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金色の月姫  作者: 藤の花
月より舞降りた鬼の姫
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拾漆

市は近寄ってみると、すっごく賑やかにで、降りてみてよかった。野菜に果物にお魚。色とりどりな反物や飾り。

見た事もない物と様々に店が並んでいた。

 

「うわー!すごーい。」

澪菜は興奮気味にキョロキョロしていた。

 

「今の時期は、あちこちから商人が集まっているからね。珍しい物が色々揃っているよ」

 

 

「そうなんだ!……ん!!?あれなんだろぅ。」

 

パタパタ走り出す。澪菜が転ばないかと不安になりながら千鶴があわてて追い掛けた。


「千鶴ちゃん!みて!みて!」

ハァハァ息切れして、早すぎですといいながら千鶴がやっと追い付いた。澪菜は物珍しい品物が並ぶ店の前でじっと眺めながら止まっていた。 


「お嬢さん方一ついかがかね!」

商人が手にしてたのは、この辺りでは珍しい菓子。キラキラした不思議な形の菓子。

 

「珍しい菓子ですね。金平糖ですか?」

商人も千鶴も金平糖って言葉には馴染みがないのか伝わらず砂糖菓子?と言い直してみたら通じたみたいで商人は上機嫌になった。

 

「お嬢ちゃん詳しいねぇ!珍しい菓子だろ!南の国から仕入れたと言われる砂糖菓子だよ。」

聞けば聞くほど気にはなる。隠そうとしているが千鶴も珍しい菓子に釘付けなのがわかる。

 

「どうだい?お嬢ちゃん達かわいいからまけちゃうよ!」

商人の口上が上手かったから、いつもだったら乗せられて買っちゃってたとこだが、澪菜はこの国のお金を持っていなかったから断念した。

 

「姫、何かお気に召す物があったのかな?」

 

「ひゃあ!」

朧がいつの間にか追い付いていた。澪菜の肩越しに店を覗くと、朧の目にも金平糖は目についたようだ。

「ほぅ。砂糖菓子とは珍しい。」

 

「朧もそう思うんだ!じゃあやっぱり珍しい菓子なんだね。」

 

「南の国からの物は中々入ってこないからね」

 

「おっ!旦那もわかってますな!!」

 

食べるかい?と朧は澪菜の顔を覗き込んだ。

気になるけど、買って貰う訳にはいかないし。まけてくれるといえどきっと高いのだろう。

「大丈夫!いらないです。」

 

 

その時、後ろからもの凄い衝撃音が鳴り響いた。

キキーッッッ

  ドンッ


え!!?近くにいる者皆々が振り返った。

振り返った人込みが出来ていた。

 

「事故……!!?」

澪菜は人込みに向かって駆け出した。朧が制止するのも聞かずに。

 

人込みの中心に出ると、そこは、悲惨な状況になっていた。牛車に猫が引かれていたのだ。

 

真っ黒な毛色のまだ幼い猫。

「猫がひかれてるよ」「かわいそう」騒ぎ返る。

しかし、足を止めて見るものはいたけれど、誰一人猫を助ける者はいなかった。澪菜は横たわる猫に近寄ると、まだ息があった。


―――生きてる――――まだ助かるかも!

 

 

澪菜が猫を抱き上げると、牛車から男の人が降りてきた。

「そなたの猫か?」

男性は訝しげな顔をして話しかけて来た。

 

「私の車の前に飛び出してくるとは、不届き者め。最悪じゃ!しかも黒猫とは縁起が悪い。もう今日は出掛けられん!!物忌みぢゃ」

 

───何言ってるの!この人

「大切な命がかかってるのに!!何言ってるんですか」

 

「猫ごときで!人をひいた訳じゃないのに、うるさい。無礼な女だ!!」

そんな言葉を浴びせれ、澪菜は黙ってられなかった。

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