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終章 ミーだけどレイナ?

本作『レイナ』を開いていただき、ありがとうございます。

この物語は、少し不思議で騒がしいアパートでの同居コメディから始まり、やがて悲壮なモンスターバトルへと一気に加速していく、ノンストップのSF純愛アクションです。

もともとは特撮・アクションの最前線で活躍するクリエイターたちが集結して制作した短編映画であり,映画ならではの「一切ダレないスピード感」はそのままに、テキストだからこそ描ける登場人物たちの細やかな心情や、隠された伏線を丁寧に織り込んでいます。

最後まで一気に駆け抜ける物語です。どうぞ、少しの間、良太とミー(レイナ)の奇妙な日常と死闘にお付き合いください。

すっかり日の落ちた夜。静かな住宅街に、ひっそりと建つ古い二階建てのアパートがあった。

『ミーの中にレイナの遺伝子が入っているところへ、もう一度レイナが入ったんだから、レイナが3分の2で、ミーが3分の1。 だから、今がレイナなんだけど、やっぱりミーだけどレイナ?』

そんな奇妙で複雑な運命を辿った彼女と良太の、新たな日常が始まっていた。

アパートの一室。青いポロシャツを着た良太が、台所に立って夜食の準備をしていた。

「だけど、よくわかんないよなぁ」

良太は戸棚からグラスを取り出しながら、一人ごちる。

「あの蛇の化け物はさ……」

良太は二つのグラスに白いミルクを注ぎながら、昼間の死闘と不可思議な現象について、頭を整理するように言葉を続けた。

「人間の中に蛇の遺伝子が入って、その中にレイナが入っちゃったんで」

ミルクの入ったグラスと、赤い木苺が乗ったショートケーキを赤いお盆に乗せ、良太は居間へと歩き出す。

「三つ巴になったわけだろう。だとするとさ……」

良太は、ピンク色の服を着たレイナが座っている居間のテーブルにお盆を置いた。するとそのお盆の上に、なぜか一匹の蛇が、天井からポトリと降ってきた。

「うわっ」

突然の出来事に、良太は思わず驚きの声を上げた。

テーブルの前に座っていたレイナは、頭に黒とピンクの猫耳をつけたミーの姿に変わっていた。レイナの遺伝子が勝ったとはいえ、驚いた拍子にミーの要素がしっかりと出てきたらしい。

「おお」

良太が席に腰を下ろした瞬間、ミーが満面の笑みで良太に飛びついてきた。

「パーパ!」

ミーは甘えるように良太の首に抱きつき、彼の頬や耳元にじゃれつくように顔を擦り寄せる。猫のミーとしての愛情表現なのか、それともまた別の遺伝子の影響なのか。

「こら!」

良太は照れ隠しのように声を上げ、じゃれつくミーを引き剥がそうとする。

そして、良太は指先でケーキの白い生クリームを少しすくい取ると、ミーの鼻の頭にチョンと悪戯っぽく塗りつけた。

鼻の頭についたクリームを寄り目にして見つめた後、彼女は良太を見つめ返し、この上なく幸せそうな、屈託のない笑顔で笑い声を上げた。

夜の底の探し物

その頃、アパートの外では、一人の男が外階段を慌ただしく駆け下りていた。

良太と同じアパートの住人で、爬虫類をこよなく愛するオタクの宅である。前にトカゲを探し回り、しょっちゅう飼育している動物を逃がしては良太を呆れさせていた、あの男だ。

宅はシャツの上に上着を羽織り、焦燥しきった様子で周囲の暗がりを見回している。

「郁恵、郁恵、どこ行ったんだよ。郁恵」

男はアパートの前の道を歩き回りながら、必死に名前を呼んでいた。

「郁恵」

暗い住宅街に、飼い主の切実な声だけが虚しく響き渡る。どうやらまたしても、大切なペットを逃がしてしまったらしい。良太の部屋の天井から降ってきて、テーブルの上を這い回っていたあの蛇こそが、彼が血相を変えて探している「郁恵」なのだろう。

「郁恵」

そんなこととは露知らず、男の悲痛な呼び声が夜の闇に吸い込まれていく。

「どこ行ったんだよ、郁恵」

少し不思議で騒がしい彼らの日常は、これからも続いていく。男の探し求める声がいつまでも響き渡る中、物語は静かに幕を下ろした。


最後までお読みいただき、本当にありがとうございました!

日常コメディから一転、遺伝子を巡る凄惨な死闘、そして悲劇の果てに起こった「奇跡」……良太とレイナの物語はいかがだったでしょうか。

映像という尺の限られたフォーマットから小説にするにあたり、映像ではあえて説明していなかった「パパからりょうちゃんへの呼称の変化」に込めた意味や、三つの魂がせめぎ合う怪物の悲哀など、テキストならではの表現でキャラクターの心情を深掘りできたことをとても嬉しく思っています。

姿形が変わっても、変わらずに受け継がれていく想い。不器用な二人のハッピーエンドに、少しでも爽やかな読後感を感じていただけていれば幸いです。 本作を楽しんでいただけましたら、ぜひブックマークやご評価をいただけますと、作者の大きな励みになります!

現在、映像版の『レイナ』は以下の配信サイトでご覧いただけます。小説で描かれたあのアクションシーンや、最後のアパートのオチ(郁恵)が映像でどう表現されているか、ぜひご自身の目で確かめてみてください!

■Amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0GW1PFGHJ/ref=atv_sr_fle_c_Tn74RA_1_1_1?sr=1-1&pageTypeIdSource=ASIN&pageTypeId=B0GW24BMLN&qid=1777798977978

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改めまして、最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました!

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