No.54:あれから
あれから2年後、ソロモンとアーサーは周辺の村々を統一した。あれほど確執があったアルファルド村は村内のクーデターにより村長は追い出され平和主義的な人物を推し村長となった。
現在はアルナイル村を中心とし他村の連携をより強化し平和な国造りを目指している。平和といっても何もしなければ平和なんてものは実現はできない。確かな知識、行動力があってこそだ。そこでソロモンは塾を作ることにした。数学、道徳、魔術を学ぶ場所だ。
ソロモンの魔術研究は今も続いている。現在は72体全ての魔神と契約しており防衛力として重きを置いている。
今やっていることは苗字を付けること。アーサーのようにファミリーネームを付けたがる人が増えたため付けることとなった。ついでに戸籍も作り、そのまとめ役がアーサーになった。
「次が最後の人ですね、どうぞ」
「アーサーさん、覚えていますか?」
「えっと、2年前誘拐された人だよね」
「はい、そうです。名前はギャレットにしようと思います」
「ギャレット、ね」
名前、容姿から見て確実にエリスのご先祖様に違いない。
「それで、ですね。どうか私と共に歩みませんか?」
「はい?」
どうも顔を赤らめている。そして下を向いてもじもじしている。言動1つ取ってもエリス似だ。
「どうか私と契りを結びませんか!?」
「契りを……結ぶ……。いやいや、無理だ。俺はよそ者だし、貴女にはもっと相応しい相手がいる」
十分歴史を変えてしまってるアーサーだがさすがにエリスの先祖に自分まで加わるのはまずい。それにエリスが産まれるかどうかにも関わる。
「構いません」
「俺が構う。悪いけど結婚はできないよ」
「そうですか。でも諦めません。また来ますから」
来られても困る。これは大変そうだ。
「大変そうだ、とか思ってないかい。アーサー」
「何だっていいだろ、ソロモン」
ソロモンはこの2年で身長が伸び今やアーサーと同じくらいまで伸びた。アーサーは然程伸びず変わっていない。
ソロモンとアーサーの目的である国造りはまだまだ進んでいない。平和条規は結んでいるが国の一部になるかどうかがまだ終わっていない。ここ2年で人口が増えてきているため境界線を消しどこでも住める様にしたいが一部の村が反対している。
「交渉のカードが足りない気がする。相手にもこっちにも有益となるものはないものか」
「やっぱり、塾を一般開校するしかない。おそらく反対派の村はこの村の魔術を恐れている。なら反対派の村にも同じ様に魔術を教えて同等にするしかないよ」
「アーサー、場合によってはその魔術を使い戦いが起きるかもしれない。僕は魔術を戦いの道具にはしたくない」
「なら、この村の資源である鉱石と技術の共有化でどうだ?」
「それしかない。次行く時はそれを条件にやってみよう。もう後がない」
そう言ってソロモンは帰っていった。
翌日ソロモンとアーサーは反対派の村々に訪れた。交渉のカードとして鉱石と技術の共有化を提示した。そしてついに全ての村が国として受け入れてくれた。
「ようやくだ、ソロモン」
「本当にようやくだ。でもここからでもある。王としてどうあるべきか、考えないと」
そう、ここからが本題だ。国を造った後、法律や排水の整備などやるべきことがたくさん控えている。
村々が団結し国造りの進行は早い。ソロモン自ら進んで前に出て建築や整備をしている。アーサーも色んな場所に行きその技術を教えている。
さらに2年後、アガレスの力で城壁を造り全てが完成した。城から見渡す限り家が建ち並び遠すぎて城壁すら小さく見える。
「終わった。長かったよ」
「もうそろそろ帰れるかな」
「何か言ったかい?」
「何でもないよ」
アーサーが過去の世界に来て4年、帰れる方法など無く、全くわからない。あの本は未だ見つかっていない。無い無い尽くしで手を焼いている。
「ところでソロモン、その本は?」
「これかい? これは魔神たちの拠り所、憩いの場でもある。契約はしているけどずっと僕といるのは大変だろ? だからこうやって休憩の場を与えてる。本だから一応、“ゴエティア”っていうタイトルにしてる」
“ゴエティア”、大和国で暴れまわった黒い影の様なもの。シャルロットは何か危険なものを感じ取っていたがアーサーにはわからない。
その後ソロモンは王として即位し、正式に国王となった。王となった今も魔術の研究をしている。即位して最初に作った魔術“ペンタクル・グリモワール”、神や天使たちと意思疎通する“イラーフ・デレット”、自身の目に魔術を永久的に付与し続けるなど数々の魔術を生み出した。ソロモンの魔術研究は終わらない。
グダグダやると飽きてくるので、これからどんどん話を進めていく予定です。




