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あの目の奥には。  作者: 夢狐 ねこ
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交わる視線と、小さなノイズ 〜【莉子】余り者〜

中学一年生になる変化の過程の中で、小学

生の気持ちを表現したい。

構成、内容などを私自身が思考し、文面の作

成には AI をサポート役としていれました。

二時間目の国語で、先生が「二人組になってください」と言った。


その瞬間、教室がざわっと動く。みんなが目で友達を探して、椅子を引く音があちこちから聞こえて、あっという間に組が決まっていく。その中で私だけが動けなかった。


 隣の席の田中さんはもう前の子と向き合っている。私はどこに行けばいいのかわからなくて、立つでも座るでもなく、中途半端な姿勢のまま固まっていた。


余った私を見た先生が「空いてるグループどこかありますか?」と言った。


「ここ空いてまーす」


「八神さんは、あっちの三人組のところに入って」


 先生の声で我に返る。「はい」と言って立ち上がった。向かった先は廊下側の班で、移動するなか皆んなの注目が集まっているのがわかった。その班は三人ともクラスでも仲のいいグループだった。私が近づくと、一人が「いいよいいよ、こっちおいで」と笑顔で言ってくれた。


 嬉しかった。でも、ずっとどこか申し訳なかった。


 グループ読みの課題で、私の番がきた。教科書を持つ手が少しだけ震えていた。声が小さいと言われるのが嫌で、いつもより大きく読もうとしたら、今度は声がうわずった。読み終わると「上手だったよ」と班の子が言ってくれたけど、私は曖昧に笑うことしかできなかった。


 笑顔というのは難しい。作ると嘘になって、遅れると変になる。六年生になっても、私はまだそれがうまくできない。


 窓際の一番後ろの席が私の場所だ。六年生になって最初の席替えのとき、くじを引いた紙を見て、正直ほっとした。ここからだと教室全体が見える。


 私は人と話すのが得意じゃない。何を話せばいいのかわからなくなるし、気の利いたことが思い浮かんでも、口に出すころには話題が変わっている。だから基本的に黙っている。黙っていると、周りからは「暗い子」とか「とっつきにくい」と思われてることは知っている。べつに気にしていないわけじゃないけど、どうしたらいいかもわからないから、そのまま黙っている。


 でも、見ることは好きだ。


 人の顔を見ること。仕草を見ること。ちょっとした変化を見つけること。授業中に先生の話を聞きながら、窓の外を流れる雲を目で追いながら、私はたいてい誰かのことを見ている。


 たとえば林くんは、給食のとき嫌いなものが出ると左手の小指だけ立てる癖がある。吉田さんは、誰かに話しかけるとき必ず一回うつむいてから顔を上げる。本人たちは全然気づいていないだろうと思う。私も、気づいていることを誰かに言ったりしない。ただ見て、頭の中にしまっておく。


こういうことを話せる友達がいれば、もう少し学校が楽しくなるのかもしれない。でも「ねえ、林くんって小指立てるよね」と言えるような相手が思い浮かばなくて、結局いつも一人でいる。


 二時間目が終わって、中休みになった。私は席で本を開いたけど、文字はあまり頭に入っていない。


 五十嵐怜が笑っている。


 黒板の近く、教室のちょうど真ん中あたりで、三人に囲まれて何か話している。怜が話すたびに周りの子が笑う。今度は私も一緒に笑えた気がして、でも声には出さなかった。


五十嵐怜のことは、四年生のときから知っている。同じクラスになったことはないけど、廊下ですれ違ったり、体育の授業で一緒になったりした。いつも誰かと一緒にいて、いつも笑っていた。


 あの笑顔は本物だ、と私は思う。目が細くなって、頬が上がって、体ごと少し前に傾く。怜が笑うとき、周りの空気がふわっと明るくなる。


 私にはできないやつだ。


 五十嵐さんの隣にいるのは中村さんと佐々木さんと、もう一人名前を知らない子だ。三人とも、五十嵐さんの話を聞きながら口々に何かしゃべっている。楽しそうで、あったかそうで、私にはよくわからない場所だ。


 私はまた本に目を落とす。今度は少し、ちゃんと文字を読もうとする。


 五十嵐さんの笑い声が、また聞こえた。

いかがだったでしょうか?!

ぜひコメントや感想をくれると嬉しいです( *´﹀`* )

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