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169  作者: Nora_
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「ごうさんって自分勝手よね」

「な、なんでだよ、求めてくれていたんじゃないのか?」

「確かに求めていたけど、なにもあそこで言わなくてもいいじゃない」

「なぎさぐらいには知っておいてもらいたかったんだ」


 それだったら家族なんだから帰ってからゆっくり話をすればいい。

 昨日なぎさが来てくれたのがいいことなのかどうなのかが分からなくなってくる。

 いや、いまも言ったように求めていたことだけど……。


「適当じゃないことは分かってくれ」

「それは分かっているわ」

「じゃあいいだろ? 別にあそこで告白をしたとかそういうことじゃないんだから」


 まあいいか、いいことなんだからここら辺でやめておこう。

 なぎさは今日も先輩と出かけてしまっているからこの家にはふたりきりだ。

 最近はこういうことも多いから特になにかを感じたりはしないものの、外は暑いから移動したくなくなるのが微妙な点だった。

 ごうさんの部屋にもエアコンが設置されているとかそういうことでもないのに何故か快適な空間となっているんだ。


「ぐー……は!? そういえばごうさんは佐藤先輩と何回か話したことある?」

「いや、一回だけだな、なぎさのことは気に入っているようだけど俺のところには来ないから」

「そうなのね」


 興味がないことには近づかない人だとは分かっているから違和感というのはなかった、というか、そもそも私はあの人のことをほとんど知らないから合っていないか。


「世話になっているから今度礼を言わないといけないな」

「そのときは私も行くわ、あ、疑っているわけじゃないからね?」

「なんでそんなことを言うんだ? 一緒にいてくれるということならありがたい話だからいちいち気にしなくていい」

「……そうなのね」


 ずっとこんな感じだったからこそ好きになって片思いを続けていた。

 最近はともかく、昔はあのままの距離感でもいいと考えていたぐらいだった。

 だって好きな人を困らせてしまうのは違うから、しかも一日に一回だけでも話せれば内にあるそれが満たされていたから、というのもある。

 でも、なにもかもが変わってしまった、特になにかがあったわけでもないのに抑えられなくなってしまったんだ。


「好きよ、友達のままではいたくないわ」

「そうか、ゆみこは変わってしまうことを恐れないんだな」

「いや普通に怖いわよ、だけど自分の内側にあるそれからずっと目を逸らし続けるなんて不可能だから」


 なぎさが言っていたことは本当のことだ、あと、やっぱりあの子の方が強いというのが現実だった。


「よろしく」

「うん、よろしく」


 先輩と違ってまだ時間があるからありがたい話だと言える。

 だけどやらなければいけないことというのはいまのでなくなったので、これまで通り時間を重ねていこうと決めたのだった。

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