No.25:紅丸の決意
アーサーが地上に出ると目の前にはシャルロットがいた。シャルロットはアーサーを瞬間移動で将軍のいるところまで転移される。転移されると1人で大量の骸の相手していた。
「将軍様なにをしてるんです!?」
「アーサー、なぜここにきた。ここは私1人で十分だと言っているはずだ」
「シャルロットにここに転移されただけです。この量を1人は無理があります。助太刀します!」
「来てしまったのなら仕方ない。頼むぞ」
「はい!」
アーサーと将軍は次々と骸を倒していたが前々回よりも戦闘能力が上がっていた。そして量も異常な程おり少しずつ押されていった。アーサーは風の魔法と神速を駆使しながら対抗した。
「将軍様、この量を2人でやるのはさすがに無理があります。魔神を使ったとしても物量は相手の方が勝ります。それに俺はシャルロットみたいに広範囲な魔術は使えません。ここは仲間を呼ぶべきと思われます」
「仕方あるまい。アレを使う。アーサー、ほんの少しの間耐えてくれ。この一発に全てをかける」
アーサーは魔神の力も解放し剣を錬成し骸たちを貫通した。アーサーが耐えている頃、将軍は魔力を右腕に込め始めた。魔力は段々と膨れ上がり雷を帯び始め音もバリバリと激しく鳴った。
「アーサー、もういい。私の近くに来なさい!」
アーサーは将軍の指示に従い将軍のそばについた。近くにいるだけでもものすごい轟音、そして雷の余波のようなものがアーサーを襲った。
「雷神よ、私に力を。雷光・武甕雷!!」
将軍の放ったそれは雷の柱を作り次第に地面に伝わり広範囲に広がっていった。あまりの力に地面が大きく揺れるほどの威力を将軍は放った。しかしそれは全体を覆えるものではなった。骸の数は減ったがまだまだいる。将軍は全てを倒しきれなかったこと、魔力と体力を大きく疲弊しその場で倒れた。
「すまない、久しぶりに使ったのでな、全然倒せなかった。全盛期なら5発は余裕だったが……アーサー、ここから逃げるといいそして他の所に行きなさい」
「何いってんですか! ここを突破されたら国の中まで侵入される! この国は今回で大きな打撃を受けてるんです。これ以上の被害は出せません。それにこの国は民が暮らし思い出も詰まった場所です。そう易々と壊させはしない! なので俺はまだやります。この身朽ちるまでは諦めません!」
アーサーは近づいてくる大量の骸をなぎ倒していく。決して将軍のいる所へは行かせないように。体のあちこちを斬られ、叩かれてもなおアーサーは諦めず戦った。
アーサーの体力も魔力も切れ始め魔神の力も発動できなくなっていた。これでもだいぶと数は減りあと数百体といったところまできたが限界がきてしまった。アーサーは倒れてしまい、動ける体力ももう無い。絶体絶命のピンチだった。アーサーは「ごめんなさい」と一言言い覚悟を決めた。その時だった。空から1つの雷の柱が降りてきてアーサーを囲む骸やその周りにいたものも吹き飛ばした。アーサーは何が起こったかわからず目を開けた。すると目の前には凛と立ち新しい服に包まれ、雷を帯びている紅丸がいた。
「アーサー、父上大丈夫ですか」
「紅丸か?」
「そうだよ、アーサー」
紅丸はアーサーを担ぎ、将軍の下まで連れていった。
「父上、遅くなりました」
「克服したのだな、紅丸。来てくれて助かった」
「全てアーサーのおかげです。私はアーサーに魅せられました。私もアーサーと一緒にこの場で戦いたいと思い、覚悟を決めのです。ご安心ください。あとは私がやります」
「待て、紅丸。あいつらは意外と能力は高いし、連携もしてくる。1人は危ない」
「それ、アーサーが言う? 大丈夫。何とかするよ」
「待ちなさい紅丸。渡すものがある。すぐ終わる」
紅丸は将軍が横たわるところに来て膝をついた。将軍は紅丸の右腕を掴んだ。紅丸と将軍の腕が雷を帯び紅丸の腕に流れるように吸い込まれていき、紅丸の右腕に紋様が浮かびあがってきた。
「お前にこれを託す。それは将軍家が代々受け継いできた魔法、雷光・武甕雷。今のお前なら任せられる」
「父上、ありがとうございます」
紅丸は立ち上がり、深呼吸をし数百体いる骸の前に堂々と立ちはだかった。
「雷神よ、大事な人を守るだけの力をここに。雷光・武甕雷!」
その魔法は将軍と同じく雷を放ち地震を起こし多くの骸を倒していったが違うところもあった。雷がアーサーと将軍を包むと魔力、体力、傷を癒していった。
「これは?」
「これこそがこの魔法の真価。代を重ねるごとに威力が上がり、性質も変わる。私は戦いしかしてなかったために戦闘特化の魔法になったが紅丸は守りたいと助けたいと願うことでこのような効果になったわけだ」
「すごい、これならまだ戦える。ありがとう、紅丸」
「アーサー残りを一緒に倒そう。これで終わりにするんだ!」
紅丸は刀を抜刀しアーサーは魔神の力を解放した。初陣となる紅丸の手は震えていた。それを見た時アーサーは椛の言葉を思い出した。
「紅丸、怖いか?」
「少しはね」
「怖いと思うと剣も震えるんだ。武器を持てばこの場では誰であろうと平等だよ。怖いと思うならこれは大事な人を守るための戦いと思えばいいよ」
紅丸は覚悟を決めた。刀をギュッと握り、少しの笑みを浮かべた。怖い時ほど笑ってしまうとはこのことなのだろうと紅丸は思った。骸との最後の戦いが始まろうとしていた。




