭兵とも知り合いで、バニーマムとも面識がある。
バニーマムとは、実は傭兵のオリンピックみたいなのがあり、それでお互いに優秀な成績をおさめている。
部隊内では結構大雑把な性格で、竹を割ったような感じだ。
大股広げて、公衆の面前でも恥ずかしげもなく下着を見せてしまったりすることもある。
言葉の扱いは荒く汚いが、根はすごく優しいところもあり、自分自身にあまり素直なところは見せない。
部隊内では、相手が何を考え求めていることに対して察知する能力が高くその人柄ゆえか、金龍の部下でも、相談役を担うところが多い。
頭の回転が尋常に早く、誰よりも戦略の変更、融通が利く。
キセルヘビースモーカーのため、中国キセル(銀色の龍の装飾が施されている)を右手、鉄扇子を左手に持っている。
彼女は幼いころから、九龍城国のお姫様みたいな立場だったので、この組織を運営しつつ、どこかで後ろめたさはずっと持っていた。
その為、自身の給料を全て九龍城国の各拠点(九つ)の孤児院にポケットマネーをつぎ込んでいる。
心の底では本当は優しいお姉さんであることが伺える。
九龍城国内に帰れば、各孤児院に顔を出しつつ、子供と遊んだりしているが、チャイナガールズ全員が揃っているときは表立ってそんなそぶりは一切見せない。




