表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王メイドエクリナのセカンドライフ  作者: ひげシェフ
第三章:静穏と影の狭間

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

31/116

◆第27話:影、現る◆

翌朝、山の麓。

宿から離れた林道の先、薄霧が立ち込める中に、不穏な気配が忍び寄っていた。


黒きローブに身を包んだ、三体の影。

そのうち一体――黒き重鎧を纏った異形の剣士だけが、わずかに感情の灯を宿していた。

その瞳に宿るは、怨念か、それとも執念か。

だが、残る二体に人間らしさはない。

顔を隠した仮面の奥には、感情の欠片もなく、ただ命令に従うだけの兵器のような存在――傀儡であった。


「……あの気配。間違いない、魔王がここにいる」

黒騎士は低く呟く。その声には、かすかな意思の響きがあった。

「剣士も確認。その他も同伴……使命を完遂するときは近い……」

「主のために………」


その手に握られた双剣が、鈍く瘴気を放つ。

“魔哭神陣営の残党”――だが、意思ある者は彼ひとり。

他の二体は、ただ復讐のために作られ、送られた“道具”に過ぎない。


魔王と剣士を相対せよ。我が目的は、ただ一つ……因子の回収。

仮面の戦士たちは言葉なく頷き、霧の中へと消えていく。


その様子を、さらに離れた林の影から見下ろす者がいた。

少年のような、少女のような中性的なシルエット。

紺色の髪をたなびかせ、薄く笑みを浮かべている。


「……いよいよか。試作品としては上出来だな。あれが“どこまで通用するか”……」

冷たい瞳の奥に潜むのは、観察者の眼。

それは、さらに深い計画と暗き欲望を秘めた影だった。


物語は、静かに、しかし確実に動き始めていた――。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ