二話
2014/9/30 修正
無事この世界、ヴィヴィールスに転生して早17年。
私は気が付いたら九尾の狐の姿で転がっていた。私は耳を頼りに泉のある所に行き、姿を確認した。
なんかかなり大きそうな九尾の狐がそこに映っていた。
え?普通そこは可愛らしい子狐じゃないの?と思ったけれど、なんとか飲み込んだ。
もしやと思い、人間の姿に変化してみるとそこには私が手塩を掛けて設定した女性を更に何倍も美しく、そしてその何倍もエロくしたような容姿になっていた。
あまりのエロさに腰が抜けてしまうほどだった。容姿もかなりエロくなってしまっている。
いやむしろ面影すらないかもしれない。雰囲気は設定できなかったはずなのに雰囲気までかなりエロい。
たまに自分の顔を見るだけでもつい赤面してしまうほどエロい。
「さらにじゃ。それだけではのうて、口調もこのような感じになるとは妾も想像もつかんかったの。」
今は慣れたからいいけれど、初めてこんな口調になったと知った時は転げ回るほど恥ずかしかった。
その羞恥を何とか乗り越えて今の私がいる。
慣れるまでが大変だったけれど、その他にも慣れなければいけない事があって大変だった。それは戦闘だ。
初めて対峙したのは王道的なゴブリンだった。
初めて生き物を殺したときは怖くて怖くて、震えて吐いて、夜も寝れなかった。
けれど今は普通に生き物を殺してもなにも思わなくなってしまった。
何も思わなくなる事はいけない事だと思うから、せめて初めの頃は怖かったという事だけでも覚えていようと自分に誓った。
そして私はいつものように果物を食べていた時、近くで悲鳴が聞こえた。
どうするか悩んだ後、一応助けた方が良いかなと思って助けに行くことにした。
私はそうやって何度か人間を助けた時がある。…助けた所で、武器を向けられるけどね。
獣姿のまま風のように走り、目的地に到着する。
「ギギギッ!ギィィ!!」
「ギャギャッ!」
予想していたような感じで、ゴブリンに少女が襲われていた。
ゴブリンはこっちに気付かずにその錆びた武器で少女を殺そうと腕を振り上げた。
私はアイスウォールでゴブリンを氷に閉じ込め、一瞬にして絶命させる。
少女は顔を青褪めさせ、目尻には涙が溜まった顔のまま目を閉じて震えている。
しかし、いつまで経っても攻撃されない事を不思議に思ったのか恐る恐るといった感じで目をゆっくりと開けた。
「っ!」
私が僅か数センチまで顔を近づけていたからか怯えたように息をのんでまたぎゅっと目を閉じた。
このままでは埒が明かないと思った私は人間の姿になる事にした。
しかし目の前の少女は目を閉じたままで気が付かない。仕方なく声をかける事にした。
「女童よ、大事ないかの?」
「…え?っ!!」
いきなり人の声が聞こえたからか驚いたように目を勢い良く見開いて私を認識した瞬間に顔を真っ赤にさせていた。
不思議に思って首を傾げたが合点が行った。そりゃこの容姿だもんね。しかも服はこの巫女服擬きでもあるし…。
ついでにこの巫女服擬きは二の腕が半分は見えているような感じだ。勿論、紐のような物でXXXXと縫ってはある。
胸の谷間が強調されるように計算されているのか、前が大きくはだけている。
さらに過激な事に、袴の両腰部分にある脇あきが太ももの中間地点くらいまでガッと見えている。
さらにさらに、今世の私はかなりのエロ大魔神だ。そりゃ赤面もするか。
「…女童よ、大事ないか聞いておるのだが?」
「!あ、は、はい!」
大袈裟なほど肩を跳ねさせそう叫んだ少女。うん、今の私は耳が良いから少し痛い。
けれどここで顔を歪めると余計に怯えられるだろうから堪える。
それよりも、私は害のない事を教えなきゃ毎回のように武器を向けられてしまう。
「女童よ、誤解しておるのかも知れぬが妾は魔獣ではないぞ?」
「…え?で、でも…?」
やはりというかなんというか、私が魔獣だと思っていたらしい。
魔獣というのは、知性の低いモンスターの事を言う。つまり、ゴブリンでも魔獣と呼ばれている。
そして、知性のあるモンスターの事は魔族と呼ばれている。つまり、知性のある私は魔族となる。
ついでに、魔人と魔神の言葉で間違えてしまうかもしれないため、魔人という分類はない。
少女はどうやらその見た目から魔法学園の生徒だとは思うけれど、新入生らしい。
基本的に魔法学園でしかそういう事を教えない所為でこっちはいい迷惑を被っているのだけれどね…。
そう思いつつ、私は魔獣と魔族の区別の方法を大雑把に説明した。
「へえ、そうだったんだ。」
少女はうんうんと一人頷いていた。あまりの危機感の無さに呆れてしまうけれど仕方ないよね?
いつまでも此処にいるとゴブリンの血の臭いにつられて魔獣たちが近寄ってくるだろう。
「ところで女童よ、いつまでも此処におるとそやつらの血の臭いに引き寄せられた魔獣共が魍魎跋扈してくるぞよ?」
そう言うと慌てたように立とうとするが、腰が抜けたのか立ち上がる様子がない。
殺されかけたせいなのか、もしくは私を見たからなのか…。後者じゃない事を願う。
「きゃっ!?」
いつまで経っても立つ事が出来ないようなので仕方なくお姫様抱っこをして出口まで行く事にした。
私の行動に驚いたようにそう小さく叫ぶ少女に怖かっただろうから歩きながら頭を撫で続けた。
するといきなり少女の腕が私の首に回り、さらに密着したようになった。
そして顔が密着しているところから水が…。……これ完全に泣いてるじゃないの。
私は内心困惑しながら出口に着くまで頭を撫で続けた。