第6話 らびっと100のリスナーによる大喜利大会
「じゃあ、応募してくれた順に行くよー。最初はみっか★さん!」
ちょっと悩んだけど、応募してくれた絵はまだ見てない。
その場で初めて見たほうが楽しめるかなーって思って。
《みっか★:一番手イエーイ!》
「イエーイじゃなくない? ねえ、これ、ひどくない?」
言いながら画面に表示する。これはひどい。どう見ても女の子ではない。
《刀狩り見習い:うさぎじゃねーかw》
《とんかつ食べたい:カワイイウサギデスネ》
《狸山:うさぎとしては普通に上手》
《みっか★:うちのうさぎを描いた!》
「うさぎじゃなくて! 私の似顔絵! 可愛いけど、似顔絵コンテストだから予選敗退!」
《みっか★:ひどい!理不尽!》
《苔コッコー:え?優勝とかあるの?》
《カレー名人:景品なになに?》
え、景品? やべ、そんなの考えてなかったなあ。
「り、リクエスト権とか?」
《刀狩り見習い:しょぼいw》
《狸山:雑談に何をリクエストすんの?》
「ちょっと後で考えるから! とりあえず先に進むよ! 次、狸山さん!」
いきなり言われても景品なんて思いつかないよー。
どうしようかなーと悩みながら次のイラストを表示する。
「なにこれー!」
《狸山:だって資料ないから》
《苔コッコー:かwらwだw》
《とんかつ食べたい:棒人間久しぶりに見たw》
《みっか★:私のほうが上じゃない?》
身体が『大』っていう漢字だけ。顔に対するバランスがひどい。顔も、まあ、ひどいんだけど、身体のひどさがヤバくて顔とかどうでもいい。
「みっか★さんのほうが上手だけど、でも、狸山さんのほうが似顔絵ではあるし……不本意ながら暫定一位かな」
《狸山:暫定一位やったーw》
《カレー名人:狸さんおめー》
《みっか★:納得できぬ》
「さくさくいくよー次はカレー名人さん! これもひどいな?」
《カレー名人:俺の想像上のらびこだよ》
《とんかつ食べたい:ピカソw》
《苔コッコー:芸術的すぎw》
《狸山:これが一位では》
《刀狩り見習い:【悲報】狸山さん一位から転落》
いや、たぶん、ほんとはうまいんだと思うけど、ネタに振り切ったな。
やっぱりみんな真面目に似顔絵描く気ないな?
「うーん、まあ、カレー名人さんが暫定一位かなあ。んで、次は刀狩り見習いさんね!」
《刀狩り見習い:稚拙な絵でお恥ずかしい》
《狸山:やべえ》
《みっか★:葛飾北斎っぽい》
《苔コッコー:でも、らびこどこにいるの?》
名前忘れたけど、あの波の向こうに富士山が見える葛飾北斎の絵。あれに似てる。うまいんだけど、たしかに似顔絵ではないな?
《刀狩り見習い:船に乗ってる》
「見えるかーーーー! 予選敗退!」
なんか豆粒みたいな人が確かに船に乗ってるけど、これ、点じゃね?
コンテストと言う名の大喜利大会になってるじゃん、これ。
「次は苔コッコーさん! どうせまたひどいんだろうなー」
《苔コッコー:ひどくないよ!がんばった!》
《とんかつ食べたい:確かにがんばってる》
《狸山:これは色指定がないのが悪い》
「いや、すごいけど、なんで虹色の目『だけ』なの?」
すっごい色使い綺麗だけど、片目のアップだけ。似顔絵なのか?
《苔コッコー:目が好きだから。自分の癖に従った》
《みっか★:自分に正直でよろしい》
《カレー名人:癖は大事》
「いや……うーん、悩むけど似顔絵ではないんだよなあ……カレー名人さん一位のままかなあ」
《カレー名人:俺、優勝いけちゃう?》
《苔コッコー:癖はダメなのか……》
《とんかつ食べたい:あと残ってるのって自分とイカ焼き屋さん?》
《コリス:私は描いてないので、たぶんそうだと思います》
《イカ焼き屋:はい、自分残ってますね》
そう、そうなんだよ……イカ焼き屋さんがぎりぎりに応募してきたんだよ。見るのがこわい。
これで、イカ焼き屋さんが推しかそうじゃないのか確定してしまう……見なければ謎のまま……シュレディンガーかな?
「じゃー次はとんかつ食べたいさんなんだけど……これも予選敗退じゃない?」
《とんかつ食べたい:頑張ったのに?!》
《みっか★:とっても美味しそうなとんかつですね》
《狸山:うまそう》
《カレー名人:食べたい》
お皿の上に乗ったとんかつのイラスト。これをどうして似顔絵と呼ぶことが出来るのか。
《とんかつ食べたい:手はらびこの手だよ!》
《苔コッコー:なるほど、とんかつさんの癖は手》
《刀狩り見習い:同志見つけたみたいな反応だけど、とんかつさんの癖はとんかつのほうだと思う》
《コリス:とんかつが癖とは》
「手は似顔絵じゃありません! 次! イカ焼き屋さん!」
そっと深呼吸してから一枚のイラストを画面に表示する。
《みっか★:プロですか?》
《刀狩り見習い:美化しすぎてない?》
《カレー名人:かわいすぎない?》
《狸山:そうか、身体ってそうやって書くんだ》
《苔コッコー:とてもよい目ですね、よいです》
《とんかつ食べたい:苔さんがもう癖を隠さなくなってきた》
そこにいるのは、私の思い描いた姿のらびっと100そのものがいた。
銀杏先生の絵柄とも、イカ焼き屋さん時代の絵柄でもないけど、確信めいたものがある。
絶対コレ銀杏先生だ! オタクだからわかります!
叫びだしたい気持ちを無理矢理飲み込んで、配信を続ける。
「……っ! 圧倒的優勝! 異論は認めない!」
で、推しにバレてるの確定なんだけど、どうしよう。




