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20話 キッチンはとても綺麗で異世界でした

クロの後ろを追って、城の1階奥にあるキッチンへ向かった。

扉を開けると、そこはキッチンというより厨房という言葉の方がしっくりくる広さだった。

真新しい棚がずらりと並び、その中にはたくさんの食器が整然と収められていた。

そして、ガスコンロのようなものまで勢揃いしている。

聞けば、魔法で火をつけて調理するらしい。

ライターで火をつけるような感覚に近いのかもしれない。


「クロ、冷蔵庫はどこだ?」


「冷蔵庫ってなんだ?」


「あー、食べ物や飲み物を冷たいままにしておいたり、凍らせたりできる箱みたいなやつだよ。」


「ああ、それならコレだよ!前の主がよくこの箱に飲み物入れてたぞ。」


「へぇ。この黒い箱がねぇ。なんかオシャレ家電っぽいな。

電源コードないけど、どうやって冷やしてるんだ?」


「この箱には魔石が入ってるんだ!ほら、コレ!

こっちが冷たくするやつで、こっちが凍らせるやつ!

魔石には氷魔法と冷気が付与されてるから、ずっと冷えたり凍ったりできるんだ。」


「なるほど、さすが異世界だな。」


コンロの使い方は何となく分かった。

冷蔵庫は?と聞くと、壁と一体化した黒い箱をクロが指さした。

その箱に触れると、小さな魔法陣が現れて扉が開き、

中身は空だったが、しっかり冷えているのが分かった。


電源なんてないこの世界で、どうやって冷やしているのかと思っていたら、

クロが箱の奥にある“魔石”を見せてくれた。

白っぽい魔石が冷蔵庫の役割、水色の魔石が冷凍庫の役割を果たしているらしく、

異世界らしい仕組みにちょっとワクワクした。


「食材が揃えば、何とか料理はできそうだな!」


「そうだな!食材はどこにあるんだ?!」


「ううっ…」


この状況なら、食材さえあれば料理下手な俺でも何か作れるはず。

そう思って気合を入れた瞬間、クロから「食材はどこ?」と聞かれてガクッと肩を落とした。


そうだよ…食材がないから悩んでたんだった。


「はぁ…俺が食材だけでも魔法で出せたらなぁ。」


「え?出せるんじゃないか?前の主は出してたぞ。果実とか。」


「え?!そうなの?!あ、でもクロの前の主は偉大な魔法使いって聞いてるから。

それで何でもできたんじゃないの?」


「いや、なんかこう…アイテムボックス?ってやつから出してた。」


「ああ…あの噂のアイテムボックスかぁ。

それって異世界じゃ、けっこうレアなアイテムじゃないのー?」


「確かに、皆がみんな持ってるわけじゃないなぁ!」


「ちぇっ…」


楽しくなってきたのも束の間、結局食材がない。

「出せたらいいのに」と言うと、クロは「出せるんじゃない?」と希望をくれたけど、

詳しく聞けば、それはアイテムボックスから出していたらしい。

そんなレアアイテム、俺は持っていないし、仮にあったとしても中身は空っぽだ。


これは本当に困ったぞ…。

そう思って腕を組んで悩んでいると、クロが突然「アッ!」と声を上げた。

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