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魔法対戦

ある一室。

「どうかね。あの新入生達は」


大分頭が薄くなってきたじいさんが、大きな椅子に座り、目の前の男に話しかけていた。


「私たち教師はほとんど何もしていません。ですが、順調にこなしているようです。そういえば、シュンリンデンバーグさんが、ライナ・シュリフさんとレイアさんの訓練をしてるとの事で、、この前、彼らが、冒険者ギルドにワイルドドックの討伐部位を持って来たそうです」


その言葉を聞いて、苦笑いをかえす男性。

「はは。入学して半年経たずで、Eランク相当の魔物討伐達成とか。流石と言うべきか」

あっけらかんとして笑う男に、男性は目を見開いた。


「笑い事じゃあありませんよっ!校長っ!どうするのですかっ!ワイルドドックですよ!オオカミ種のっ!あれの討伐は、卒業試験になるくらいの奴ですよっ!」


唐突に、ハゲ親父に詰め寄る中年教師。


「シュンリンデンバーグくんと、ライナ・シュリフさん、レイアさんの3人には、一段上の魔物の討伐をもって卒業とするしかないでしょう。もしかしたら、ビックバイパー討伐とかありそうですがね」


大きなため息を吐く校長。


「あの大ヘビですか。獲物を横からかっさらっていく、厄介ものを倒してくれるなら、ギルドとしては、大歓迎でしょうが」


Dランク上位の敵を倒せるなら、もう、新人冒険者。初心者冒険者として保護や監視がいらないレベルである。


「本当に頭が痛いですよ。ああ、後、彼の魔法対戦への参加、決定しました」

頭を押さえながら、男性は悲痛な顔で続ける。


「今回はロアくん、シュンリンデンバーグくん、ヒウマくんと3人も気になる学生が出場になりますね。私も楽しみですよ」

にこにこ顔の校長は笑っていた。

「校長、生徒同士の戦いで、賭けなんかしないで下さいよ」

「はっ。はっ。はっ。そんな事をする分けたないではないか」


「校長、口調がおかしくなってます」


呼び出しを受けた教師は校長のそんな姿に大きなため息をつくのだった。


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


「シュン君!魔法対戦の参加が決まりました!」


いきなり、食堂に突撃してきたのはライナだった。


「あ―!ライナっ!自分が言おうとしてたのにっ!」


遅れて、レイアも入って来る。


「ん?二人が参加するのは、聞いた気がするけど」


食堂で、俺はいつもの肉サンドを食べていた。


これがおいしくて、やめられないんだよな。


溢れる肉をパンに詰め込み、かぶりつく。


「違いますっ!シュン君の参加が決まったんですっ!」


「ぐむっ!」


その一言で俺はむせた。


水、水。


あわてて水を探すと、ライナが水を持たしてくれる。


一気に水を喉に流し込み、一息つく。


その様子を二人が笑顔で見ていた。


「ありがと。ライナ。けど、対戦参加の話しなんて全く聞いてないよ?」


コップを置きながら、ライナの方を見ると、ライナはぐっと自分に近づいて来る。


「さっき、トーナメント表が、貼り出されたんです。

そしたら、シュン君の名前が特殊トーナメントの方にあったのっ」


えらく興奮しているライナについていけず、レイアに目配せで助けを求める。


「特殊トーナメントは、各クラス、各学年の規格外、天才中の天才が集まってるみたい。去年は、魔法球のロア先輩と、針打ちのヒウマ先輩が決勝に行って、ロア先輩が勝ったみたいよ」


「そう!その特殊トーナメントに一年で出るのは、シュン君が初めてだって!すごいうわさになってますっ!」


「分かった。分かったから、落ち着いてね。ライナ。喜んでくれるのは、嬉しいけどさ」


必死にライナをなだめる俺。そして、その間に、二つ名てあるんだ。自分につけられたらヤダなぁとか考えていた。


「と、いうワケで。シュンも出るんだから、私たちの練習付き合ってよ」


目をキラキラさせたままのライナを半分無視して、レイアが笑いかけて来る。


俺は、ため息をつきながら、二個目のパンの処理に取りかかるのだった。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「さあ、皆さんお待ちかねっ!魔法対戦の始まりだっ!

今年は新入生が3人も参加という異常なぁ 年だっ!先輩方は新入生に是非とも、世の中が甘くない事を教えて欲しいところっ!

しかし、今回参加する新入生は卒業試験の魔物を倒してしまったといううわさだっ! もしかしたら先輩よりも圧倒的な強さかもしれないっ! 色々と目が離せない対戦が続くのは確定だっ!」


 学校は対戦のお祭り騒ぎ一色に染まっていた。


対戦は、魔法対戦、格闘対戦、剣技対戦に分かれ、それぞれトーナメント制で行われるらしい。


そして、3つのトーナメントが終わった後、特殊トーナメントが始まる。


特殊トーナメントは、武器、格闘、魔法全て使用可能。

戦う闘技場も、軍が練習に使う装置を持ち込んで準備をするらしい。


特殊トーナメントでは、相手を殺さないように。というルールしか教えてくれなかった。 

 つまり、何でもあり。



ちなみに、皆が興奮するのは、校長黙認の賭けがあるからだ。

 商人というか、昔のRPGでいうところの生産職希望の人達が集まって、賭けの元締めを行っている。


ここでお金を使い果たす人は多いらしい。


と言いながら、俺もライナとレイアの勝ちに賭けてるけど。


「ではっ!一回戦開始っ!各選手の検討を祈るっ!」


それはそうとして。 司会はどうみても学生だけど、誰が決めたんだろう。あのテンションの高い話し方の生徒なんていなかったはずだけど。ちょっと気になった。






2021 12 少しだけ訂正、追加しました。

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