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魔王メイド・エクリナのセカンドライフ  作者: ひげシェフ
第二章:雷と炎が交わる刻

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25/201

◆第21話:庭の修復と絆のひととき◆

翌早朝――

霞の残る庭に、ぽつりと一人の影が立っていた。


エクリナは《魔盾盤ヴェヌシエラ》を手に、静かに呪文を紡ぐ。

「う~む、付近の土地と入れ替えるか……魔法式展開」


無数の魔法陣が庭に広がり、破壊された土が、別の場所の無傷の地面と入れ替わっていく。

空間転移魔法を駆使し、土地ごと入れ替え、豪快に整地していく。


「……ふむ、やはり多少の歪みは残るか。ならば、空間圧縮で――」


思案していると、ルゼリアとライナが現れる。

昨日、ティセラはエクリナを説教した後、二人の元を訪れていた。

治癒魔法であらかたの傷を癒し、二人ともすでに歩ける程度には回復していた。


ティセラは最後の治癒だけは押しつけなかった。

「動けますが、完全な治癒ではありません。無理は禁物ですよ。……痛みを反省として残すのなら、止めはしません」

ルゼリアとライナはうなずき、戒めの痛みを残した。


「お手伝い致します、エクリナ」

ルゼリアは礼をし、助力を申し出る。


「王さま! 僕もやるよっ! あ、そこの柱、ちょっと曲がってる~!」

ライナは焼け残った農園の支柱を見に行っていた。


エクリナは微笑を浮かべ、頷いた。

「うむ、頼もしい限りだ。うぬらも、少しは反省したようで何よりだな」

そのやり取りに、自然と笑みがこぼれた。


セディオスも現れ、工具を手に裏口の扉の修理を始めていた。

「にしても……本当にすごい破壊力だったな。まさか庭に大穴ができるとは思わなかったよ」

悪気なく見たままを言う。


「ふ、ふん……多少やりすぎた感は否めぬな」

昨日、その件でしっかりと怒られていたエクリナは視線を逸らして答える。

セディオスはそれを見て小さく笑った。


「流石にあの攻勢では、館に結界を張るので精一杯でした……」

いつの間にかセディオスの隣にいたティセラは、護りきれなかったことに、ティセラは小さく息を吐いた。


穏やかな陽射しの下、それぞれが自分にできることを黙々と進めていた。

エクリナは岩を転移させると均一に切っていく。

セディオスとライナはその石を積み、外壁の形を成していく。

ルゼリアとティセラは漆喰を塗り、慎重に固定していく。


外壁修繕を終えたところで昼食をとる。

修復中の庭にシートを敷き、エクリナの弁当が並んでいた。


一段目は、サンドイッチ、卵・ハム・チーズ・葉物野菜・塩漬け豚などの食材が挟まっていた。

二段目は、鳥の揚げ物、腸詰焼き、小さいオムレツ、つぶしたイモ、彩りある野菜が詰め込まれている。

三段目は、柑橘の果物を串切りにしたもの、レモンのハチミツ漬け、ブドウなどが入っていた。


ボリュームがあり、家族の好物がすべてを占めていた。疲れた家族を癒し、元気づける特製仕様であった。


「疲れたであろう、皆食すが良い!!」

重箱の弁当を並べ、エクリナは高らかに宣言する。


セディオス、ティセラは手を伸ばしていたが、ルゼリアとライナは少し遠慮していた。

いつもは率先的にライナが手を出すはずが、今日はそれが無かった。


それを見たエクリナは、肉類を中心に盛った皿と野菜などをバランスよく盛った皿を作り、姉妹に渡す。

「食べよ。今日は大変だからな、補給は大事だぞ。そういうことを考えるのも償いのうちだと思わんか?」

エクリナは微笑み、諭すように声を掛ける。


「「はい!」」

王の慈悲を受け取り、気を持ち直すことにしたルゼリアとライナだった。


「やはり弁当もうまいな。サンドイッチの味付けは抜群だ!」

セディオスはサンドイッチを齧りながら言う。

「あ、このオムレツにはひき肉が入ってるんですね」

ティセラはオムレツを食べていた。


「久方の弁当だったのでな、色々凝ってみたぞ」

エクリナがあれこれと説明し始めた。


「僕は、やっぱり鳥の揚げ物が好き!」

ライナは口いっぱいにほほ張りながら言う。

「この蒸したイモを侮れないですよ、味わい深いです!」

ルゼリアは半つぶしになったイモを口にし、感想を述べる。


「それはだな、それぞれコツがあってだな―――――」


いつも通りの二人になったのを確認できて、饒舌になるエクリナ。

五人は弁当の感想会をしながら、雑談を交わしていく。

数日ぶりの、賑やかな食事となった。



昼食後——

庭の修繕に取り掛かる。エクリナ・セディオス・ルゼリア・ライナの四人で畑を耕していく。

元の範囲まで耕し終わろうとしたところで――


「ついでに拡張するか……ここまで耕すぞ」

エクリナが大股で十歩進むと、農園の拡張を指示する。


「……エクリナは元気だな……俺は腰が痛い……」

エクリナの宣言に腰を叩き、呻くセディオスだった。


「セディオス……体なまってない?」

ライナが鋭い一言を言った。

「この程度、まだまだです」

ルゼリアがそれに乗っかり、セディオスを指摘する。


「ほら、セディオス。やるぞ!」

エクリナが駆け寄ってきて、耕すのを促す。

「はあ~、頑張るよ……」

セディオスは項垂れるも、作業を再開した。


ライナとルゼリアは顔を見合わせ、そのやり取りを見て笑っていた。

農地が完成すると、種を蒔き、柱を刺し、屋根を取り付けていく。

こうして、新たな農園が完成していった。


その頃、ティセラは出来上がった外壁のあちこちに、新たに改造した結界の術具を取り付けていた。

「もう誰も喧嘩しないのを願いたいですね」

家族の平穏を祈りながら作業をしていた。


最後に皆で花壇を作り直し、花の種を蒔いていく。

家族としての共同作業。それは、無言のうちに心を繋げていく。


汗を拭いながら、ふとエクリナが庭を見渡す。

「作り直した庭も良いではないか」


誰に言うともなく呟いたその言葉に、静かな安堵が滲んでいた。

こうして、庭も、彼女たちの絆も、ゆっくりと、元の形を取り戻していく。

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