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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
18/79

拾捌

「命に"ごとき"何てありません!それより早くこの子の手当を」

人間とて動物とて命の重みはかわらない。


澪菜の反論に男性はムッとしていた。女の癖にと言わんばかりの形相で捲し立てた。

「余を誰だと思っておる!貴族だぞ。小娘の癖に生意気な!!」

 

澪菜の服に掴みかかってきた。

 

「きゃッッッ」

その拍子に髪からかけていた、布がずれ落ちてしまった。布の内側に綺麗にかくしていた髪が大勢の市民がいる中であらわになり、輝くような金髪に皆の視線は集中した。 

 

「ヒィッ」

周りは事故が起きた時より、ざわめき始めた。

 

──金色の髪─────鬼───

 

 

「鬼の小娘だったか!けがわらしい。」


男性だけでない。見物客達も口々に鬼だと騒ぎ立てる。

恐ろしさの余り、逃げ出す者。腰を抜かす者。反対に一目みたさに現れる者もいる。


「鬼め、成敗してくれる!」 

男性は腰に手を伸ばし、刀を引き抜く。

周りにいる者達も殺せ!殺せ!と男に同調していった。



真正面から向けられた大勢の敵意に怯え、澪菜は猫を庇うように一歩さがった。

澪菜はとんっと誰かにぶつかり振り向くと朧が澪菜のすぐ後ろにやってきてた。 

「いい加減に、私の姫君を返してくれないかな?」



澪菜をふわっと抱き上げた。怯える澪菜ををおちつかるように髪を撫で、男から澪菜を隠すように位置を替えた。

「姫を傷付けるなら、例え貴方でも許しませんよ?一条殿?」

いつも穏やかな瞳が、突き刺す様な鋭い目付きに変わた。

 

 

「お前何故名前を―――――!!!!!!」

一条と呼ばれた男性は朧の顔を見ると、みるみるうちに顔色が青ざめ始めた。

 

 

「ああああ……貴方様は………と…何故……こんこんこんな所に」

驚きが隠せず、しどろもどろになる。

 

 

「姫、怪我はないか?」

「はい。私は大丈夫。それより早くしないと猫さんが」

澪菜が涙目になりながら、猫の容態を心配している。

まだ息はあるが出血がひどく、急がないと助からないだろう。


「泣かないで姫、猫は助けるよ。死なせたりしない!」

朧は澪菜の涙を拭うと従者を呼び、澪菜と子猫を牛車に乗せた。

 

「一刻を争う。東宮御所まで早くしてくれ」

 

「はっ!!」

従者はそれを聞くと颯爽と御所の方に向かい、牛車を準備。御所につく頃には薬師や祈祷師が集まっていられるよう早馬の指示もだしていた。

 

「千鶴、ねこの止血処置など出来るか?御所につくまでの処置はまかせる。」

 

「はい。かしこまりました」

千鶴も言われる間々にそく行動に移した。

 

 

「東宮様……わたくしめは……何をいたしまするか!私に出来る事でしたら何なりと!!」

一条の態度はコロッと変わってた。

それもそうだ。ここで東宮の機嫌を損ねたら、男として出世は見込めなくなってしまう。一条としては、ここは何としてでも取り付くわなければならなかった。

朧はまだいたのかと言わんばかりな冷ややかな目。しかしこの男にかまっている時間が例え1秒足りとも惜しい。


「邪魔立てするならゆるさない。私もお忍び中だから忘れてやる。早く散れ」

 

 

「はっはいっ!」

一条は慌てて去って行った。

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