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第一章 陽だまりの記憶

本作『レイナ』を開いていただき、ありがとうございます。

この物語は、少し不思議で騒がしいアパートでの同居コメディから始まり、やがて悲壮なモンスターバトルへと一気に加速していく、ノンストップのSF純愛アクションです。

もともとは特撮・アクションの最前線で活躍するクリエイターたちが集結して制作した短編映画であり,映画ならではの「一切ダレないスピード感」はそのままに、テキストだからこそ描ける登場人物たちの細やかな心情や、隠された伏線を丁寧に織り込んでいます。

最後まで一気に駆け抜ける物語です。どうぞ、少しの間、良太とミー(レイナ)の奇妙な日常と死闘にお付き合いください。

蝉時雨が降り注ぐ、夏の公園。色とりどりの遊具の中で、子どもたちの無邪気な声が響いていた。

「ねえ、りょうちゃん。大きくなったら何になりたい?」

「僕? わかんないよ」

ジャングルジムにぶら下がりながら、少年は照れくさそうに笑う。その隣で、あどけない顔立ちの少女——レイナは、迷いのない瞳でまっすぐに言った。

「レイナはねぇ、りょうちゃんのお嫁さんになる」

二人の腕の中には、段ボール箱で見つけたばかりの小さな黒猫が抱かれていた。「団地だから飼えない」とこぼす少年に、レイナは胸を張って宣言する。

「じゃあ、レイナが飼う! そしたら、りょうちゃんとレイナがこの子のパパとママになるの。ね、ミーちゃん」

黒猫は「ニャア」と小さく鳴き、少女の温かい腕の中で安心しきったように目を細めた。

「この子、ミーちゃんなの!」

「うん」

それは、どこにでもある穏やかな夏の日の、永遠に続くかのように思えた幸せな風景だった。

追撃の山道

——けたたましいエンジン音が、山の静寂を切り裂いた。

鬱蒼と生い茂る木々に囲まれたカーブの連続する山道を、赤い車が猛スピードで駆け抜けていく。その後方には、獲物を追い詰める捕食者のように、銀色の車がピタリと張り付いていた。

運転席でハンドルを握るのは、初老の男。その顔には深い疲労と、焦燥の色が濃く滲んでいる。

「あんな化け物を、これ以上作らせるわけにはいかない」

男——博士は、バックミラーを睨みつけながら吐き捨てるように言った。助手席には、成長したレイナの姿があった。彼女の腕の中には、あの日拾った「ミーちゃん」が成長した姿である、一匹の黒猫が大事に抱きかかえられている。レイナは不安げに後方を振り返り、胸の内で小さく震える命を庇うように強く抱きしめた。

銀色のセダンは容赦なく車間距離を詰め、プレッシャーをかけてくる。逃げ場のない山道。タイヤがアスファルトを擦る悲鳴のような音が、谷間に響き渡っていた。

凶弾と転落

次の瞬間、死神は突如として牙を剥いた。

後続車の窓から、迷彩服にサングラス姿の男が身を乗り出した。その手には鈍く光るリボルバーが握られている。銃口が、赤いセダンの運転席へと冷酷に狙いを定めた。

乾いた銃声。

フロントガラスが蜘蛛の巣状に砕け散り、運転席の博士の頭部から鮮血が飛沫となって弾け飛んだ。

「パパ! パパ!」

コントロールを失った車内で、レイナの悲痛な叫び声が響く。しかし、崩れ落ちた父親が再びハンドルを握ることはなかった。赤い車はガードレールを突き破り、宙を舞った。

眼下に広がるのは、むき出しの岩肌が連なる荒涼とした採石場。車は凄まじい轟音とともに岩山を転げ落ち、ひしゃげた鉄の塊となって水たまりの上に仰向けに叩きつけられた。

業火の痕

土煙が舞う採石場に、追跡してきた銀色の車が静かに停車した。後部座席から降り立ったのは、全身を黒の衣服に身を包んだ美しい女だった。ピンヒールの足音を冷たく響かせながら、横転し大破した車へと歩み寄る。

先に車の様子を確認した迷彩服の男が、怪訝な表情で振り返った。

「博士だけです。……娘がいません」

「例のものは?」

「見当たりません」

黒ずくめの女の表情に、微かな苛立ちが走った。

「探せ! 探すんだ!」

彼女が鋭く命じたその時だった。ガソリンの漏れ出した赤いセダンから、チク、タク……と不気味な時計の音が響いたかと思うと、突如としてオレンジ色の炎が噴き上がった。

ドォォォン!!

周囲の空気を震わせる大爆発。猛烈な業火が、車も、残された父親の亡骸も、すべてを飲み込んでいく。紅蓮の炎は、少女の消えた痕跡すらも焼き尽くそうとするかのように、荒涼とした採石場でいつまでも狂おしく燃え盛っていた。

【実写映像版『レイナ』配信のお知らせと裏話】

最後までお付き合いいただいた読者の皆様に、本作の原点である「実写映像版」についてのお知らせです。

実は本作のもとになった短編映画『レイナ』は、特撮・アクション界の伝説的なトップランナーたちが集結して作り上げた作品です。 ハリウッド版『パワーレンジャー』のアクション監督を歴任した横山誠氏や、スタントダブルとして大活躍した梛野素子氏(なんと本作のヒロイン・ミー役であり、エンディング曲も歌唱!)。 さらには『ゴジラ』や『ガメラ』で数々のメイン怪獣の「中のスーツアクター」を務めた吉田瑞穂氏や大橋明氏など、特撮ファンなら驚愕するような豪華キャスト・スタッフが本気で作り上げた映像となっています。

おかげさまでアメリカ市場での展開も決定し、今後の広がりにもワクワクしています。 現在、映像版の『レイナ』は以下の配信サイトでご覧いただけます。小説で描かれたあのアクションシーンや、最後のアパートのオチ(郁恵)が映像でどう表現されているか、ぜひご自身の目で確かめてみてください!

■Amazonプライムビデオhttps://www.amazon.co.jp/gp/video/detail/B0GW1PFGHJ/ref=atv_sr_fle_c_Tn74RA_1_1_1?sr=1-1&pageTypeIdSource=ASIN&pageTypeId=B0GW24BMLN&qid=1777798977978

■U-NEXT https://video.unext.jp/title/SID0295435

改めまして、最後までお読みいただいた皆様、本当にありがとうございました!

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