表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界で勇者になりましたが引きこもります【完結】  作者: きゆり
最終章 勇者と魔王

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

85/97

第八十五話

 森に戻ってからは索敵を強化した。ディルアスと二人で交代しながら、通常索敵と特定索敵を発動させながら過ごした。


 それとディルアスとルナに微妙な空気が漂っているような? そうでもないような? 何だかよく分からない空気。


 私はというと、変に意識してぎこちなくなるのも嫌だったので、とりあえずは表面上普通に過ごしている、つもり……。

 ディルアスのは子供が寝る前の挨拶! ルナのはワンコの愛情表現! と、言い聞かせた。

 ワンコは物凄い怒られそうだけど……姿は人間だったけど……。


 それで何とかやり過ごしている。

 いつか……いつかディルアスに好きって言えるかな……自信が持てたら言えるのかな……。

 自信……持てる気がしないけど……。


 ディルアスとルナはどうしたんだろう。今までも特に必要以上には喋ったりはしてないけど、今は何か変。

 主にディルアスがルナを気にしているというか……。ルナはそれが分かっているだろうに無視している感じだ。


 何だかなぁ……。

 仕方ないのでオブと飛行訓練にでも行こうかな。

 オブに声をかけようとしたら、ディルアスに止められた。


「ユウ、一人で行動はするな」

「ご、ごめん」

『我が一緒なら良いだろう』


 ルナがそう言ったが、ディルアスはどうにも嫌そうだ。


「あぁ、良いよ、ルナ。ありがとう。やることないし、飛行訓練に行ってみようかと思っただけだから」

『行けば良いではないか』

「ハハ、良いんだよ、ありがとう」


 ディルアスに気を遣っている訳ではない。違うと思う。ただ私がディルアスの嫌がることはしたくないだけ。


『言いなりになる必要はない』


 言いなり……そうなのかな……好きな人の嫌がることはしたくない、って言うのは言いなりなのかな……。

 経験がなさすぎて分からない。


「すまない、ユウを閉じ込めておきたい訳ではないんだ。忘れてくれ。ルナと一緒なら行ってくると良い」


 ディルアスは切なそうな顔をして言った。

 嫌だ! そんな顔見たくない!


 ディルアスの頬に両手を差し伸べ、グイッとこちらに顔を向けさせた。

 ディルアスは驚いた顔をしている。


「そんな悲しそうな顔でそんなこと言わないで! ディルアスが嫌なことや悲しむようなことはしたくない!」

「ユウ……」


 ディルアスが頬を押さえる私の手に、自分の手を重ねて握り締めた。

 私の手を掴むとそのまま顔から離し、片方の掌に唇を押し当てた。

 温かく柔らかいそれにビクッとし、目を見開いた。


「ディ、ディルアス!?」


 伏し目がちに唇を押し当てるその姿は、何だか艶かしくてドキドキした。


 その時魔導具から急に声が聞こえ、さらにビクッとした。今度は違う意味でのドキドキだ。

 心臓が止まるかと思った……あのままだったらどんなことになったんだろう……良かったような残念なような複雑な心境。


「ユウ! ディルアス! アレン! 聞こえるか!?」


 イグリードからだった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ