1章 ー10
学園に着くと門の外から見て分かるほど、園内がざわざわしている。
何かあったのかしら…?
……まさか!
「うわ!何やってんだよ、お前」
私はガイヤを盾に進む。
「ちょっと服を掴むくらい良いじゃない」
騒ぎの大きい方から隠れるように、ガイヤの服を掴んで歩幅を合わしながら隠れる。
「おはよう。リリアは何してるの?」
「スズ!この騒ぎは何なのか知ってる?」
ガイヤに隠れながらスズに問いかけると、スズはガイヤに挨拶してから「知ってるわ」と答えてくれた。
「講師が挨拶に来てらっしゃるようよ」
やっぱり!
「誰が?」
昨日の話を知らないガイヤがスズに訊ねた。
「剣術の講師が捻挫したのを知ってる?その代わりにアルフレッド第三王子が講師をされるんですって」
「ほー」
なんで私を見るのよ。
「リリア!」
ガイヤが大声で私の名前を呼んだ。
「堂々としてろよ」
なんで名前を大声で言ったのよ。
鼓膜破れるじゃない。
私はガイヤを睨むけど、ガイヤはしたり顔だった。
「おはよございます。リリア嬢」
背後の声に背筋が凍りつく。
この為にガイヤは大声を出したのね。
無視できる筈もなくゆっくりと振り向く。
「お目にかかれて光栄ですわ。アルフレッド第三王子様」
私は制服の裾を持って挨拶する。
「顔を上げて、リリア嬢」
目の前には瞳より濃い青い服をきたアルフレッド王子が微笑みを浮かべながら立っていたのだった。
「私共はこれから授業があります故、これにて失礼させて頂きます」
面倒が起こる前に撤退しなきゃ。
「ちょっと、何、睨んでるのよ。あんたもさっさと行くわよ」
小声でガイヤを急かすが、動く気配がない。
仕方ないので、私はガイヤの服を引っ張る事にした。
とんでもない令嬢だと思われたりして…。
どうだって良いような、惨めなような、変な気持ちでさっさと校舎に入る。
どうせ挨拶しに来ただけだろうからすぐ帰るでしょ。
私は振り返る事なく、教室に向かうのだった。




