空気読めないというより何考えてるかわからん!
ここにいる五人はまだパートナー申請をしてないから独り身なのだけど、危機感があまりない。つかさちゃんに至っては、僕がパートナーになってくれると信じきってるような感じさえする。
如月さんは誠一筋みたいだけど、当の誠が良い返事を出さない。かと言って誠は他に誰かいい人が居るということでもないみたいだ。もうランダムで良いとさえ思っているんじゃないだろうか。
一番読めないのは神埼さんだ。一体何を考えているんだろうか。パートナー探しをしている様子もないし、いざとなったら前告白してきた人たちの中から選ぶとかそんなのなのか、もしくは誠と同じくランダムでいいと思っているか、どちらかかもしれない。
「っと、そろそろ昼休み終わりだな。戦場に戻るとするか。授業中は変な空気も薄れることがせめてもの救いだな」
「もうそんな時間ですか、早いですね」
「一時のオアシスだからね、ここは」
弁当を片付けて、僕らは屋上をあとにした。
こそっと、放課後に神埼さんを呼びだそうと考えたけれど、つかさちゃんが僕の横にぴったりとくっついているせいで、神埼さんに声をかけることができなかった。
こうなったら仕方がない。僕はあることを決心した。
昼休みが終わって、午後の授業が開始される。
そう、この時を待っていた。
連絡先を交換して、初めての授業。僕は授業中に神埼さんにメールすることを決心したのだ。要件だけを簡潔にまとめて、メールを送れば、神埼さんだけに話をすることが可能なんだ。
マリッジパートナーシップの締め切りまで残り僅か、だとしたらどうしても行動に移すしかない。
幸い僕の席は廊下際でさらに無駄にでかい誠の後ろだ。こっそりメールを送るぐらいはできる。
メールの内容はこうだ。
『件名:神埼さんへ
今日の放課後ちょっと時間あるかな。二人で話したいことがあるんだ。
肛門で待ってます。
PS他の人には内緒でお願い』
僕は先生にばれないように急いで文字をうち、そしてメールを送った。
そして、神埼さんの様子を伺う。
真面目に、前を向いて、先生の板書をノートに写している。
その後も、先生の方をじっと見つめて話を聞いたり、教科書を見たりして本当に優等生ぶりを見せつけてくれる、
あれだけ授業に集中してたら、確かに成績はいいはずだ。
いやいや、そんなことは今はどうでもいい。
問題は、神埼さんがメールに気がついていないということだ。
もしかしたら、授業中だから電源を切っているか、サイレントモードにしているのかもしれない。
しまった。それを考えていなかった。よく考えたらそうだ。授業中は携帯の電源を切る。というのが一応校則にある。
僕は一応マナーモードにはしているけど、律儀に携帯の電源を落とすなんてことをしているだなんて思わなかった。
神埼さんらしいといえばらしいけど。
だが、これはまずい。ヘタしたら家に帰るまで気が付かない、なんてこともあり得る。
そしたら、放課後僕は一人でポツーンと校門に立っておかないといけないじゃないか。
それはそれできついものがある。
結局、それからも神埼さんを観察していたけれど、携帯を手にすることはなかった。
そう、授業の合間の休み時間も含めて…………。
神埼さんを観察しているだけで、午後の授業も終わってしまった。
「お兄ちゃんまた明日ですー」
帰り支度を済ませたつかさちゃんが僕に歩み寄って来た。
「今日はまた、早い帰り支度だね。何かあるの?」
「今日はちょっと用事があるですー。ママもお迎えに来てるですが、用事を済ませてからじゃないとダメなのです」
つかさちゃんは毎日お母さんに車で送ってもらっている。
今日も迎えが着てるらしいが、用事。なにか先生と話でもあるのだろうか。
「そっか、気をつけてね。また明日」
「バイバイーですー」
「バイバイ」




