1章 ー03
私の住むヴァルトニヒは王都の隣に位置しているけど、国境である山々があり、自然豊かな場所である。
私はその自然に囲まれ、お父様と一緒になって麦の品種改良に勤しんだ。
今では父が改良した麦のお陰でお金にゆとりがあるけれど、私が進学する時にはそうではなく、私は国が運営する学園に在籍している。
乗り合いの馬車をいつものように待つ。
こうしていると昨日の話は嘘みたい。
実際そうかも?私が、勝手に作りあげた妄想かも知れないわよね…。
う~んと唸っていると「よう!」と、幼馴染みのガイヤに後ろから背中を叩かれた。
「いったいなぁ!そうやって挨拶するのは止めてって言ってるでしょ?」
背中がじんじんする~。
ガイヤはお父様のお友達のパン屋の息子。
重たい荷物を持ったりして、店の手伝いをするのは良い所だけど、馬鹿力なのを自覚してないのはどうかと思うわ。
「それよりさ、夕べの話本当か?」
それよりって何よ。
「何が?」
私が機嫌悪い顔をしてもガイヤはお構い無し。
「お前が第三王子と婚約したって」
「わー!」
「なに、ふんたよ」
ガイヤの口を両手で押さえる。
「あんた、夢でも見たんじゃない?」
「俺もそうかと思ったわ」
ガイヤは私の手をどかす。
「でもその反応みると本当みたいだな」
カツカツと、音を立てながら馬車が来たので、私達は黙って馬車に乗った。
夢でも妄想でもないみたいね。
「はぁ」
「荷重なんだろ」
ガイヤがニヤニヤ笑う。
「違うわよ。自分の時間が減るからですー」
プイとそっぽを向く。
実際それもある。私なんかが務まる訳ないじゃない。
「ああ、趣味の?」
「……」
「お貴族様達にお前の趣味って理解されんの?」
「私も一応、貴族ですけど」
学園は私のような貴族や、ガイヤのような市民も通っている。
「そうだったな。忘れてたわ」
だから、そのニヤニヤ笑い止めなさいよ。
「ってかさ、嫌なら言えば良いじゃん」
「何を?」




