第111話 【魔王戦-上-】
魔王の間は何も見えない真っ暗な空間であった。状況を把握しようと俺達は周囲を見渡すが、何も分からない。
「だ、騙されたのか…!?」
あのオルメキアのトラップなのか…クソっやられた。
そう思うと周囲の松明が突如として発生した。それはどんどん奥へ奥へと松明がつきはじめ、最奥には巨大な3mはある椅子が置かれていた。
「あ、れはなんだ?」
奥には妙な人影が。あれが恐らく魔王なのだろう。
「先に攻撃しときますか?」
美月が指のナノ粒子をレールガンに変形した。
「あぁ。攻撃しろ」
俺がそう言うと、即座に一つの光が人影へと向かっていった。
そして…大爆発が起こった。奥の椅子のスペースなどは全て炎に包まれていった。
「今、最高火力を出すぞ!」
各々この絶好のチャンスを逃すまいと全身全霊の最大火力を出していった。俺も俺で政宗流剣技三の型に耐えれるかは分からないので、二の型を何十回も放った
その衝撃により魔王城は全て全壊し先程通路だった場所全てが外となっていた。
「ハッハッハッ!人間にしては素晴らしいな」
渋い声が煙の中から聞こえてくる。今まで戦ってきた敵とは一線を画す…絶対的強者、覇者、魔王という名が相応しい。そう一瞬にして悟らされた
「邪魔だな」
煙は魔王の力により一瞬でかき消され、黒と紫をベースに全身が少しゴツゴツし黒い角が2本…白い肌の魔族とも悪魔とも取れるような存在が姿を現した
「流石…人間にしては此処までこれただけあるな。ボス戦のチュートリアルをもスキップか」
こいつは…まずい!恐らくだが推定レベル2500は優に超えている…もしかすると3000、いや4000!?
「まずは味見と行こうか」
魔王は人差し指を立て、そこから黒い球体が出現した。
「まずいっ!」
俺は瞬時に結界魔法を展開し、それと同時に智也も反強い相互作用により原子核同士の固まりを固くし強度を高くした。
それに付随して美月も結界内部の魔力の流れを速やかにするような機械を作成した。
「ほれ!」
魔王がそう言うと同時に、その黒い球は光速を遥かに超えた速度で俺達の完全防御結界に突撃してきた。
衝突時間…2秒…その間に黒い球と結界は激しくぶつかり合い、遂に黒い球はそれに負け小さい欠片となって、後方の空へと吹き飛んでいった。
小さい破片、ざっと数えて5000個だろう。それが吹き飛んだ後大爆発を引き起こしたのだ。それも一つ一つが国家消滅級の爆発だった。あの黒い球を防げなければ…俺等は致命傷を食らっていただろう。
「へっ!大したことねぇじゃん!」
竜牙が少し目を彷徨わせながら対抗心からか魔王を煽った。
それに対して魔王は一言で返した。
「今のは俺の魔力の塊だ」
本来、常人では魔力の塊を作るなど無理だ。大賢者、俺達ですら出来る物は少ない…それにファイアボール程度の威力しかない。
それなのに《《ただの魔力の塊》》だと!?
どれぐらい魔力含有量が多いんだよ…この化け物!
「とりあえず、早く来いよ」
魔王は俺達を哀れな目で見ながら挑発する
その時颯真が瞬時に魔王の目の前へ出現した。
「レインボーバレット!!」
その瞬間、魔王の顔面にレインボーバレットが炸裂し、遥か後方へと吹き飛んでいった
過去移動…成功したのか!魔王は速度など関係すらない過去転移の攻撃に戸惑いながらも土をはたき落とし、首の骨をポキポキと鳴らしながらも指パッチンをした。
指パッチンをした瞬間、颯真が銅像のように動かなくなってしまった。
「な、何をした!?」
石化系スキルを使用したのか!?それとも対象の行動停止か…!?どちらにしても強力なスキルだ。ここで聞き出せば……
「何って、即死スキルだが?」
それと同時に颯真は地面に倒れた。
ていうか…即死スキルって何なんだよ。今まで頑張ってきた奴の頑張りが、、、すぐ消えるのかよ。
俺はちらりと智也を見た。すると智也は壮絶な怒りか悲しみを抑えるためなのか知らないが下唇を噛みながら唇から出血していた。
「ほれ、高威力の技を出さないとこの木偶の坊みたいになるぞ?」
智也は怒りを鎮めながら、今目の前にいる強敵を倒そうと奮闘している。
「颯真渾身のレインボーバレットが雑魚か…」
恒一は深呼吸をし、剣を構えた。俺達もそれに対応する形で全員攻撃態勢をとった
「はぁ…全員で来るのか。まぁ所詮人間なんてこんなものか」
魔王の挑発などに乗らずに俺達は瞬間的な爆発力にて魔王に全員本気で攻撃を仕掛けた。
だが、身体を切ったという感覚がやはり手にない…なんなんだこいつは!?
魔王は不敵な笑みを浮かべながら、俺の顔面を強く握った
「フゴッ!?」
他の勇者が攻撃するのは全て無視しながら、俺の顔をまじまじと見る。
「お前、5万年前…俺の事を倒した憎き勇者に似てるな。300年前の野郎とは違うが…」
俺は魔王の懐に対して爆発を発生させた。だが、それでも魔王は微動だにしない
「そうだ、この機会に勇者について話してやろうか?どうせ死ぬだろ。お前らは」
俺は右手に剣を握り、精神が壊れても良い…そういう覚悟で三の型を放った。
魔王は流石に驚いたのか俺の顔を掴んでいた手を離し、俺はすかさずバックステップをした。
魔王の胴体には左肩から右腰にかけて薄い切傷が出来ていた。
「やはり、お前だけ周りの勇者とは違うな。何というか…戦闘の最中で成長している気がする。そういう所も5万年前の勇者と似ているが……お前は実力がないな」
魔王は風魔法を自身の足元に展開し、周辺にいる勇者全てを吹き飛ばした。
「く、くそっ!相手にならねぇ!」
「実力が違いすぎる」
俺の本気の斬撃でも傷を少し付ける程度なのか…魔王というのはこれほどまでに圧倒的な怪物なのか。
すると、智也が俺達の頭上に超巨大なダークマターを展開した。
「彩葉!俺にやったみたいに全員に防御と強化をかけてくれ!」
「わかりました!」
もしや、彩葉の改変能力を俺達の防御強化と能力強化に当てるのか!?
「ダーク・ボム!!」
智也は頭上の超巨大なダークマターを魔王の頭上に落とした。
「改変能力持ちがいたとは!しかも…これ程の威力とは。一筋縄では行かなそうだな!」
魔王は拳に紫のオーラを纏わせた。
そして、ダークマターの衝突の瞬間にダークマターを殴るように紫の拳を突き上げた。
俺は目を開けると幻の迷宮に突き刺さっていた。そして、目の前にある崖はすべて消え、魔王城まで全て平坦…いやクレーターのように凹んでいた。
「威力ヤバいな」
流石にあの量のダークマターでは威力だけではなく、対消滅効果も期待できるだろう。
魔王は消滅したかな?
俺は幻の迷宮を足場代わりに急加速し、元々魔王城があった所へ移動した。
そこには既に吹き飛ばされた勇者達が集合していた。
「と、智也!お前凄いな!」
「いやいや彩葉さんが俺含め皆に対する攻撃を無効化して俺の攻撃を増やしてくれたからですよ」
俺達は魔王が完全に死んだと思っていた。だが魔王は真上から舞い降りてきた。




