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魔王メイドエクリナのセカンドライフ  作者: ひげシェフ
第五章:再起と絆の魔剣

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◆第76話:交錯する剣閃、試練の先◆

幾度も繰り返された模擬戦。

日を追うごとにライナの動きはさらに鋭く、そして無軌道なまでに華麗さを増していた。


この日もまた、セディオスはライナを平原へと誘っていた。

「今日もよろしくお願いしまーす!」

「……ああ、宜しく。今日は試したいことがあるが、いつも通りの模擬戦で頼む」

ライナは元気に頷き、《魔斧グランヴォルテクス》を肩に担いだ。


戦いが始まる。

ライナは魔力で身体を強化し、アクロバティックかつ猛スピードの連撃が嵐のように襲いかかる。

雷の如き斬撃が頬を掠め、熱を帯びた風が耳を切り裂いた。


(……ここまで速く、重くなったか。だが――まだ、譲れない)

押し寄せる連撃に翻弄されながらも、セディオスの表情に焦りはなかった。

むしろ――静かに、ある手応えを待っていた。


戦いが始まって数分。

近くで見守っていたエクリナが、小さく眉を寄せた。

「……おかしいな。ライナの動きはいつも通りだが……傷が、少しずつ……?」

そう、ライナの腕や脚に細かな擦過傷が浮かび始めていた。


一方、セディオスはいつもよりも傷が少ない。


そして――次の瞬間。

「うわっ……!」

ライナが吹き飛ばされた。

土煙を巻き上げ、平原の地に背中から転がる。


セディオスはわずかに息を切らせていたが、大きなダメージは見受けられなかった。

「えっ……? なんで……?」


ライナは驚きに目を見開きながら立ち上がる。

「おかしい……僕の動きが読まれてる? そんなはずないのに……」

動揺を隠せず、ライナは再び踏み込む。

セディオスは落ち着いた体捌きでそれを受け流し、切り結ぶこと数合。

互いに離れ、息を整える。


「だったら……これで!」

ライナは見てみたくなった、剣閃以外にも対応できるのかを。

魔力を凝縮させ、雷の刃を作り出す。その刃を勢いよくセディオスへと放つ。


閃光が一直線に走る――

だがセディオスは紙一重で身を捻り、足裏に草を裂く感触を残して避け切った。


「な、なんで……避けられたの……?」


「……動体視力と反応速度の強化。低級魔法で十分にできる。あとは――体捌きだ」

セディオスは静かに言った。

「ライナの突進力を、逆に利用しただけだ。お前の勢いを、別の方向に逸らせば……な」

ライナの胸中に、焦燥が広がる。


「じゃあ、これならどうだッ!」

《魔斧グランヴォルテクス》が変形し、巨大な斧に。

ライナは跳躍と同時に、一撃必殺の大技を振り下ろす。


だが、その隙を――セディオスは見逃さなかった。

低く構え、一気に踏み込むと、《魔斧グランヴォルテクス》の内側へ潜り込む。


そして、グランヴォルテクスが振り下ろされる寸前。

「っ……!」

刃を喉元へ――冷たい鉄がライナの肌に触れる。


「……っ負けた……」

唇を噛みしめ、悔しさに目を伏せる。だが次の瞬間には、誇らしげに顔を上げた。  

「やっぱり……セディオスは、すごいよ」


遠くで見守っていたエクリナは、満足げに小さく頷いた。

ティセラもまた、安堵の笑みを浮かべていた。


風が平原を渡り、二人の汗を冷やしていく。

ただの勝敗ではない。

互いを高め合う証として刻まれた剣閃の記憶が、確かにそこに残った。

次回は、『9月28日(日)13時ごろ』の投稿となります。

引き続きよろしくお願いしますm(__)m


ここまで読んでくださり、ありがとうございました!

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