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第84話 【モダンな家】

政宗先生はさっき「成長倍率のせいでお前に完全に適応してしまった」と言っていた。固有スキル《段階的な成長》の力は本当に底が見えない。以前は人類の天井が政宗先生だと確信していたが、この2日間——たった2日間で、その力の限度が推測すらできなくなっている。もし敵側だったらと思うと、ぞっとする。



歩く政宗先生の後ろについていきながら、俺は声をかけた。


「政宗先生、気になることがあるんですが」


「なんだ?」


少し勇気を絞って、核心に近い質問を口にした。


「さっきのデイベストが4万年前のある人物と政宗先生が重なると言っていましたよね。もしかして……4万年前に一度この世界に来て、成り上がっていたんじゃないですか?」


政宗先生は足を止め、空を少し見上げてからため息をついた。


「俺もその可能性は考えたさ。ただ、4万年前の転移や転生となると地球時間でも4万年前じゃないと辻褄が合わないだろ?」


「でも、この世界の時間の流れが地球とは全く違う可能性もありますよ。地球時間の1分がここでは何千年にもなる可能性だって……」


「なるほど、その可能性もあるか。ただどうして俺の記憶に地球に関する断片が残っていないんだ?」


「そこまでは分かりません。でも、4万年前の人物は確実に政宗先生と何かしらの繋がりがあるはずです」


「まぁ……それもそうだな。この魔界には4万年前から生き続けている化け物もいるかもしれん。そっちから調べていくか」


政宗先生は再び歩き始めた。



やがて政宗先生が設置したという家に到着した。


「……え?」


そこには、清潔感のあるモダンな家が建っていた。俺たち4人は揃って見上げ、2日でこれを作ったのかという思いで固まっていた。


「まぁ入れ。今後のことについて少し話す」


玄関で靴を脱いで丁寧に揃え、リビングのソファに腰を下ろす。政宗先生はガラスのテーブルを挟んだ向かいの椅子に座った。


蒼真が抑えきれなくなったように声を上げた。


「政宗先生!なんでここにこんなモダンな家が!?固有スキルでいきなり具現化したんですか!?」


政宗先生は手を横に振った。


「いや、大したことじゃない。木を切り倒して枠組みを作っていたら上級スキル【建築之王】を獲得しただけだ」


成長倍率チートの真骨頂だ。短い期間でも圧倒的な量の経験を積めるから、スキル側が才能持ちと判定してしまう。


「それより。蒼真、この階層の攻略条件は分かるか?恐らく七天大魔王を全員倒せばいいとは思うが」


蒼真は手元に自分だけが見える青いウィンドウを展開し、眺めながら答えた。


「恐らくその通りです。七天大魔王を降臨させるスイッチがこの4階層に隠されている感じですね」


「スイッチの場所は特定できるか?」


「強力な隠蔽術がかけられていて特定不能です」


「他の勇者たちが全員揃ってから総出で探すしかないか……この広さじゃ4人では話にならないな」


政宗先生はしばらく下を向いていたが、顔を上げた。


「よし、この4階層には特定の場所にのみモンスターが出現する仕組みがある。レベルは1から220まで幅広い。全員が揃うまでの間、お前たちはそこで鍛え続けろ。当初は5日間という制限を設けたが、4階層の攻略に人手が必要となれば話は別だ。勇者それぞれの固有スキルを活かした手数も必要になるから、お前たちには強くなってもらわないと困る。その場所を挑戦の間と呼ぶことにする。行ってこい」


「食料の問題はどうするんですか?」


「森に果実が豊富にある。安全なことは確認済みだ。当分は問題ない」


「よし、まず挑戦の間に案内してやる」


政宗先生が立ち上がり、モダンな家を出た。5分ほどついていくと——広大な黒い床の上に、縦100メートル横100メートルほどの部屋が細かく区切られて立ち並んでいた。


「なんじゃここ!?」


颯真が叫んだ。直前まで自然が共生する世界にいたのに、突然現れた圧倒的な人工物感だ。


政宗先生が部屋を指さした。


「あの部屋に入ると最初にパネルがある。レベル1から220まで数値を打ち込むと、それに対応したレベルのモンスターが出現する。完全に来た者を鍛え上げるための施設だ。ここでレベル220のモンスターを余裕で仕留めるくらいには強くなってくれ」


「レベル220を……!?」


3階層の赤い七天大魔王でさえレベル245だったのに。


「次にお前たちが来た場所を案内してくれ。俺が来た場所と違う可能性もあるからな」


「分かりました、こちらです」


俺が先導して来た場所まで戻ると、政宗先生はその場に木の杭を打ち込み、木の板を取り付けて案内板を作った。行くべき方向を示す矢印と文字を書き込む。


「お前たちが来た場所と俺が来た場所が同じだった。後続の勇者たちも同じ地点から来る可能性が高い。この看板で俺の家の場所が分かるようにした。勇者が増えて収容できなくなったら家を増築する」


あの家がさらに大きくなるのか。あと20人来たらどんなサイズになるんだろう。


看板を立て終えると、政宗先生はさっさとモダンな家へ帰っていった。家に着くと服装を軽く整えながら言い残した。


「さっきの挑戦の間で訓練しとけ。夜になったら戻ってこい。慢心して自分が勝てないレベルの敵に突っ込んで死ぬなよ」


それだけ言って、政宗先生は果実を取るために最初の森へ向かっていった。


俺たち4人は顔を見合わせ、肩を組んだ。


「絶対に死なずにレベル220を倒せるようになるぞ!」


円陣を組んで喝を入れた後、俺たちはそれぞれ1人で挑むことに決めた。4人まとまって行動してしまうと実力の偏りが出てしまう。自分が勝てる範囲でレベルを積み上げていく——それが今の俺たちにできる最善だ。


俺たちは死なないという誓いを胸に、モダンな家を後にした。



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【新規取得】


常時型上級スキル:

・建築之王:建築技術に+[Lv*400]%、材料加工技術に+[Lv*400]%、アイテムドロップ率に+[Lv*400]%、測量の正確性と速度に+[Lv*400]%、繊細さや器用さに+[Lv*400]%、作業効率に+[Lv*1000]%、防御力と素早さに+[Lv*25]%

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