表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔王メイドエクリナのセカンドライフ  作者: ひげシェフ
第二章:雷と炎が交わる刻

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

22/124

◆第18話:王の裁きと二つの咆哮◆

戦いはついに、決着の刻を迎えようとしていた。

夜空の下、二つの影が、互いに距離を取って対峙する。


《魔斧グランヴォルテクス》は対城形態である”雷殛槍刃”に姿を変えた。斧刃と槍頭を射出し雷の光刃を纏うことで巨大なスピア形態となっていた。

止まることを忘れたライナは極大魔法の詠唱を始める。

「響け、怒れる雷よ――、空に吠え、大地を裂け。纏いし魔雷、我が刃と成りて、罪を断て。忍ぶな、赦すな、轟け、裁け」


片や、止めるためにルゼリアは対抗の極大魔法の詠唱を開始する。《焔晶フレア・クリスタリア》を”紅蓮双輪”へ展開、二重の魔法陣を形成し超砲撃形態となる。

「……刻を焼き、空を裂け――、業火よ、我が王命に応じて姿を成せ。燃え尽きよ、すべての影よ。恐れ、逃げ惑え、そして悔い改めよ。我が名のもとに、紅蓮の審判を下す!」


重なる詠唱。

「グラン・ヴォルトクラッシュッ!!」「ラグナ・フレアドミナンスッ!」

雷による広範囲地形破壊魔法と炎による全域制圧砲撃魔法が、同時に放たれる――。



だがその瞬間。

「まだまだ甘いな!、アブソリュート・レンド――!」

空間を多重に裂き、縦横無尽の断裂を展開し、展開中の魔法陣破壊して無効化した。


魔王エクリナ。

《魔杖アビス・クレイヴ》を携え、《魔盾盤ヴェスペリア》を展開し、《深淵纏装ドミヌス・クロア》を纏ったその姿は、まさに“魔王”そのものであった。

「……ふん、まったく。日常を壊す愚か者どもが……」

極大魔法を無効化され呆然とするライナとルゼリア……。



二人を見て、静かに微笑んだ。

「では……覚悟はよいな?」

「「……ッ!?」」

次の瞬間、空間が歪む。


「お・し・お・き…… 開始であるッ!!」


エクリナの怒りが炸裂する。

《魔杖アビス・クレイヴ》を横薙ぎに振るい、ライナを一蹴。紫電を纏うライナの身体が弾け飛ぶ。

「ぐはっ!? ちょっ、王様!? これ本気――」


次の刹那、ルゼリアへ見えざる魔槍〈スペース・ランス〉を放つ。

「……っ!! これは……っ!?」

《魔盾盤ヴェスペリア》から放たれた魔槍がルゼリアの防壁を打ち破り、 更に二人へ複数の闇刃が空から降り注ぐ。


「……っ、二人でやるしかないようですね」「い、今だけ共闘ねっ!」


即座に目配せし、ライナが雷光の踏み込みで至近距離へ跳躍。

「ボルト・ラッシュッ!」

ルゼリアが同時に《焔晶フレア・クリスタリア》を双晶状態で回転させ、業火の翼を描くように放つ。

「フレア・レイヴン!!」


雷と炎が交錯する強撃を重ねるも――


「愚か。見切っておるわ」


《魔盾盤ヴェスペリア》が展開し、多層の障壁が次々と魔法を受け止め、熱と光が虚空に飲まれるように吸収される。


「では、こちらから行くぞ――」


エクリナの足元に魔導陣が出現。

そこから一瞬で飛翔し、空間転移を伴う“斬撃”の連打が炸裂。


「シャドウ・クロスアサルトッ!」


その動きは残像を生み、ルゼリアの構えた魔力結界を粉砕。

次いでライナにも連撃が叩き込まれる、《魔斧グランヴォルテクス》を”雷大両刃斧”に形態変化させて盾代わりにする。



「まだっ、まだ――!」

「ぐぅっ!? っのぉぉぉおおおッ!!」

強靭な根性で踏みとどまる二人。


ルゼリアは残った魔力を〈焦熱の火輪〉として掌に展開し、ライナも両脚に雷光を纏って突撃する。


「今度こそ……合わせるよ!」

「はい、炎と雷の共鳴――一瞬に懸けます!」


同時に展開したことで炎と雷が織り交ざり、爆発的な突進と業火の十字衝がエクリナに迫る。


「うぬら……よかろう」


エクリナは魔杖をゆっくりと掲げた。

「うぬら、我が“臣下”たる意味……今一度、教えてやろうッ!!」


空を断つ漆黒の闇――

《ノワール・ブレイクアーク》が零距離で放たれ、反撃の隙すら与えず二人を吹き飛ばす。


闇柱が地を裂き、逆転魔法陣が展開、強制的に地面へと叩きつける。

「ぅあああああっ……!!」「っく……ぐ……っ!」



そして、追撃。

空を埋め尽くす無数の魔力弾〈シャドウ・バレット〉が、雨のように降り注ぐ。 連続で撃ち込まれる漆黒の魔力は、すでに意識を失いかけている二人の心にすら響く“王の怒り”。

「心が折れるまで許すものか……この日常の重み、骨の髄まで思い知らせてくれるわッ!!」


地面に大きな穴が穿たれ、辺りは瓦礫と爆風の跡。

「……ふぅ。これで、少しは思い出したか?」


気絶した二人の姿は、魔装が大破した程度の”重傷”に留まっていた。だが、その表情には確かに――敬意と、畏怖と、忠誠の色が戻っていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ