No.23:紅丸の心
敵襲があった次の日、アーサーたちはまた日常へと戻った。といっても依然変わらず警戒態勢は続いており両国の兵士たちは警備についている。アーサーは夜の番のため日中は暇だ。よってまた城の地下へと足を向けた。初めて来た時と同じように扉を開け紅丸のいる部屋へと入った。
「やぁ、また来たよ」
「どうも。外は大丈夫だった?」
「まぁね。皆んな優秀な人だからこれくらいのことはどうってことないよ」
紅丸も普通の会話ができていた。前回は怯えていたのに対し今回ははっきりと喋っている。
「紅丸は外に出たくないのか?」
「出たくても出られない。死んでしまうから」
「あーごめん。言葉が足りてなかった。体質は関係なしで外に出たくない?」
「出れるなら出たい。また青い空を見たいし父上ともちゃんと話したい」
「ならなんとかしないとな。多分だけど紅丸、君には自信がないと思う。自分に自信を持つことはとても大切なことだ。特殊体質も体の一部なんだからそういう感情はもろに影響されるよ。現に俺がそうだった」
「君が? そうは見えないけど」
「これでも昔はよく母親の後ろにずっと隠れてたし、臆病だった。けどそんな自分を変えてくれた人がいるんだ。その人はビビリですぐお腹壊すでロクな人じゃないけどいざ戦うとすごくかっこいいんだ。俺はそれに憧れた」
「僕はそんな人と出会ったことない」
「いずれ絶対近いうちに出会うさ。……時間だからそろそろ戻るよ。じゃあ」
「また来てくれるかい?」
「約束するよ」
そうしてアーサーはその場から立ち去り階段を上って行き外へ出た。
その日の夜アーサーは外の警備に出た。パートナーとして椛も一緒だ。街の中から始まり外へ出て周囲の確認をしていた。
「そういえばアーサー、最近あの紅丸のところに行ってると聞くかしら。どういうつもりなの」
「ずっと地下に入りっぱなしは辛いだろ。紅丸を外に出したいんだ」
「まぁ、どうするかはアーサーしだい。けど無理やりは禁物なのよ。焦らずにやるかしら」
「そのつもりだよ」
椛の言う通り焦って外に出すことは絶対にしてはならない。体質もそうだが何よりあの感情をどうにかしなければ外には出てくれないだろう。しかし紅丸の心は確実に進歩しているのは確かだ。今日の訪問で理解できた。また明日もアーサーは行くだろう。その時にどれくらい変わっているかがこれから外に出るための鍵になる。紅丸の心に少しでも添えるようアーサーはその夜の警備時に思考した。




