No.38:ケルヌンノス・サバイバルその2
森が生い茂るこの島で鍵を握るのが気配遮断の魔法。だがアーサーにとって学生が使うそれは意味をなさない。理由は簡単だ。エリスと椛の気配遮断の魔法、特にエリスの魔法を何回も経験しているからだ。それに比べたら学生の魔法は取るに足らないものだ。
この森には動物も魔物も両方いる。魔物は何処にでも湧くのでキリがない。アーサーたちは熊と魔物両方出会ってしまった。アーサーは魔物複数体、残り4人は熊1匹と戦うことになった。アーサーは鮮やかに魔物の心臓である核を剣で斬りあっという間に終わった。一方クラスメイト4人は熊相手に手間取っている。森の中での戦闘に慣れていないのだ。剣を振ろうとしたら木に当たって抜けなくなっていたりと連携も何もできていない。1人が火属性の魔法を使おうとした。アーサーは火属性の使用を止めさせエンチャントした拳で思いっきり熊の腹を殴った。熊は倒れ動かなくなった。
「ありがとう」
「大したことしてないよ。それより火属性魔法は絶対に使ったらダメだ。この森を燃やしたいのか」
「でも使わないと殺される。ここでは動物も魔物も殺さないとこっちが殺される」
「本気で言ってるの? この学院祭の主旨がわかってないの?」
クラスメイトは首を傾げた。
「いいか、この学院祭の全ての競技は騎士団に必要な要素が詰め込まれているんだ。第1競技チャリオットはチームワーク。第2競技ラビュリントスは悪魔との契約。第3競技フェニクスは町の安全確保、そして今回は自然保護。それら全て騎士団員に求められている。だからめちゃくちゃやっていいわけじゃない」
「じゃあフェニクスの時のオフィーリアさんは……」
「間違いなく減点対象だ。それとみんなはあまり森に慣れてないようだからこれを渡しておくよ」
アーサーはダイダラを呼び4本の短剣を出し渡した。ここでは魔法、魔術の使用はほぼ不可能な場所だ。それに絶え間なく木々が生えており初心者で剣を使う者には戦い辛い。そしてアーサーたちはまた歩き出した。
今いる場所は大体島の中央。そこは森が拓けており草原のような場所だ。そしてここには人の気配もあった。魔法で隠れているつもりだがアーサーには無意味だ。
「5人人がいるから気をつけて。それとさっき渡した短剣を貸して、俺が投げるから出てきた奴のバッチをすぐに壊してほしい。1人やられたら全員出てくるはずだから」
アーサーは短剣を受け取った。狙いを定め投げ、短剣は命中しびっくりして茂みから人が出てきた。クラスメイトの1人はその相手のバッチをすぐに壊しに行った。すると動揺したのか残りの4人も出てきて乱戦となった。
クラスメイトも相手クラスも奮闘し残ったのはアーサーと相手クラス1人となった。アーサーは神速を使い早々に決着をつけた。
「全員やられちゃったか。まぁいいや、これで思う存分できるよ」
アーサーは来た方向に向かいスタート地点の浜辺まで戻った。戻ってすぐに火属性の魔法を花火のようにし空に打ち上げた。
しばらくすると人の気配を感じた。人数は20人だ。おそらく島にいる人全員がここにいる。連携してアーサーを倒す目的もあるに違いない。1人目の狙いを決め神速を使い1つ目のバッチを壊した。さらに気づかれる前に複数人のバッチをすぐに壊しに行った。相手もようやくアーサーに攻撃されていると気づき動き出した。しかし神速を前に誰も手出し出来ず20人全員が一瞬の間に終わった。
『第4競技ケルヌンノス終了! 1位はクラスプレイオネ!』
ルキアノスのフィニッシュコールが響きアーサーは会場へと戻ってきた。
「アーサー、あれはわざとか?」
「ルキアノスがそう見えたのならそうなんじゃないかな。想像に任せるよ」
アーサーは選手席に戻って行った。こうして第4競技ケルヌンノスが終わり午前の部が終了した。




