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第35話 【Hyperion】

遠征当日、同行するバレットに討伐対象を聞くと、デーモンケンタウロスというモンスターだという。悪魔——魔族の上位に君臨する種族——から力を授かったケンタウロスで、それゆえに通常より遥かに強力らしい。


計算したところ、今の俺の剣術基礎スキルはレベル7490前後。通用しないとは思わないが、不安が消えないのも正直なところだ。


そういえば固有スキルでHyperionに到達したまま放置していた。移動時間を使って進めるとしよう。


Hyperion2周目に入ってみると、Dims到達以降はやはり進みがまだ遅い。ただボーナスによってBP・DP・SDP・GSが底上げされているおかげで、MR#3までは比較的スムーズに到達できそうだ。


─────────


2時間後、Hyperion2周目が終了した。獲得HPも想定より多く、上々だ。HPはアップグレードに回し、2回到達で得られるマイルストーン——DP×10——も解放した。


Hyperionのアップグレードはコストが購入回数で変わらないため、加速度的に買い進められる。現在は[1:1]と[1:2]が4回目、[1:3]と[1:4]が2回目だ。[1:4]によってALのSoftCapが遅らされるから、後半の加速が楽しみだ。


思わず夢中になってポチポチしていると——


「おい!お前、何を空中でポチポチしてやがる。これから何と戦うのか分かってんのかッ!」


急に怒鳴られた。まぁ無理もない。死ぬかもしれない遠征に向かう途中、空中をポチポチしながらニヤニヤしている騎士など普通に見ればおかしい。


「……分かって、ないです」


「最近強くなったからって調子に乗るのも大概にしろ。悪魔は魔族の頂点に君臨する種族だ。魔族単体でも、俺たちルミナスの牙の上位騎士が一対一で勝てるかどうか怪しいレベルだぞ?そのてっぺんから力を授かったケンタウロスだぞ?ケンタウロス自体がただでさえ強いのに……その調子じゃマジで死ぬぞ」


「すみません」


魔族の頂点から力を授かったケンタウロス、か。俺たちだけで本当に勝てるのか。ワンドさんを連れてくれば、とも思ったが——ワンドさんに頼り続ければ、いざという時に自分たちだけで対処できなくなる。今回は自分たちでやるしかない。


ただ、この空中ポチポチを止めたら成長倍率が伸ばせない。事情を正直に説明した上で、さすがにニヤけるのはやめながら続けることにした。


さらに1時間ほどでHyperion3周目も終了。獲得HPで[1:1]〜[1:4]を全て購入し、3回目のマイルストーンであるMRP#3とAnt×10も解放した。Dリソースの強化はDims中盤で効いてくるはずだから、地味に嬉しい。


[1:1]〜[1:4]を全購入したことで、次の段階のアップグレードが解放された。


[2:1]: [1:1]の最大購入数を+5し、効果量を×1.1する。(0/5)

[2:2]: [1:2]の最大購入数を+5し、効果量を×1.1する。(0/5)

[2:3]: [1:3]の最大購入数を+5し、効果量を×1.1する。(0/5)

[2:4]: [1:4]の最大購入数を+5し、効果量を×1.1する。(0/5)


効果量×1.1は嬉しいが、特に[1:4]の強化でALのSoftCapの遅延効果が跳ね上がる。そこからのインフレ量は想像するだけで頭がおかしくなりそうだ。このアップグレードはHyperion4周目が終わってから購入するとしよう。


「おい、目的地に着いたぞ」


意外と早かった。俺は馬車を降り、隊列に加わって行軍した。

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