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神速の騎士王  作者: 天月 能
2章 倭国事件
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No.12:風呂場での片時その1

 商人たちがダリウス達の前に来た。


「お止まり願います。拙者は雷皇不知火綾乃と申す者。今国は厳戒態勢のため持ち物の検閲や職業、これからどうするのかを聞かせてもらうことになってるっす。なので荷物の確認をさせてもらうっす」


どうぞと言う商人と思われる人達。その間ダリウスが尋問する。


「質問に答えてください。あなた達は何者ですか」


「ただの商人だ。明日定期的に行われる三斎市に出す品を店に持ち帰る途中だ。店の名前は『全菜市』って名前だ。全国の野菜を持ち帰りここで売ってる。因みにここにいる奴らは店の従業員だ」


「ありがとう。分かりやすい説明だ。不知火さんそっちはどう?」


「異常なしっす。全部野菜っす。商人の方々わざわざ止めてすみませんっす。どうぞお通りくださいっす」


「仕方ねぇことだからな。頑張れよお二方」


「はいっす」


「ありがとう」


商人達は門を通り入国した。ダリウスはエリスに異常なしを連絡した。


「陛下、将軍様異常無いみたいです」


「そうかそれなら良かった。引き続き警戒を怠るな」


「わかりました。皆にも伝えておきます」


そうして1日が終わった。

 アーサーは今日の役目を終え兼続のところに向かった。兼続に会い風呂に誘い2人で城の外にある露天風呂に行った。一方エリスは部屋の布団のところでぼーっと寝っ転がっていた。


「何考えてるのエリス」


声をかけたのはシャルロットだ。エリスは寝っ転がっていた体を起こした。


「いえ何も。今日は疲れたなと思いまして」


「明日もあるから早めに寝ることね。その前にお風呂には入ったかしら?」


「まだですけど」


「なら一緒に行きましょう。他の人たちも入ってるそうよ」


「他の人たちもですか。なら後からでいいです」


「なんで?」


「いえなんでといいますか……」


エリスは胸を隠すように腕を組み目をそらし苦笑いした。シャルロットはすぐに気づき組んでいた腕を掴んで指を鳴らした。するとそこは風呂の脱衣場に移動していた。


「シャルロット様卑怯です。瞬間移動で連れて行くなんて」


「手段よ、手段。体に自信ないからってそんなにいじけない!」


「別にいじけていませって、きゃあ!」


エリスは無理やり服を脱がされそのまま瞬間移動で風呂場のシャワーのところに移動させられた。


「本当に卑怯です」


「ここまできたらもう逃げられないわよ」


「うるさいお客ね。あなたはそんな人だったかしら」


隣に座っていたのは椛だ。椛も入浴していたようだ。


「椛ちゃんもきてたんだ」


「当たり前よ。忍者と言えども身は綺麗にするもの。臭くてバレたなんてことになったらいけないかしら」


「そうよね。風呂は入らないとね。でも髪の洗いすぎは頭皮によくないわよ」


「心得ているかしら。2日に一回は泡を使って洗うかしら」


「そうなんですか?」


「そうよ。洗いすぎると頭皮に菌が繁殖しやすくなって臭いの原因になるの。それは体の方にも言えることよ」


「そうなんですか。初めて知りました」


風呂場での雑談をし、洗い終え湯船に浸かった。


「はぁ〜〜。いい湯ですね」


「本当にいい湯加減ね。星もとても綺麗」


「この城にいる人たちは毎日ここで入ってるの?」


「そうなのよ。椛たち雷皇や女中達も入るけど女中たちのような人達は最後に入るかしら」


「そうなんだ。なんか悪いね」


「そういうものだからあまり気にしなくてもいいかしら」


椛はふうっと息を吐き肩までしっかり浸かった。すると突然男湯の方から物凄い音が聞こえてきた。


「なんの音かしら」


「さぁ転んだ音にしては大きいような」


「そんなことよりエリス。アーサーのことどう思ってるのかしら」


シャルロットが向こうで鳴った音など関係なしに突然エリスに話を振った。エリスは耳を赤らめた。


「いっ、いやー熱いですねこのお風呂。のぼせちゃったのかな。あはは」


「誤魔化しても無駄よ。最近気づいたけどエリスはアーサーをずっと見ているわ」


「ななななん、なんのことやら。アーサーはまだ16歳ですしなんか心配になるというか。年上としてしっかり面倒見てるだけですよ」


「エリス、とても早口かしら」


「椛ちゃん余計なこと言わないで」


「なんでアーサーのこと好きになったの」


「まだ好きとは言ってません」


「じゃあ嫌いなの」


「いえ、好きですけど」


つい口を滑らしたエリス。顔まで赤くし思い切り立ち上がった。


「のぼせそうなのでもう出ますね」


湯船から出て脱衣場に向かおうとした。しかしシャルロットが瞬間移動の魔術でエリスをまた湯船の方に戻した。


「逃さないわよエリス」


「本当に卑怯です」


「さぁ話すのよ。と言うか話した方が楽よ、今の状況じゃ尚更」


「はぁ、そうですね。あれは2年前つまりアーサーが14歳の時です。私が先に敵のアジトに潜入して合図を出せば突入するって任務で敵は既に私の侵入することに気づいて待ち伏せされて捕まったことあるじゃないですか」


「あったわねそういうの。確かあれはあまりに遅すぎるとアーサーが様子を見に行くと突入したやつね」


「はい。それで助けられてその時のアーサーがあまりにかっこよくて、凛々しくて14歳とは思えない力強さがあって」


「惚れたのね」


「はい」


「エリスは意外と女の子してるかしら」


「椛ちゃん意外と毒舌だね」


おそらくアーサーはエリスが惚れていると考えたこともないだろう。アーサーは人のことはよく見ているが自分のことはあまり見えていない。人の好意を気付かない鈍感さがアーサーにはある。


「なるほどねエリスの思いはわかったわ。けどアーサーを自分のものにするには壁があるわよ」


「壁?」


「学院寮へ戻ればリアさんがいるわ。ここに来るまでの1ヶ月間同じ屋根の下で寝食をともにしているわ。それはでかい壁よ」


「そういえばそうでした」


「だから頑張りなさい」


そうして3人は風呂を出た。



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