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用意周到

10月のとある日。


会議室でスペースレンジャーは液晶画面と面と向かっていた。



「天性的な異常能力?」


『その通り』



スペースレンジャーの問いに液晶画面の赤いスーツの男は答える。


彼はCEOと呼ばれる男だった。



『超能力者と異常脳力者の違いは言えるか?』


「えーと確か……超能力者は自分の能力を隠して生活していて、異常脳力者ってのは能力の発生原因が不明で一般の人たちとは違う思考ロジックでしたっけ?」



スペースレンジャーは頭をかいて答える。


それにスーツの男は『ご名答』と言って液晶画面に人の脳の映像を出す。


『我々が超能力の発生要因を解読し、浮浪児を育成して量産している。今では世界中のテロ組織に重宝されている。だが、それは通常の能力者の生産であって異常脳力者の生産ではない。現状の技術では異常脳力者を作ることは出来ない、そのためわざわざスカウトしているわけだ』



映像の脳の一部が赤くなっているが、それを見てスペースレンジャーは尋ねる。



「でも、異常脳力者を確保するのは現状では危険で不可能と」



『その通り、彼らは生まれながらにサイコ気質だからな』



CEOは脳の映像をしまい、再び顔に手をつける。


画面の向こう側にいるであろう自分の上司に対してスペースレンジャーはいつも通りめんどくさい奴と思う。


だが顔には出さずに、いつも通りに振る舞う。


有能な部下として。


「っで、あの女が38人殺している実験を中止しろってのとなんか関係があるんですか?」


『君は愚鈍かね』


「………CEOは何かお気づきで?」



その言葉にスペースレンジャーはイラっとするが、冷静を保ったまま静かに尋ねる。



『彼女の両親は殺した…それは確かだ。しかし彼女の心は壊れるどころかより強くなっている。数値上でも精神は安定している。人を38人も殺しているのに全くと言っていいほど正常なのだよ』


「つまり、まだ心の拠り所ってもんがあるってことですか?」


『いかにも、人を殺して平静を保っているので異常脳力者なのは確実だろうが、彼女は人間性をまだ捨てていない。おそらく、200人殺して本当に帰る気だろう』


「……ウソでしょ、あの女マジ本気で200人殺せると思ってたのかよ」



その推察にはスペースレンジャーも薄々気づいてはいたが、その行動力には狂気を感じる。


あの女の心の拠り所とやらはどれだけの存在か。


200人殺すだけの価値があるのか。


スペースレンジャーは今も施設の小部屋に閉じ込めているはずの女の内側が恐ろしく思えた。





化物。





本来なら非道なことをするはずの自分たちに向けられる言葉が、まさか捕らえたはずの女に向けようとは思ってもみなかった。



『私からの方針であの女を一旦逃す。最初に逃げ込む場所にいる人物こそ彼女の人間性最期の人物だろう。その人物の始末を女の前で見せつけてからもう一度捕らえろ』



スペースレンジャーは画面に映った赤いスーツのCEOの命令に「はい」と答えると画面が消えて何も映らなくなる。


スペースレンジャーはめんどくさげになりながらも、どの時期に逃すか、どのタイミングで逃がしてやるかを考えながら部屋を出る。




もちろん、こちら側の死傷者も選びながら。




彼らは、そういった組織だ。


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