No.51:村開発その3
村開発第一段階を終えたアーサー。やることがなくずっと少年ソロモンの研究を見ているだけの日常が続いた。
「ソロモン、次は誰の召喚をやってるの?」
「アガレスが終わったから3体目の魔神ウァサゴ。バアルによると未来視ができるとか言ってた」
「ウァサゴかぁ」
騎士団員にウァサゴも契約出来ているものはいない。シャルロットによると性格がめんどくさいと聞かされている。
「ちょっと外行ってくる」
アーサーは家を出て村中を歩いた。特にやることもないが家の中にずっといるよりはまだマシだ。
あたり見渡しても開発させる部分が見当たらない。村の広場で腰を下ろし空を見上げた。
「平和すぎる」
「平和やったらあかんのか」
「アルケミスト、勝手に出てくるな。……俺はずっと任務とかで戦ってきたからこういう時暇なんだよ」
「なんならわいが相手になったろか」
「戦えるの?」
「何を言うか。これでもザガン様の眷属。ザガン様と共に戦いお守りしてきたんや」
「なら少しやろうよ。運動がてらに」
村の外に出て被害が出ないようにできるだけ遠くまで離れた。準備運動をしダイダラから剣1本を出した。
アルケミストは詠唱を始め自分にかかっている封印を解いた。ザガンの眷属は全員小型だが封印をして普段は力を抑えている。強すぎるから封印しているわけではない。封印している方がザガンも契約者も楽だからだ。アルケミストの本当の姿は4足歩行で牙はもちろん爪が鋭い獣。アルケミスト含め眷属たちは上級悪魔だ。気を抜くと一瞬でやられる。
先に動いたのはアルケミスト、鋭い牙で噛み付いてきた。アーサーは避けアルケミストの体に剣を振り下ろした。剣は通らず鈍い金属音が響いた。
「わいは体そのものを剣に変えることができる。そんな近くにいたらやられるで」
アルケミストの体の中から無数の剣を飛び出してきた。アーサーは神速を使い逆側に回り何度も斬りつけた。斬れることはなく無数の剣が飛び出してくる。
「デタラメすぎるよ」
「ザガン様もこれくらいはやってのける。それに比べたらわいなんか赤子や。さぁさぁどうやってこれを切り抜けるかやってみぃ!」
少し舐めていた。攻撃しようにも硬すぎるため斬れない。それに剣が休みなく飛んでくる。攻めようにも攻めきれない。だが剣がダメなら魔術しかない。
「風よ、全てを撒き散らし風神のごとく荒れ狂え! アモネス・ヴリヒスモス!」
アルケミストは空高く上げられた。それでも剣は空から落ちてくる。アーサーは続けて次の魔術を展開した。
「炎よ、灰燼と化せ、地獄を見せろ、数多の敵を焼き払い骨一つ残らぬ獄炎をもたらせ。フィアンマ・インフェルノ!」
アーサーの魔術は巨大な火柱を上げアルケミストを直撃させた。剣は溶け跡形も無くなっていく。アルケミストの体も段々溶けていき次第に封印後の姿になった。
「わいの負けや。あんなん食らったら大抵の悪魔はやられる」
「まぁでも久しぶりに戦えてよかったよ」
「なら悪魔冥利に尽きるわ。じゃあ戻ろか」
戻ると村の入り口で人が集まっている。何かなと思い見てみると沢山の剣が村の囲いに刺さっている。この剣はアルケミストの剣だ。アーサーが避け剣は一直線に村まで飛び囲いに刺さったのだ。幸い死人は出てないそうだ。
「おい、何やってんだよ」
「ア、アーサーが避けるからやろ。わいは知らんし」
「避けないと死ぬだろ。とりあえず抜いて回収するぞ」
村人に事情を説明し帰ってもらった。剣を抜くとある事に気がついた。囲いは木で出来ている。長い年月と雨に晒されて中が腐っている。
「アルケミスト、村開発その2だ。この囲いを新しくしよう」
「ええけど、まずは村長に」
「わかってるよ」
剣を全て抜き走ってダビデ村長のいる仕事用の家に向かった。そして今あったことを説明した。ダビデ村長は即決し了解を得た。
次は村の囲いに決定した。早速材料を集めた。材料は木をやめ石にした。何年かしたら城壁に変わるとなれば問題はないだろう。石を加工し形を整える。アーサーの村開発が始まった。




