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次の日、ほとんど眠れないまま朝がやってきました。
黒はいつもどおり白より早く起きていて、
「おはよう、今日は早いね」
と笑いました。
白もえへへ、と笑い、挨拶を返します。
そして、朝ご飯を終えると、ふたりは教会へと向かいました。
教会までの道のりでは白は、何も喋れませんでした。
口を開くと、隣を歩く黒にすべてを吐き出してしまいそうで。
だから、ずっと黙ったまま、外のことを薄く考えていました。
無言のまま歩き、
高く繁った草の下をくぐったところでそこに着きました。
ツルをまとい壁も汚れていますが、
ふたりの思い出がたくさん詰まった教会です。
俯いた白が入り口をくぐり、
黒もそれに続きます。
「ねぇ」
白が黒に背を向けたまま、言います
「私ね―…」
言いかけた言葉が途切れ、それと同時に白の体の力が抜けて崩れ落ちます。
黒の手には白の細い首がありました。




