上陸、魔大陸!魔王と四魔公 1
第八章始まりです。冒頭の始まり部分となります。今日の夜にもう一つ投稿します。
〜とある地〜
「…………。」
何かの前で佇む一人の魔族。その視線の先にあるのは……
「ガングリフォン様、誰かにその場所の管理を譲る気はまだないのですか?」
「……ベルフェの小僧か。」
もう一人の魔族が、ガングリフォンという魔族に声を掛けた。
「何故ドラグニアの者達を遠ざけたのです?今まで普通にこの剣を見せていたでしょう?」
「……状況が変わったのだ。」
「状況が変わった?」
首を傾げるベルフェと呼ばれた魔族に、ガングリフォンは答える。
「封印の力が弱まっている。いつ、この剣の封印が解けてもおかしく無いだろう。」
「な!?何故それを早く言わなかったのですか!?」
「お前達では対応が出来ないからだ。」
「我々だって何かの役に立てる筈です!」
「無駄だ。私の魔力を注いでも、もう封印を維持出来なくなったからな。」
「 そ、そんな……」
ガングリフォンの表情はどこか覚悟を決めた表情だった。対してベルフェは絶望に打ちひしがれていた。
「準備をしておけ、戦いの準備を。」
「……分かりました。」
ベルフェは一言そう答えると、足早に去っていった。
「…………。」
ガングリフォンは剣を見つめ魔力を注いだ。
「……やはり駄目か。もう、時間が無いのだな。」
だが、ガングリフォンはそこから動こうとしなかった。剣の封印が解けるのをここで待つ為に。
「アルス……もうどうする事も出来ないのか?希望はもう、無いのか?」
ここには居ない誰かに語りかけるガングリフォン。その表情はどこか寂しげだった。
「エンドの奴が目覚めるのも時間の問題か……俺も覚悟を決めなければな。」
かつて親友に貰った剣を持ち、目の前にある別の剣を見据える。
「“イビル・ナイトメア”。最初に支配するのはこの俺か?それとも……」
ガングリフォンは来るべき時が来るのを待つ、封印が解け、戦いが始まる時を。
「俺達が何処まで戦えるのか、試そうじゃないか。アルスの守りたかった世界を守る為に。」




